代表質問 増子 博樹 令和2年第一回定例会

令和二年第一回東京都議会定例会に当たり、都民ファーストの会東京都議団を代表して、小池知事及び警視総監、教育長、都技監、関係局長に質問します。
 質問に先立ち、新型コロナウイルスにより亡くなられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、罹患された皆様に心よりお見舞いと一日も早いご回復をお祈り申し上げます。
 いよいよ本年は東京二〇二〇大会が開催されます。都は、大会準備の総仕上げを行い、大会の成功に向けて万全な対応を進めなければなりません。あわせて、私たちは、大会後の東京、そして日本全体のあるべき姿を描き出し、東京二〇二〇大会をきっかけに、その実現に向けた歩みを加速させる責務を有しています。
 現在の東京は成熟の局面にある一方で、人口減少、少子高齢化、日本経済の国際競争力の低下、世界規模での地球温暖化など歴史的な転換点に直面しています。それに伴い、年功序列、終身雇用等に代表される従来の人生モデルも揺らぎ、価値観の多様化が進んでいます。
 一つの正解がない現在に求められるのは、多様な生き方を包摂し、都民一人一人の人が最大限力を発揮できる環境を整え、多様性を都市の成長につなげていくことです。そのためには、未来を見据えた戦略的な投資と無駄を省くめり張りのきいた財政運営を欠かすことができません。
 小池知事は自身の給料半減を継続されています。また、事業評価による四年間での財源確保額は三千五百億円以上に上ります。加えて、更新費用二千億円超と見込まれた工業用水道の廃止、都立施設の見直しによる約四百億円を初めとする東京二〇二〇大会経費の削減、マラソン、競歩の札幌移転に伴う都の経費負担ゼロの確保など、都民からお預かりしている税金のワイズスペンディングが徹底されています。
 しかし、先日、都が公表した財政収支の長期推計でも、都の財政の見通しは決して楽観視できるものではなく、また、国による不合理な都税収奪も繰り返されています。
 そして、都民の安全・安心を守るために、予測できない事態に対して迅速な対応が求められる場面もあります。小池知事は本定例会に先立ち、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて、四百一億円の補正予算を編成し、都民の安全・安心の確保を目指すと表明しました。この補正予算に先立ち、私たちは小池知事に対し、検査体制の強化や中小企業支援など都民の不安払拭に向けた要望を三度にわたり行いました。これらの要望が反映された本補正予算が都民の不安払拭に貢献することが期待されます。
 東京が歴史的転換点を迎えている中、令和二年度予算案は東京二〇二〇大会の成功と大会後の東京における人と都市の姿を描き出し、その実現に向けた歩みを加速させるものである必要がありますが、本予算案の基本的な考え方について知事の見解を伺うとともに、今回の新型コロナウイルス感染症対策に係る補正予算案の基本的な考え方についてもあわせて伺います。
 新型コロナウイルス感染症対策について伺います。
 都内、国内においても感染者が日増しに増大していることに鑑み、感染の拡大抑止と感染した方への適切な治療といった両面の対策が求められています。
 感染拡大の抑止策としては、感染の疑いを持った方がちゅうちょなく相談でき、必要と認められた方が検査できる体制づくりが急務です。規模拡大のためには、民間の検査機関との連携強化をも視野に入れることが必要です。
 また、医療の現場における適切な情報共有も極めて重要です。医師会などと連携し、感染症に対する基本的な対応方法を簡易な動画にまとめるなどして、医療関係者が閲覧、確認できる方策も検討すべきと考えます。
 感染症に罹患した疑いを持った方が相談、検査を受けられる体制の充実、そして国、民間を含めた医療機関、受入体制の連携体制の確立や医療機関における基本的な対応方針の周知徹底など、感染者を受け入れる医療体制の強化が急務と考えますが、本日の対策会議を含め、都における新型コロナウイルス感染症対策についての知事の見解を伺います。
 なお、現在、都内全域でマスクなどの感染防止に資する資源が不足しています。東京マラソンを初め、都が関係する行事の延期、中止に当たっては、これらの資源の都民への提供など、都民の感染防止に役立つよう利用することの検討も求めておきます。
 新型コロナウイルスによる産業への影響の視点も欠かすことができません。感染症の不安を経済的な不安に拡大させないためにも、事業活動に影響を受けた中小企業への融資や観光産業にかかわる区市町村への支援が重要です。
 加えて、人混みによる感染拡大を防ぐ面で、これまで都が働き方改革、通勤混雑解消の観点から強力に取り組んできたテレワーク、時差出勤の意義が改めて注目されています。災害、感染症の際に事業活動を適切に継続する観点からも、テレワークの導入に向けた支援と都内企業への呼びかけが必要です。
 都内中小企業や観光産業への支援、そして都民の安全を守るためにも有益なテレワークの普及を一層強力に進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 新型コロナウイルス感染症対策については、刻一刻と事態が急転し、今なお関係者の負担は甚大であると理解しています。感染症対策に当たられている都庁職員を含む関係者の皆様に心から敬意を表します。私たちも引き続き、都民の立場に立って対策に必要な提言、行動を行っていく所存です。
 子育て支援、女性活躍について伺います。
 私たちは、都の長期戦略への提言において、多様性を都市の成長につなげる取り組み、都市のデジタル化、都市と自然との融合を掲げ、合理的根拠に基づくEBPMの考え方で戦略を絶えず見直す視点を示しました。今回公表された戦略ビジョンでは、私たちの提案が数多く反映されていることを評価します。今後は、この戦略ビジョンを実現していくための具体的な政策や体制の構築が重要です。
 例えば、将来的な合計特殊出生率二・〇七とした目標に対して、仮称チーム二・〇七プロジェクトを立ち上げるとのことですが、抜本的な課題解決のためには、海外の事例も研究した上で、過去の政策の延長にとどまらない大胆な取り組みに挑戦し、政策の効果検証をしながら優先順位をつけて政策資源を投入していかなければなりません。
 合計特殊出生率二・〇七という意欲的な目標を含め、未来の東京戦略ビジョンの実現に向けた取り組みを今後一層具体化する必要がありますが、今後の長期戦略の策定及びその実現に向けた知事の見解を伺います。
 少子化を克服し、合計特殊出生率二・〇七を達成していくためには、安心して妊娠、出産、子育てができる環境を整備することが急務です。
 育児のプレッシャーを和らげる産後ケアの重要性は、東京都医師会、助産師会を初めとする多くの方からご指摘をいただいており、また、児童虐待死はゼロ歳が最も多く、産後の母親への支援は児童虐待防止の観点からも重要です。さらに、母子の状態把握を一層定期的に行うことの重要性や、子育ての負担が特に大きい多胎児初め多子世帯への配慮も強く訴えてきました。
 都が私たちの要望を受けて、これまで行ってきたゆりかご・とうきょう事業を継続、拡充し、とうきょうママパパ応援事業を新設したことは極めて重要です。
