代表質問 増子 博樹 平成30年第一回定例会

平成三十年第一回東京都議会定例会に当たり、都民ファーストの会東京都議団を代表して、小池知事、警視総監、消防総監及び関係局長に質問いたします。
 質問に先立ち、二月四日、名誉都民である造形美術家三橋國民さんが逝去されました。謹んで哀悼の意を表し、心からご冥福をお祈りいたします。
 また、世界的にも地震が多発する中、二月六日には台湾の花蓮で地震がありました。亡くなられた方々へのご冥福を心からお祈りするとともに、被害に遭われた方に対し、心からお見舞いを申し上げます。
 では、質問に入ります。
 二〇一八年は、一六〇三年に徳川家康が江戸幕府を開いてから四百十五年、一八六八年に江戸を東京と改名する詔書が発せられてから百五十年の節目の年です。この百五十年の間、明治十二年には東京府議会が開設され、大正の関東大震災、昭和の太平洋戦争での東京大空襲、戦後の経済成長や、オイルショックなどの幾多の経済危機を経て、現在では世界最大級の経済力を持つ大都市圏となり、最近では、世界の都市ランキングで、ロンドン、ニューヨークに次いで第三位になるなど、発展してまいりました。
 都は、百五十周年記念事業を予定していますが、百五十年の歴史を振り返り、未来を見据えて、どのような基本方針のもとで行うのか、知事に伺います。
 また、小笠原諸島は、昭和四十三年六月に二十三年ぶりに日本に返還されてから、ことし六月で返還五十周年の節目を迎えます。小笠原諸島は、日本が海洋国家として発展するための重要な位置にあり、平成二十三年には、ユネスコの自然遺産に登録されるなど、魅力がいっぱいです。都としてどのような基本方針のもとで返還五十周年にかかわっていくのか、知事の見解を伺います。
 次に、国と地方のあるべき姿について質問します。
 国は、平成三十年度の税制改正における地方消費税の清算基準の見直しによる影響で一千四十億円、平成元年以降の累積で六兆円もの財源を都から奪っています。来年の消費税一〇%段階においても、さらに都の財源からの収奪が懸念されています。これでは、日本全体の成長の芽を摘んでしまいます。国が行うべきは、地方自治を拡大し、自治体間競争を促して日本を発展させていくことであり、地方自治体への抜本的な財源移譲です。
 今、日本に必要なのは、東京と他の地域がそれぞれの持つ力を発揮して、互いに支え、高め合うことにより、日本全体の発展と持続的成長を実現することです。
 このためにも、国から地方自治体への大幅な税源移譲を進め、地方自治体の自立的な財政運営に結びつけていくことこそ目指すべき方向だと考えます。知事の見解を伺います。
 資源がない日本が経済発展をしてきた力の源泉は人です。明治の近代化をなし遂げたのも、江戸時代に培われた志の高い塾の存在、庶民の識字率の高さ、職人の高い技術力、経済を動かしていく人々の存在でした。学問は自由な競争環境や積極的な投資の中で育ちます。
 しかし、政府は、二月六日、東京二十三区内の大学の学部新設、定員増を認めないとする法律案を予算関連法案として国会に提出し、年度内の成立を狙っています。
 この法律案は、地方活性化の効果も明確でなく、いたずらに大学受験の子供を持つ都民や受験生本人にとっての学びの機会や大学の自由な競争を損ない、ただでさえ低下している日本の大学の競争力を弱体化させる不合理なものです。何一つよいことはありません。
 東京二十三区内の大学に対する国の不合理な措置を許さないため、関係者と連携して運動を生み出していくことが必要だと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、平成三十年度予算案の全体像などについて質問します。
 平成三十年度予算案は、安全・安心なセーフシティー、誰もが輝くダイバーシティー、世界をリードする持続可能な都市スマートシティーの三つのシティーの実現に向けた各分野の施策に我々の提言や要望が随所に反映されています。
 また、予算編成に当たっては、事業評価を徹底し、スクラップ・アンド・ビルドが行われ、平成三十年度だけでなく、高齢化対応や社会資本の更新など、将来増加する需要に備えた予算となっていること、都民や職員のアイデアを募集するなど、予算編成過程が都民に開かれ、都民が参加できるものになったことなど、我々が掲げる都民ファースト、情報公開、ワイズスペンディングの取り組みの一層の推進が図られており、高く評価するものです。
 こうした平成三十年度予算案にかけた知事の思いや工夫、特徴について伺います。
 財政の健全化のためには、歳出の適正化が不可欠です。東京都が発注する工事は、中小企業の育成にも役立っていますが、財源は税金であり、適正な価格で発注することは、東京都の都民に対する責任です。
 入札契約適正化法では、公共事業の入札及び契約について五つの目的を掲げています。それらは、入札及び契約の過程、契約の内容の透明性の確保、公正な競争の促進、談合その他の不正行為の排除の徹底、ダンピング契約の防止、契約された公共工事の適正な施工の確保です。法律の要請として、入札制度改革はこの目的に即して進められなければなりません。