 より一層子育てがしやすい東京の実現に向け、これまで評価されてきた産前の取り組みの継続に加え、区市町村ごとの取り組みにばらつきが多い産後ケアの充実、多胎児初め多子世帯の支援強化、母子の状態把握を定期的に確認する取り組みの強化などにより、妊娠、出産、子育てに対する切れ目のない支援を一層強化すべきですが、知事の見解を伺います。
 小池知事就任以来の待機児童対策の結果として、昨年四月一日現在の都内の待機児童数は、一昨年に比べて保育所等の利用申し込み数が大きく増加したにもかかわらず、四半世紀ぶりの水準となる三千六百九十人と公表されました。区市町村や保育事業者の方々とともに着実に進めてきた小池都政の非常に大きな成果であり、施策をさらに加速させる必要があります。
 一方、育児や働き方など家庭環境が多様化する中で、ベビーシッターの利用への期待の声は大きく、制度の使い勝手を一層向上させ、保育所だけでは対応できない育児の選択肢を補完するべきです。
 このようにベビーシッターに対する社会的期待が高まる中で、都からも繰り返し強く税制改正を求めていると理解していますが、都による助成を雑所得として課税する国の現在の税制は、残念ながら極めて不合理といわざるを得ません。
 待機児童対策の視点に加えて、子育て家庭のさまざまなニーズに応えながら、育児支援の選択肢としてベビーシッターの利用がさらに拡大するように、より使いやすい制度とすべきですが、知事の見解を伺います。
 保育の待機児童に合わせて、小一の壁といわれているように、保育所から小学校に上がった子供たちの放課後の居場所の充実が引き続き求められています。
 私たちは、さまざまな機会を捉えて学童クラブの充実について質問し、要望してきました。都は国に上乗せする形で、学童クラブの整備や都型学童クラブ事業に補助を行い、量の確保と質の向上を図ってきており、知事就任以降九千人以上登録者が増加しています。今後は、働く保護者のニーズに合わせ、午後七時以降まで開設する学童クラブを一層ふやすとともに、子供たちが放課後の時間を過ごす場としてのさらなる質の担保も重要です。
 都は、学童クラブの利用者枠をふやし、同時に質の拡充にさらに力を入れるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 私たちが独自に実施した都民アンケート調査によると、子供が二人以上いる家庭の四割以上が多子世帯への財政支援が少子化対策に必要だと回答しています。私たちは国の幼児教育無償化に当たり、保育料における多子世帯支援を求め、都独自の支援が実施、実現されています。加えて、私たちの東京都長期戦略への提言では、一層の多子世帯支援を求めたところです。
 子育ての負担軽減に関しては、保育のみならず、教育の経済的負担の軽減も極めて重要です。
 私たちは令和元年第二回定例会の代表質問で、国の就学支援金の支給額の上限引き上げに合わせたタイミングで、私立学校の実質無償化の制度見直しを求めました。このたび、授業料負担軽減の対象世帯が都立高校と同じ年収約九百十万円未満に引き上げられ、公私間格差の是正が前進したことは重要ですが、少子化対策の観点からは、教育費に関する多子世帯への支援を強化する必要があります。また、こうした保護者負担軽減制度について、多くの都民に周知し活用を促すこともまた重要です。
 私立、都立の双方において、多子世帯における教育費の軽減を強力に推進するとともに、制度の周知を徹底すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 なお、多子世帯とは第三子以降がいる世帯に限られるものではなく、第二子がいる世帯も含まれるべきという点を指摘しておきます。
 また、教育の負担軽減には一層取り組むべきである一方で、幼児教育、保育の無償化の際にも一部指摘がなされた不合理な授業料の値上げの防止策なども、あわせて求めておきます。
 東京の離婚率は一・七〇で、全国平均を常に上回っており、平成三十年に親が離婚した二十歳未満の子供は、都内で一万七千四百六十五人いますが、養育費が支払われない事例が多く、ひとり親家庭の貧困率は約五〇%程度といわれ、大変厳しい状況にあります。
 都はこれまでも、ひとり親家庭支援センターにおける支援などに取り組んできましたが、これまで私たちが当事者から切実な声をいただいて都に求めてきたとおり、子供の利益を第一に考え、また、ひとり親家庭の貧困問題の実態に対応する上でも、養育費の確保には一歩踏み込んだ施策展開が求められます。
 都として、都内自治体と連携しながら、子供の養育費の確保のための施策展開をすべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 国は昨年、女性活躍推進法を改正し、女性活躍の行動計画の策定義務を従業員百一人以上の中小企業に拡大することとしていますが、ノウハウを持たない中小企業が実効性のある計画づくりに取り組めるよう、きめ細かく支援することが必要です。
 私たちの女性活躍推進本部は、昨年二度にわたって行った女性のための政策要望の中で、女性就労者に対する待遇の改善をより多くの事業者に対して促すために、中小企業全体の実に四割が利用している制度融資のインセンティブを付与するなど、制度融資の活用を求めてきました。
 都は一層の女性活躍に向けて、中小企業が女性活躍推進に取り組めるよう行動計画の策定を支援するとともに、中小企業に対する制度融資を活用するなど、より多くの企業に対して影響力のある経営的なインセンティブを検討すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 未来を担う人の教育こそ、東京の成長に欠かすことはできないものです。昨年末に発表された未来の東京戦略ビジョンでは、人に着目し、人が輝く東京をつくり上げることを目指しています。
 そのためには、急速に変化し続ける時代の中で、子供たちが笑顔で健やかに育っていけるよう教育のあり方もまた変わっていくことが求められており、ICTを活用したスマートスクールやソーシャルインクルージョンの理念を教育の場で実現し、学びの個別最適化を進めることが重要です。
 そこで、未来の東京戦略ビジョンにおいて今後検討することとされている新たな東京型教育モデルについて、どのような方向を目指していくのか、知事の見解を伺います。
 学校教育の長時間労働は長らく社会課題化しており、私たちは校務のICT化や外部人材の積極活用を求めてきました。都も出退勤管理システムの導入やスクールサポートスタッフ等の外部人材の活用、時間外労働時間の抑制等に努めてきました。
 しかしながら、過労死ラインを超える残業をする教員は依然として存在しており、特に副校長については、小学校で三割、中学校で二割強に及んでいます。都は本定例会において、学校職員の勤務時間条例を改正するとともに、規則において、時間外労働時間の上限を規定するなどの取り組みを行うとしています。
 さらに、昨年七月に設立された東京学校支援機構では、令和二年度から人材バンクや学校法律相談デスクなどの事業を開始し、学校を多角的に支援していくこととしています。
 今後、教員が児童生徒と向き合う時間をしっかりと確保できるように、学校における働き方改革に向けた取り組みを一層進めていくべきと考えますが、教育長の見解を伺います。
 人生百年時代に向けた対応について伺います。
 受動喫煙対策について伺います。