 その上で、柔軟かつ適切な改革を行うため、都民ファーストの会東京都議団としても、入札に参加する業界団体の意見のヒアリングを求めました。入札契約制度改革の試行の状況と今後どのように改革を進めていくのかについて見解を伺います。
 また、都の入札には大企業も中小企業も参加できますが、今後の入札契約制度の検討に当たって、特に都内産業や雇用を支える中小企業に対する配慮という視点も必要ではないかと考えますが、見解を伺います。
 平成三十年度予算案に、市町村総合交付金の増額、医療的ケア児の看護師配置などが盛り込まれたことは、都民ファーストの会東京都議団としても要望がかない、評価したいと思います。
 また、都における庁有車の運行については、過去にも平成十九年度に、当時の国の行政効率化計画に合わせた取り組みとして一部の局長級の庁有車を廃止するなど、見直しに取り組んでこられました。そうした中、先日、都は来年度から、庁有車の運行体制を変更することとされましたが、より効率的な運行体制を目指した不断の見直しとして評価いたします。
 旧来の慣行にとらわれない、時代と世界の動きに対応した予算編成を継続していくには、知事のリーダーシップだけでなく、都庁職員の計画的な育成が必要です。
 東京都のさらなる発展を日本全体の成長につなげるなど、首都として担うべき使命を果たしていくには、国際感覚を持った都職員の育成が不可欠と考えますが、海外への派遣実績など、現在の状況と今後の方針について、知事に伺います。
 小池知事が進める東京大改革は、平成二十八年九月に設置された都政改革本部での議論、取り組みを重ね、今年度末の二〇二〇改革プランの完成で、次は、実行、実践段階に入るものと承知しています。職員や各局それぞれが主体的に、より実効性ある改革を推進する体制構築が必要かと思います。
 そこで、今後の都政改革の進め方について、知事の見解を伺います。
 次に、東京都の長期的な都市整備について質問します。
 鉄道ネットワークの充実等を図るため、東京都鉄道新線建設等準備基金の設置条例案が本定例会に提案されています。新空港線や有楽町線豊洲─住吉間、多摩都市モノレールの二路線など、事業化を望む地元にとって期待は大きいものがあります。
 そこで、鉄道ネットワークの充実に向けた知事の決意を伺います。
 臨海エリアの開発は都の重要課題ですが、臨海副都心の開発が進めば、交通需要がさらに高まります。こうした交通需要の増加に速やかに対応するため、都では、都心と臨海副都心を結ぶBRTを計画していますが、あわせて都営バスの路線の充実も必要です。
 都は、バス輸送の強化に取り組んでいますが、そのための車両基地をどこに整備するかを含め、臨海副都心の交通需要の増加への今後の都の取り組みについて伺います。
 無電柱化は、都市景観、災害時の安全の確保など多くの効用がある施策です。課題であった区道の無電柱化を推進するチャレンジ支援制度も二年目を迎えます。国でも無電柱化推進計画の概要により三年間の目標値が掲げられ、パブリックコメントを募ることとしています。このような中で、都には、都道、区市町村道まで広げた大きな目標を持って取り組んでいただきたいと考えます。
 そこで、東京都無電柱化計画の素案が発表されましたが、無電柱化を推進するに当たって、目標設定はどうなっているのか伺います。
 また、区市町村道での無電柱化の推進に当たり、狭隘な道路も多い区市町村道での推進に際し、区市町村との連携をどのように進めていくのか伺います。
 さらに、無電柱化のコストを下げるための技術について、十年後は三分の一カットするとされていますが、これまでどのように取り組んできたのかも伺います。
 次に、東京大改革の一つの柱である、ダイバーシティー東京の実現について質問します。
 これからの東京を築いていくには、まず担い手となる人が大切です。私たちは、人が健康で生き生きと働き、異なった考え方を持った人々が互いに相手を尊重し合って生きることができる環境をつくること、そんなダイバーシティー、多様性に富んだ寛容な社会をつくるため、都民の皆さんとともに努力していきたいと考えています。
 まず、がん対策、たばこ対策について伺います。
 この問題は、オリンピック・パラリンピックのホストシティーである東京の国際性が問われる課題であるとともに、世界で繰り広げられてきた歴史的なたばこと人の健康との闘いに東京がどう取り組んでいくか、大変注目度の高い課題であると考えています。
 昨年十月に閣議決定された、国のがん対策の指針となる第三期がん対策推進基本計画によると、我が国では、能動喫煙によって年間約十三万人が死亡、肺がんのリスクが男性では約四倍、女性では約三倍に上昇すること、また、受動喫煙によって年間一万五千人を超える人が死亡しているという統計が示されています。ただし、受動喫煙対策の目標数値については調整が難航したため、空白のまま先送りされてきました。
 基本計画の二期計画では、飲食店での受動喫煙にさらされる人の割合を二十二年度までに一五%にするなどの目標が示され、三期計画を議論する有識者会議では、受動喫煙ゼロを掲げるよう求めていました。しかし、厚労省がことし一月に新たに示した受動喫煙対策は、公共の場の全面禁煙ではなく、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックに向けての受動喫煙対策を徹底し、計画期間中に望まない受動喫煙のない社会をできるだけ早期に実現するとの記載にとどめる内容となっています。