 いよいよ四月一日から東京都受動喫煙防止条例及び改正健康増進法が全面施行となります。都が先日実施した調査結果によると、実に八割以上の都民が本条例の取り組みをよい、またはややよいと積極的に評価しているとのことです。
 これまで私たちは、啓発、指導、助言等に当たる人員体制の強化や区市町村と連携した共同キャンペーンなどを求めてきましたが、昨年八月には調布市長とともに、また今月上旬には受動喫煙防止カウントダウンキャンペーンの一環として港区長とともに、知事みずから飲食店を訪問し、街頭でPR活動をするという共同キャンペーンを実施しました。都内全域での一体的な機運醸成のために、私たちが訴えてきた統一イメージのためのユニホームやのぼりなども導入が開始されており、都の積極的な取り組みを評価します。
 受動喫煙対策について都条例の実効性確保に向けた今後一層の取り組みを展開すべきですが、知事の見解を伺います。
 現在、受動喫煙防止カウントダウンキャンペーンとして実施されている各区市町村の取り組みのうち、好事例については、まだ取り組みがされていない他の区市町村にも広げるため、都から積極的に働きかけるよう要望します。
 二〇二五年に東京都で暮らす認知症の方の推計は約五十六万人、約六人に一人が認知症になる時代がやってきます。私たちはこうした変化に備え、認知症疾患医療センターでの相談機能充実や認知症サポーターの活動促進などのさまざまな提言を行ってきました。
 今後は、地域で認知症の方が安心して暮らせる共生社会の実現とともに、AIやビッグデータ等を活用して認知症の予防に資する取り組みを進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 昨年、第三回定例会において、私たちは高齢者及びその予備軍に対し、その後のライフプランをイメージできるよう就業、社会参加、フレイル対策、介護等に関して適切な情報提供を行うことを求め、知事から、五十代から六十代前半の都民を対象とした読本の作成に取り組んでいく旨の答弁をいただきました。
 元気高齢者の活躍、フレイル予防、介護、支援等の情報提供など、五十代から六十代前半の都民を対象としたこの読本の作成、配布を通じ、都民が健康で活力ある暮らしを送れるよう支援を一層強化すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 人生百年時代に向け、多くの高齢者が働き続けることを希望していますが、現状では六十五歳以上の方のうち就業している方は全体の四分の一にとどまっています。中小企業などでは雇う側にノウハウがなかったり、高齢者の働きやすい環境が整備されていなかったりすることから十分に取り組めていない状況です。
 都においては、昭和五十年から行ってきているシルバー人材センターに加え、さまざまなシニア就業応援プロジェクトを進めてきました。私たちはシニアを含む全ての人たちが生き生きと働くことのできる支援と環境づくりを継続して求めてきました。
 国において、令和三年度から、企業に七十歳までの就業確保の努力義務を課すことが見込まれている中、都としても、高齢者が活躍し続けられる社会の実現に向け、高齢者の雇用が一層進むよう就業支援を強化すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 前定例会において知事から、都立、公社病院を一体的に地方独立行政法人へ移行する方針が示されました。
 私たちは平成十八年に独立行政法人化、平成二十六年に非公務員型に移行した大阪府立病院機構を視察し、理事長初め関係者の方々と意見交換を行いました。
 そこでは、行政的医療における役割を継続的に果たしつつ、医業収入を大幅に拡大しており、質の高い経営体制の確立に取り組んでいる状況について伺うことができました。さらに、医師、看護師などの人材を柔軟かつ機動的に確保するための採用制度や、職員のモチベーションを高めるための給与体系や、研究費配分の工夫が採用されていた点も重要と認識できました。さらに、医療や現場を熟知し、改革マインドを持った理事長や病院長の人選が非常に重要であるという点も感じたところです。
 今後、都立病院、公社病院において、現場で働く職員並びに都民及び地域の医療機関等の理解を得つつ、また行政的医療を安定的に提供し続ける体制を確保しながら、独法化への準備を進めていくべきと考えますが、今後の方針について知事の見解を伺います。
 企業のみならず医療機関においても、近年の大規模化する災害、特に風水害への備えが急務となっています。
 一般的なBCPが平時と同程度の事業継続、または早期回復を目標とするのに対して、医療機関においては、負傷者の発生等によって、平時以上の医療需要に対応する医療提供体制が求められます。特に、浸水想定区域では電源喪失リスクが高まるなど、診療機能を継続するための地域特性に応じた計画の策定が重要であり、私たちは水害版BCP策定の必要性を訴えてきました。
 現在、全ての災害拠点病院でBCPが策定されていますが、災害拠点連携病院での策定率は百三十八病院のうち約六割となっています。
 そこで、全ての災害拠点病院及び災害拠点連携病院でBCPを策定するとともに、今後予測される大規模な風水害のリスクを想定した医療機能を継続できる体制の構築を図るべきと考えますが、都の見解を伺います。
 ダイバーシティーの実現に向けた取り組みについて伺います。
 昨年の第一回定例会において、私たちから制定を提案した犯罪被害者支援条例の条例案が約一年の検討を経て、いよいよ本定例会に提出されました。被害者やそのご家族の方々からも、条例の制定を心待ちにしていたとの声を多く聞いています。
 そこでまず、本条例制定を決断した知事の思いを改めて伺います。
 条例の制定を契機として、被害者等に寄り添った支援を一層進めていかなければなりません。これまでも都は支援計画のもとで、相談や精神的ケアなどを実施してきました。しかし、医療費などさまざまな費用の負担、被害現場となった住まいからの引っ越しの必要性、自分でも気づかないトラウマなど、被害者等が日常生活を取り戻すための課題はさまざまです。
 また、都内で犯罪被害に遭われた外国人が相談できる環境の不足などを指摘する声もあり、こうした生の声をしっかりと酌み取っていく必要があります。
 都は、犯罪被害者の方々に対する経済的支援の充実を求める私たちの主張を受け、新年度から見舞金の創設などに踏み切りました。
 このような支援の手をこれまでの相談対応からさらにその先へと進め、見舞金、引っ越し費用や弁護士への法律相談費用などの経済的支援を初め、被害者のさまざまな困り事の解決をサポートする取り組みを一層充実させていくべきだと考えますが、知事の見解を伺います。
 昨年の第四回定例会において、都民の就労の支援に係る施策の推進とソーシャルファームの創設の促進に関する条例が制定されました。本条例により、就労に困難を抱える人たちと一般の人たちがともに働く場がふえ、お互いに理解を深めながら働くことで、共生社会の実現につながることが期待されます。
 今後、ソーシャルファームを創出し、東京ひいては日本全国に根づかせていくためには、実効性ある認証基準と効果的な支援策をつくることが重要なポイントであり、これらを定める指針の早期公表が待たれるところです。
 都は、指針の策定に向けて、就労に困難を抱える人たちへの支援が全国に広がるよう、国に新たな仕組みづくりや法の制定等を検討するよう要望することも含めて多面的に議論すべきであるとともに、指針の策定に向けた現在の取り組み状況と、日本で初となる公的な認証に向けたロードマップを明らかにし、ソーシャルファームの誕生に期待を寄せる都民に示すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 いわゆる就職氷河期世代は、現在三十代半ばから四十代後半に至っており、今なお不本意ながら非正規雇用の状態に置かれている方などが多く存在し、支援が必要な方が約百万人いると見込まれています。
 私たちは、就職氷河期世代を対象とした都職員の採用を求め、また都民の雇用や就業を支援するための東京しごとセンターにおける支援強化を求めてきました。
 就職氷河期世代の方々の都庁における積極的な採用を進めるとともに、企業側の採用や育成などへの取り組みを促進することにより、就職氷河期世代の正規雇用化に向けた支援を一層強化していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 地域の生活課題が複雑化する中で、地域福祉の推進に重要な役割を果たしている民生児童委員への期待は一層高まっていますが、負担感の増大や担い手不足等が大きな課題です。
 私たちは、委員活動の多様化による経済的負担が早期退任や担い手不足の一因との指摘もある中で、負担感軽減のための実費の直接支弁や、地区の協議会に対する支援を求めました。知事も一日民生委員として活動され、都も令和元年に活動費の単価の見直しや年齢要件の緩和などの活動支援に取り組んできました。
 経済的困窮やひきこもり、認知症、虐待、いじめ、不登校など、複合的な課題や子供たちを取り巻く問題に対して、民生委員、児童委員自身の知識や能力の向上がますます求められている中で、民生委員協議会が実施している視察や勉強会などの研修に参加する際の自己負担を軽減させるなど、さらなる活動支援を推進すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 東京二〇二〇大会を機に、多くの外国人が東京を訪れ、多文化共生意識が高まるとともに、大会関連のボランティアが誕生して、ボランティア意識が醸成され、共助社会づくりの機運も高まっています。都は、こうしたレガシーを生かし発展させるために、コミュニティの活性化を支援する新たな財団を設立する方針を明らかにしました。
 私たちは、民間の知見の活用を分野にかかわらず訴えてきましたが、特に多文化共生については、従来、東京都国際交流委員会など民間の各種団体が中心的な役割を果たしてきました。コミュニティの姿が大きく変わりつつある今、これらの民間組織とより一層連携を進める方向性は重要ですが、一方で、財団設立の意義がしっかりと検証されなければならないとともに、都民から新財団の設立が天下り先の確保ではないかとの疑念を万が一にも抱かれないようにしなければなりません。
 これまで都と民間の任意団体である東京都国際交流委員会とがNPO団体などと連携して取り組んできた実績がある中で、新たに法人を設立する意義があるのか、国際交流委員会との関係も含めて伺います。また、民間人材の登用など、適切なガバナンス体制の確保が必須と考えますが、あわせて都の見解を伺います。
 仮称都民の城について伺います。
 今回示された都民の城の改修基本計画では、改修に関する概算費用が約百三十六億円とされています。都民の城は将来的には、周辺都有地との一体的活用を目指す方針が示されていますが、そこでは今回の改修費用が、将来における一体的活用においても妥当な支出と判断されるよう検討が進められる必要があります。
 都民の城の検討とそれに続く都有地一体としての長期利用を進めるに当たっての有識者会議における議論を今後どのように進めていくのか、都の見解を伺います。
 スマート東京の実現に向けた取り組みについて伺います。
 AI、ビッグデータなど第四次産業革命のコアとなるテクノロジーの社会実装の面で、日本は世界から大きくおくれをとっているのが現実です。首都東京は危機感を持ち、都市のスマート化において、世界のモデル都市としての地位を確立することが急務です。
 都が先般公表したスマート東京実施戦略では、電波の道でつながる東京、公共施設や都民サービスのデジタルシフト、都庁のデジタルシフトを掲げ、東京のスマート化を強力に推進するとしています。デジタル化を通じて、都民生活の向上を図るべきとする私たちのこれまでの主張と軌を一にするものであり、都の今後の取り組みに大いに期待をするところです。
 都では、5Gアンテナ基地局等の設置加速に向けて、都有地などの都が保有するアセットを通信事業者等に開放するとともに、ワンストップ窓口を創設し、利用手続の簡素化に取り組んでいます。これは全国初の取り組みであり、通信事業者からも評価されていると聞いており、都の取り組みを日本全体のスマート化につなげることが重要です。
 5Gアンテナ基地局等の設置加速において、先行する取り組みを全国の自治体へも共有していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 スマート東京実現のためには、全庁を挙げて局横断的に方向性を持って進める体制と、さらには、民間事業者とのコラボレーションができる体制の構築が急務です。
 これまで私たちは、局横断的に施策を実行する権限と責任を持つチーフ・デジタル・オフィサー、CDO等の設置も求めてきましたが、民間の情報通信企業のトップとして、さまざまな主体とコラボレーションして事業を進めてきた経験をお持ちの宮坂副知事にはCDO等としての働きが期待されます。
 デジタル化を通じた都民生活の質の向上のためには、システム導入、構築やデジタル化に関する都庁各局の施策を一体的にまとめながら、民間も含めたコラボレーションを推進する必要があると考えますが、宮坂副知事の見解を伺います。
 現在、都市全体を3Dモデル化して都市開発や課題解決に利用する取り組みが生まれており、シンガポールでは、バーチャル空間に都市全体を3Dモデルとして再現し、そのモデルに、交通情報や水位、人間の位置情報などの各種のリアルタイムデータを統合した都市のデジタルツインが形成されています。
 各インフラを整備する計画の立案や太陽光発電パネルの設置場所の検討、アクセシビリティーの改善、渋滞の解消や公共交通機関の改善といったさまざまな利用が考えられ、今後の都市運営の基盤となり得るものです。現在検討を進めている官民連携データプラットホームと連動させ、民間も広く活用できるようにしていくべきです。
 そこで、都として都市のデジタルツイン構築に取り組むとともに、3D都市モデル上でさまざまなシミュレーションなどを実施し、その結果を還元することによって社会課題の解決や政策立案に活用すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 これまでも私たちは、学校におけるICT環境整備の充実を強く求めてきました。都では令和二年度より、TOKYOスマート・スクール・プロジェクト、すなわち教育のICT化を強力に推進することとし、先般の私たちの代表質問に対しても、都立学校におけるICT環境の整備の強化が示されました。加えて、都内でのスマートスクールの実現のためには、都立学校に加え、区市町村立学校における取り組みを支援することが必須です。
 区市町村立学校におけるICT機器の整備支援に加え、現場でICT機器の導入活用を支援する人材の確保も強化すべきと考えますが、教育長の見解を伺います。
 5Gの普及は、都内中小企業やスタートアップにとって関連市場に参入し事業拡大を図る絶好の機会であり、シェアリングエコノミーとの連動なども期待されます。生産分野での活用によるスマート化や新たなワークスタイル創出により企業の生産性を高め、そこで働く人のクオリティー・オブ・ライフの向上にも寄与する取り組みとしても期待され、都としても積極的に後押しすべきです。
 時期を逸することなく、都が率先して産業分野や働き方の分野で5Gの活用を広げるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 私たちの島しょ振興政策研究会では、これまであらゆる東京の島しょ部を訪れ、現地の声を伺ってきましたが、大きな課題の一つが交通の利便性です。天候等により突発的に欠航が発生することがあり、また、運航事業者ごとに季節や曜日によってダイヤが異なります。そのため、島への旅行者にとっては、実際に目的地までどのようにすれば行けるのか、また、万が一欠航になった場合にどうすればよいのか、わかりづらいのが現状です。
 MaaSといわれる移動のサービス化の大きな流れの中、島しょにおける交通も、情報を一元化するポータルサイトアプリの開発に加え、チケットレス化や予約決済のデジタル化など、さらなる取り組みを進めていくべきです。
 将来的なMaaSも念頭に、島しょ地域の交通情報をわかりやすく提供することで、来島者の利便性を高めていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 障害があると証明したり、各種割引を受けたりするのに必要な障害者手帳ですが、現在障害者手帳は紙製です。破れやすく劣化しやすい、外出先で取り出すのに手間取るなどの不便さから、障害者手帳のカード化は当事者の長年の要望でした。四月から交付主体の都道府県や政令指定都市、中核市の判断でカード型の手帳が発行できることになりました。
 都においても、利便性の向上や耐久性の向上が期待される障害者手帳のカード化を推進するとともに、さらなる利便性向上に向け、カード化に加えて、ICTの活用、例えば、スマートフォンなどで併用できるアプリなど、さらなる利便性向上策を検討すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 稼ぐ東京の実現に向けた取り組みについて伺います。
 知事は施政方針において、来年度、中小企業の支援のあり方を見直し、明日にチャレンジ中小企業基盤強化事業と中小企業新戦略支援事業を新たに立ち上げ、技術、サービスの高度化に取り組む企業や、市場開拓、ICT化などに取り組む業界への支援の充実を図ることを表明されました。厳しい経営環境の中、懸命に頑張っておられる中小企業の経営者、業界の皆さんの実情に寄り添ったものであり、極めて意義深いものです。
 激動する世界経済、目まぐるしく進展する技術革新、さらには、人口構造を大きく変えていく少子高齢化の進行など、中小企業を取り巻く環境が劇的に変わる中、こうした変化に適応しながら、未来志向で挑戦を続ける中小企業への支援に都はしっかりと取り組んでいくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 国では昨年、人手不足対策として外国人労働者の受け入れ拡大に向け、新たな在留資格の創設なども行いましたが、都内中小企業における外国人材の確保に当たっては、海外に向けて、東京で働く魅力を発信するとともに、在留資格の手続や社内体制の整備等への支援に加え、文化や言語の違い等に起因する職場のトラブルの未然防止への対応など、受け入れ後も見据えたきめ細かな支援が必要です。
 都はこれまでも、中小企業に対し、外国人の採用に関する情報提供や外国人材とのマッチングなどの支援に努めてきましたが、外国人の雇用を取り巻く環境が劇的に変化する中、これまで以上に多様な施策を展開すべきです。また、外国人労働者の現状に詳しい外部の有識者などの意見を取り入れて、より効果的な事業展開を図っていくべきと考えますが、あわせて都の見解を伺います。
 地域コミュニティの重要性が改めて見直される中、その核として人と人をつなぐなど大きな鍵を握る商店街の価値に改めて光を当てていくことが必要です。
 先日、知事は施政方針において、商店街の重要性に言及し、その魅力を広く発信するために、大東京商店街まつりを開催し、地域産業の活性化を図っていくとの方針を表明されましたが、これは私たちの主張とも軌を一にするものです。
 地域の活力の源泉である商店街の活性化に向け、その魅力や役割などを広く発信していくことが重要と考えますが、知事の見解を伺います。
 私たちは、市場を取り巻く環境が大きく変化し、また、厳しさを増している中で、市場運営の基盤となる市場会計をより強固なものとし、持続可能な経営を可能とするとともに、海外輸出やICTの活用など、時代に即した取り組みを市場業者とともに進めていくことが重要と訴えてきました。
 市場業者による創意工夫を後押しするため、都は今年度から、中央卸売市場活性化支援事業を実施しており、市場業者からは、新たな事業を実施するきっかけとなったなどの声をいただきました。
 一方で、資金的な余裕がなかったことや、補助金審査にかける時間的な余裕がなく、補助を受けずに事業を実施した事業者もいたとのことです。
 令和二年度は、より多くの市場業者に寄り添い、制度を利用していただくために、さらに使い勝手を向上させていくべきと考えます。令和の時代における中央卸売市場の活性化に向けて、市場業者の取り組みを後押しすべく、一層強力に進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 セーフシティーの実現について伺います。
 都民の防災意識の向上に向け、これまで都は、町会、自治会等や子育て世代などに対する取り組みを重点的に行ってきました。例えば、パパママ東京ぼうさい出前教室などは、多くの応募があると聞いています。
 今後は、ターゲットをより明確にした取り組みが重要になります。例えば、都内の分譲マンションの総戸数は総世帯数の約四分の一に達していますが、昨年の台風第十九号の際には、高層マンション等の電源が浸水し、停電により上下水道やエレベーターが利用できない事態が発生するなど、マンション居住者特有の課題もあります。また、今後増加していく都内の外国人居住者や高齢者に対する取り組みの工夫も必要です。
 そこで、マンション居住者や外国人、シニア、子育て世代など、ターゲットをより明確にした上で、都民の防災意識の向上にさらに取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。
 私たちはかねてより、災害時の電力確保の重要性を訴えており、都が、私たちの求めに応じ、区市町村庁舎に対する非常用電源確保支援を行っていることを高く評価します。
 しかし、発災時の電力確保は十分とはいえません。もはや必要不可欠なインフラとなったスマートフォンなどの情報機器端末が災害時に使用できなくなる事態を回避するため、共助のかなめとなる町会、自治会等の自主防災組織の活動拠点等において、災害時に地域住民等が充電できる環境を整備していくことが必要です。
 発電機の中には百万円を超えるようなものもあるといいます。町会、自治会からは、一時的にとはいえ、こうした負担をすることは難しいという話を聞いており、自主防災組織が活用するためには一層の工夫が求められ、発災時の電力確保のための区市町村に対する支援を実施すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 東日本大震災の震災関連死の調査では、約三割の死因が、避難所などにおける生活の肉体、精神的疲労でした。災害による苦痛を軽減するために、実行可能なあらゆる手段が尽くされなくてはならないとするスフィア基準の基本理念を念頭に、避難所の質の向上を図ることが重要です。
 特に簡易ベッドは、床にじかに寝るより体の負担が少なく、エコノミークラス症候群等の防止にも有効とされ、抵抗力の落ちたお年寄りや体調のすぐれない方が病気を発症しにくくなる効果も期待されています。
 日本でも、二〇一八年の西日本豪雨の避難所で段ボール製の簡易ベッドが導入されるなど、近年注目度が高まっています。
 そこで、大型台風や首都直下型地震に備えて、都としても段ボール製簡易ベッドを備蓄すべきだと考えますが、都の見解を伺います。
 国内外から多くの観光客が訪れる東京二〇二〇大会の成功には、テロや犯罪への対策が十分に機能することが不可欠です。
 テロ対策においては、さきの定例会でも答弁のありました大会関連施設における危険箇所の把握、専門部隊の対処能力の向上、官民連携の取り組み等の諸対策がありますが、大会の脅威は、テロにとどまらず、近年頻発する大量で無差別な犯行が大会をターゲットとして行われるリスクがあり、また、大会期間中に警備が手薄になる地域を狙った犯行についても、決して許してはなりません。
 新たに就任された斉藤実警視総監は、これまで長らく警備畑を歩んでこられた警備のエキスパートであり、昨年は警視庁副総監として、天皇陛下の御即位に伴う一連の儀式や、ラグビーワールドカップなどの警備の指揮もしてこられたものと聞いています。
 これまで積み重ねてきた東京二〇二〇大会の安全で円滑な開催に向けた諸対策を総動員しつつ、都全域の治安を維持し、首都東京の万全な警備を行うべきと考えますが、警視総監の見解を伺います。
 本年は、東京二〇二〇大会が開催される年であり、また国内でのたび重なる凶悪事件の発生も踏まえ、防犯カメラの設置、維持管理、さらには運用に関する経費への支援を希望する声は一層多く寄せられており、私たちも都に一層の支援を要望してきたところです。
 今や必要不可欠な公的インフラとなっている地域の防犯カメラについて、設置促進に向けて支援を一層拡充すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 都内における救急出場件数は、高齢化の進展、都民の救急ニーズの変化等により、十年連続で過去最多を更新し、年々増加の一途をたどっています。急病や事故については、例えば心停止から一分経過するごとに救命率が約一〇%ずつ低下することなどが知られており、一刻も早い心臓マッサージの実施等の必要性が明らかになっています。
 一人でも多くの命を救うためには、私たちとしてこれまで求めてきた救急隊の現場到着時間のさらなる短縮化に加えて、今後は、通報から出動までの時間を短縮し、また有効活用すべきと考えます。
 救急隊の傷病者への早い接触とバイスタンダーによる早期の応急処置が重要と考えますが、近年の東京消防庁の新たな取り組みについて伺います。
 都はこれまで、防災都市づくり推進計画のもと、震災時などに甚大な被害が想定される木造住宅密集地域の不燃化十年プロジェクトを行うなど、令和二年度を一つの目標として、整備地域の不燃化を推進してきました。その目標達成に向けてはいまだ道半ばであり、地域ごとの進捗状況や、その課題に応じた整備プログラムの見直しや、新たな施策の展開が必要不可欠です。
 木密地域の解消に向けて、先般、私たちは小池知事に対し、木密地域不燃化十年プロジェクトの取り組みの延長や、基礎自治体への支援の一層の強化など、防災都市づくりの推進に向けた緊急要望を行いました。
 木密地域の不燃化を推進する新たな施策を展開していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 震災時に建物倒壊による道路閉塞を防ぎ、避難や救急消火活動、緊急物資輸送を円滑に進め、早期の復旧、復興につなげるためには、緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化が必要不可欠です。
 これまで私たちは、建物所有者等への働きかけを強化するとともに、耐震改修等への各種支援の拡充を求めてきました。昨年末に公表された耐震改修促進計画改定素案では、新たな施策が盛り込まれています。そこでは個々の建物に着目した耐震化率だけでなく、通行機能確保の観点から、区間到達率や総合到達率といった新たな指標を用いた目標が設定されましたが、耐震化の実効的な促進につながるものにしなければなりません。
 そこで、特定緊急輸送道路の通行機能の確保のため、今後、区間到達率や総合到達率による新たな耐震化の目標達成に向けて効果的な施策を展開していくべきですが、都の見解を伺います。
 都市環境の整備について伺います。
 過去に経験したことのない豪雨、四十度を超える暑さなど、気候変動による影響は差し迫った深刻な状況です。
 そうした中、昨年五月に東京で開催されたU20メイヤーズ・サミットにて、二〇五〇年までにCO2排出実質ゼロに貢献すると小池知事が宣言し、さらに昨年末に、ゼロエミッション東京戦略として、気候変動に立ち向かう行動宣言をしたことは、世界諸都市のこれまでの気候非常事態宣言よりも一歩踏み込んだ決意と具体策を示したものであり、高く評価されるべきものです。
 日本政府が国際的な批判を受ける中で、都は都民、国民や経済界などの世論や協力を喚起し、日本、世界をリードしていく役割を担うべきであり、あらゆる場面を活用し、ゼロエミッション東京戦略の考え方を共有、浸透させていくべきです。
 ゼロエミッション東京戦略の意義を都民及び世界へ広く発信するとともに、その実現のため、都民や経済界を巻き込み、行動変容を起こしていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 ゼロエミッション東京戦略では、都は国の導入目標を上回る形で、二〇三〇年に新車販売台数の五〇%をZEVとする目標を設定しました。この目標達成に向けては、私たちも指摘してきたとおり、いかにZEVを利用しやすい環境を整備できるかというインフラ整備が大きな課題です。
 庁有車のEV導入拡大や、都有施設を活用した急速充電器の整備は評価できる取り組みですが、民間事業者等との一層の連携、そしてFCVの普及に不可欠な水素ステーションの多摩地域を含めた整備拡大などが必要です。
 今後建設されるビルや集合住宅において、一定規模以上の施設を中心に充電器設置の協力を促進するなど、ZEVの社会定着に向けた環境整備を民間事業者も巻き込み推進していくべきですが、都の見解を伺います。
 私たちが提言している自然と融合した都市環境の推進には、都市の緑化の一層の進展が必要です。
 いわゆる二〇二二年問題により、生産緑地のさらなる宅地化が懸念される中、東京都農業会議を初め、多くの方から、緑の確保、農地の保全に関するご意見をいただいてきました。私たちの要望を受け、今回の緑確保の総合的な方針の改定において、確保地の項目の中に特定生産緑地の項目が新設されたことを評価します。
 国の調査によると、生産緑地の指定を十年間延長できる特定生産緑地に移行しないとした都内農家が全体の二割おり、これらの農家からの早期の買い取り申し出が想定されます。しかしながら、区市にとっては財政的負担が大きいことがネックとなり、あるいは買い取り交渉がうまく成立せず、まだまだ実績が少ないのが現状であり、私たちが求めてきたとおり、都として強力な後押しが必要です。
 都市農地の減少を抑制するためには、区市による生産緑地の買い取りとその効果的な活用を後押ししていくことが重要ですが、都の見解を伺います。
 東京には世界でもトップレベルの高密な鉄道ネットワークが発達していますが、その強化は、国際競争力のさらなる強化や多摩地域の発展、ひいては日本全体の発展に寄与する極めて重要なものです。
 私たちも、空港アクセス線、多摩都市モノレールに代表される多摩南北交通、ベイエリアなど、都全体の鉄道ネットワークの強化を求めてきました。
 平成三十年度の鉄道新線建設等準備基金の創設に加え、来年度予算においても六路線等に関する検討に向けた調査費が計上をされており、鉄道ネットワークの整備促進についてさらなる進展が期待されます。
 多摩都市モノレールを初め、交通政策審議会答申でも進めるべきと示された六路線など、鉄道ネットワークの実現を早期に図るべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 二〇二七年を予定しているリニア中央新幹線の開通まで七年となりました。リニア中央新幹線は、品川駅─名古屋駅間を最短四十分で結び、日本の人、物の流れを大きく変え、世界に類を見ない巨大な経済圏を生み出すことが期待されます。
 都は、高輪ゲートウェイ駅や橋本駅といったリニア停車駅周辺の整備のみならず、両駅への広域的なアクセスや隣接地域のまちづくりをあわせて進めることで、リニア整備の波及効果を最大化しなければなりません。
 さらに、環状四号線、南多摩の大動脈の一つである南多摩尾根幹線など両駅周辺へとつながる道路交通ネットワークは、リニア開通に遅滞なく進めることが重要です。
 リニア中央新幹線の開通時期を見据え、品川駅周辺や橋本駅付近へのアクセス性の向上に資する道路整備を推進させるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 日本橋周辺の首都高の地下化を前進させることは、単に老朽化対策や交通の円滑化にとどまらず、東京二〇二〇大会後の東京の姿として、歴史あふれる美しい水の都東京を世界に示すことにつながります。
 これまでも私たちは、日本橋周辺の首都高地下化に関し、安全・安心の観点、日本橋地域全体のにぎわいの観点、歴史や文化など日本橋らしさをどのように将来にわたって継承していくのか、また、経済的な合理性、災害時のライフラインの確保など、本事業の意義や効果について多くの理解と協力が得られるよう要望してきたところです。
 東京の魅力を高めるためにも、日本橋以外のエリアにおいても、日本橋のように、まちづくりと連携して首都高の地下化などの大規模更新を促進すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 現在、都内の約四分の一の世帯がマンションに住み暮らす一方、建物の老朽化とともに、居住者の高齢化もあわせて進んでいます。
 これまで私たちは、マンションの管理不全を予防し、適正な管理を進めるとともに、老朽マンション等の再生を促進していくことで、都民生活の質の向上、そして都市の再生につなげていくことを求めてきました。
 都道府県で初となるマンションの管理状況届け出制度が本年四月から施行されます。今後、この届け出制度を契機として、都においてマンションの適正管理とその再生がしっかりと進むよう、実効性ある施策を積極的に展開していくべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 地域の居場所づくりに関し、私たちからは、子供食堂の推進とともに、高齢者の地域活動との連携も求めてきました。
 都営住宅は都内各所にあり、集会所などの交流施設が設置されていることから、これらを活用した居場所づくりは、高齢化や単身化が進む都営住宅における緩やかな見守りの役割を果たすとともに、周辺住民も含めたコミュニティ活性化、ひいては安心して暮らし続けられる住環境の形成に資するものです。
 今後、東京みんなでサロンを展開する上では、高齢者だけでなく、地域に住む多世代の方々の居場所づくりにつながるよう工夫を凝らすとともに、都営住宅の居住者に限らず、例えば周辺住民に対する交流施設の積極的な開放など、地域に開かれた都営住宅の契機とすべきですが、都の見解を伺います。
 昨年のラグビーワールドカップは、日本代表の活躍もあり、日本中が熱狂に包まれました。ラグビー人気は大会後も継続していますが、ラグビーをできる場所が近くに確保できないという声が上がっており、私たちも、より多様な人々がラグビーに触れ、競技を楽しめるレガシーとしていくため、都として環境を整えることを求めてきました。
 他方、都立公園でラグビー場整備を進めるのは重要ですが、それにより他競技での利用を制限されるのではないかとの心配の声も届いています。
 都立公園において、ラグビーの裾野を広げる競技環境を整えていくに当たっては、他競技の利用と調和する形で整備されるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 行財政改革について伺います。
 小池知事の就任により開始された二〇二〇改革は、一貫して都庁の生産性向上、機能強化に取り組み、着実な成果を上げてきましたが、昨年末には、二〇二〇年以降を見据えた新たな都政改革ビジョンが公表されました。
 その中では、東京二〇二〇大会後を見据えた都庁組織の検討も含まれていますが、私たちは、大会後に多数の都職員が組織委員会から戻ることも踏まえながら、大会のレガシーをスポーツの振興にとどまらず、幅広く生かすとともに、長期戦略ビジョンの実現に適した組織への再編が必要と訴えてきました。
 さらに、これからの行政は、都民の顧客満足度をしっかりと定義し、それを最大化するという、民間企業に近い視点も求められます。あわせて、データに基づいた政策の効果検証を常に行っていくことで、真に都民のための都政を進めていくことが必要です。
 それこそが都民ファーストの視点だと考えますが、行政サービスの向上を追求し、都庁の人材や組織を変貌させていくという新たな都政改革に取り組むに当たっての知事の決意を伺います。
 今後、中長期的に水道料金収入が減収に向かい、一方で、老朽化した水道管の更新費用の増加や水道事業を担う人材の不足が見込まれるなど、都の水道事業の効率化は待ったなしの重要課題です。先日公表された東京水道長期戦略構想では、政策連携団体への業務移転の強化が示されました。
 水道事業はいうまでもなく、都民の生活に不可欠な、最も重要な社会インフラの一つであり、安定した水の供給に支障が出るような事態は決して許されません。損益管理やガバナンスなど、民間企業の利点を生かした政策連携団体の効率化、都との関係性、委託事業に対する責任の所在など、さらなる議論が必要です。また、政策連携団体に業務を移管することによって、事業に対する都民、議会のチェックが弱まることがあってはなりません。
 これまで私たちは、ワイズスペンディングの視点から、水道あんしん診断の実効性を根本から問うなど、今後の水道事業のあり方について、さまざまな問題提起を行ってきました。
 ICTの活用など、これまでにないさまざまな新しい発想を持って、水道事業の効率化を図ることはもちろん重要ですが、都民生活の根本である水道事業の責任は都が負うことを明確にし、しっかりと議会のチェックのもとで組織運営を図ることを徹底し、加えて、東京水道から民間事業者への委託、発注の公平性、透明性の一層の向上を図ることが安定した事業運営の継続のために極めて重要であると考えますが、都の見解を伺います。
 虐待などの痛ましい事件が各地で発生する中、専門機関である児童相談所の果たす役割が極めて重要であることは、改めて指摘するまでもありません。法改正により、特別区も申し出により児童相談所を設置できるようになり、来年三つの特別区が区立児童相談所の開設を予定しています。
 こうした中、今回の都区財政調整協議では、特別区の財源配分割合を来年度に〇・一ポイントふやして五五・一ポイントとすることで合意しました。協議では、都と特別区の意見がまとまらず、協議期間を延長したとも聞いています。都区双方が粘り強く協議を行い、合意に至ったことは前向きに評価できるものです。
 今後の検討のためには、今回の議論の経緯が正確に理解されなければなりません。
 そこで、今回の都区財政調整協議では児童相談所についてどのような議論があったのか、また、どのように合意に至ったのか、今後の協議はどのようになるのか知事の見解を伺います。
 東京二〇二〇大会は、世界中に興奮と感動を呼び起こすとともに、都民の記憶と誇りとなり、大会後の東京の成長につながるものにしなければなりません。そのためには、都が区市町村の主体的な取り組みを積極的に後押ししていく必要があります。私たちは、区市町村が行うコミュニティライブサイトやパブリックビューイング、聖火リレーやボランティア育成、スポーツ環境整備などへの支援の充実を訴えて、強く求めてきました。
 これらを踏まえて、都は、区市町村に対する支援を一層充実し、大会成功に向けてともに臨んでいくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 オリンピック・パラリンピック教育の総仕上げである子供たちの観戦機会の確保に関し、これまでも私たちは、子供の年齢への配慮、車椅子対応、暑さ対策など、子供たちの個別の事情に十分に配慮することを求めてきました。公共交通機関を使った移動や、熱中症の懸念等についての学校、そして保護者の不安の声には、引き続きしっかりとした対応が必要です。
 夏のテストイベントの検証結果等も踏まえ、子供たちが集団で移動するという点を考慮した十分な安全対策、そして暑さ対策を行うべきと考えますが、教育長の見解を伺います。
 私たちは、チケットがなくても世界のトップスターを間近で感じられる機会の一つとして、駒沢公園に決定したサッカーの公式練習会場の公開を都に求めてきました。
 都は、こうした要望を受けて、選手にとって最もデリケートな公式練習会場の公開について、IOCやFIFA等と慎重な協議を重ね、公開の合意を取りつけました。さらには、サッカーを皮切りに、ほかにも練習会場の公開に前向きな競技があると聞いています。
 競技団体の理解を得ながら、子供たちに一生に一度の体験を提供すべく、関係機関と交渉を重ねた都の姿勢を評価します。
 今後は、練習風景の公開が、選手にとっては支障がなく、見学者にとっては最高の体験となって、東京二〇二〇大会のレガシーとなるように取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。
 東京二〇二〇大会のレガシーの一つが、容器包装の削減やリサイクルなどに代表される持続可能な社会の実現に向けた取り組みです。プラスチック容器のリサイクルで表彰台を製作する取り組みも行われていますが、大会自体の持続可能性だけでなく、都民の行動変容や事業者の新たな取り組みを促すなど、大会後にも残るレガシーをつくることが重要です。
 東京二〇二〇大会を通じ、プラスチックの資源循環の実現に向けて、リサイクルに当たって、より付加価値の高いものを生み出すアップサイクルの考え方などに基づき、より高度なリサイクルにも挑戦し、レガシーとしていくべきですが、都の見解を伺います。
 東京二〇二〇大会の大きなレガシーに位置づけられるものが、障害者スポーツの環境整備です。今大会で培われたパラスポーツの灯を消さず、東京、そして日本におけるソーシャルインクルージョンの推進の大きな節目が東京二〇二〇大会であったと後世から評価されるよう、大会後に何をレガシーとして残すかが極めて重要です。
 障害者スポーツの環境整備など、大会後を見据えた障害者スポーツの振興をどのように進めていくのか知事の見解を伺います。
 都が直接支出した経費については、経費関係書類は公文書として保管され、適切に公開されますが、公益財団法人である組織委員会については、その限りではありません。また、組織委員会には経費書類のみならず、IOCとのさまざまな交渉記録なども残されていることから、重要書類が散逸しないように、都と組織委員会などで今後協議される予定の文書管理の仕組みを裏づける条例をつくり、事後検証を可能にすべきです。
 本定例会に提出しました東京二〇二〇大会に係る文書等資産の保管及び承継に関する条例案は、組織委員会から精算人に引き継がれた重要書類についても散逸がないように求めるもので、オリンピック史上極めて重要な取り組みであり、今後の開催都市にとってもレガシーになる条例です。
 小池知事は就任早々に、東京都公文書管理条例を制定し、文書の保管や情報公開の意義を強く訴えてこられました。
 そこで、東京二〇二〇大会後の経費の検証の必要性と大会関係文書の保管、承継の意義について知事の見解を伺います。
 昨年十二月に大会経費V4が公表されました。組織委員会の支出が収入を超え、負担し切れない事態に陥った場合には、最終的には東京都が責任を負うことになる以上、大会後も見据えた適切な費用対効果のあり方が引き続き検討されなければなりません。私たちはこれまで、開催が近づくにつれ、不合理な経費の膨張が生じないよう、組織委員会に対する関与の強化を繰り返し求めてきました。
 一方、組織委員会の収支が黒字となり、剰余金が生じた場合には、開催都市契約では、JOCが二〇%、IOCが二〇%、組織委員会が六〇%の割合で分配するとされています。しかし、組織委員会は東京都の出資等比率は五〇・〇%、常勤職員の三分の一以上が都派遣職員であり、その活動の多くが都のリソースに基づくものです。また、改めていうまでもなく、オリンピック・パラリンピックを初めとするスポーツ大会は、特定の誰かの利益のために開催されるものではありません。
 大会には都民の多額の税金が投入されており、大会経費が決して赤字となることのないよう、組織委員会と連携してコントロールしていくとともに、仮に剰余金が生じた場合には、都への適切な返還を求めていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 以上で代表質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。