 東京都では、現在、東京都がん対策推進計画の作業を行っており、一次予防には、喫煙率減少に向けた啓発や環境整備及び受動喫煙防止が明記され、二次予防には、がん検診受診率五〇%の達成や、科学的根拠に基づくがん検診の実施や精密検査受診率九〇%の達成という目標も掲げられています。
 そこで、喫煙率減少に向けた取り組み、がん検診五〇%の達成、精密検査受診率九〇%という目標の達成に向け、都はどのように取り組んでいくのか伺います。
 私たちは、たばこ対策の原点は、受動喫煙、能動喫煙、いずれも減らしていくことにあると考えます。
 WHOのたばこ規制枠組み条約の趣旨は、たばこの使用及びたばこの煙にさらされることの広がりを継続的かつ実質的に減少させることであり、IOCとWHOの合意も受動喫煙だけではなく、たばこのないオリンピックであり、たばこのないパラリンピックの実現です。そのためには、たばこの害から都民を守るため、区市町村や関係団体と協力して、たばこの害キャンペーンを強力に進めていくことが効果的であると考えます。
 能動喫煙、受動喫煙を含め、たばこの害を減少させ、予防するための取り組みの基本方針について、知事の見解を伺います。
 区市町村で制定されている路上喫煙防止条例は、たばこの吸い殻の散乱及びやけど等の被害の防止を目的とするものが多く、たばこの煙を吸い込むことによる健康被害を目的とするものではありません。しかし、路上での喫煙を禁止する法令は外国では珍しく、外国人観光客に対しては必ずしも徹底されておらず、多言語での周知も必要であるとの指摘があります。路上喫煙防止条例もたばこの減少に役立つ政策です。
 そこで、外国人観光客の理解が進むよう、都としても路上喫煙対策について情報発信すべきと考えますが、見解を伺います。
 都民ファーストの会東京都議団らが提案、可決、成立した子どもを受動喫煙から守る条例は、この四月に施行されます。この条例の施行に向け、条例の趣旨を都民に普及啓発するため、どのような取り組みをしてこられたのか、また、今後どのような取り組みを行う予定か伺います。
 子どもを受動喫煙から守る条例の施行に伴い、特に公園の多くは子供たちが遊ぶ場でもあり、子供がたばこの害を受けない取り組みが必要であると考えます。
 都には各種の公園がありますが、どのように取り組んでいくのか伺います。
 また、学校や子供関連施設及び小児科の医院や病院の周辺などでは、条例に合わせた啓発の取り組みが急務ですが、都の取り組みを伺います。
 都が制定を目指している受動喫煙防止条例は、法理論上、WHOの枠組み条約を受けた国の法律の上乗せ、横出し条例と位置づけられます。
 現在、国で検討されている健康増進法の改正では、客席面積百平米以下の飲食店では喫煙を可能とするなど、飲食店に対して大幅な例外措置を設けています。国の受動喫煙防止法は、全国一律に適用される法律であり、これをそのままオリンピック・パラリンピックのホストシティーであり、人が多く集まり、活発な経済活動が行われている東京都に適用することは極めて不十分であり、都独自の条例が必要になると考えます。
 これまで都は、本定例会に条例案の提出を目指すとしていましたが、提案を見送った理由及び今後の東京都受動喫煙防止条例に向けた基本方針について、知事に伺います。
 隗より始めよとして、四月から、都庁と出先機関の事業所を全面禁煙にするという報道がなされました。都議会も、議会棟を四月一日より全面禁煙することを決定しておりますが、都庁全面禁煙についての知事の考えを伺います。
 次に、多様性に富んだ寛容な社会の鍵となる人権差別解消対策について伺います。
 都民ファーストの会東京都議団は、さきの第四回定例会の代表質問において、オリンピック憲章の精神を実現するための取り組みに関する質問を行いました。知事からは、オリンピック憲章の考え方は、ダイバーシティーの実現に資するものであり、そこに掲げられた理念を、都民と意識を共有するために条例化の検討を指示したとの答弁をいただきました。
 オリンピック憲章では、人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治的またはその他の意見、国あるいは社会のルーツ、財産、出自やその他の身分などの理由による、いかなる種類の差別も受けないとしています。
 ソチ・オリンピックでは、ロシアのLGBTへの対応により、欧米の首脳がオリンピックの開会式を欠席するなど、LGBTについての理解が進んでいる国も多く、開催都市として性自認や性的指向による差別解消に向けた取り組みが必要です。
 また、二〇一九年ラグビーワールドカップ、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、これまで以上に海外から多くのお客様を東京にお迎えすることになります。特定の民族や国籍の人々を排除する、排斥する差別的言動、いわゆるヘイトスピーチが行われるようなことは、開催都市としてあってはならないことです。
 オリンピック憲章の理念を都民に広める条例をできるだけ早期に制定する必要があると考えますが、知事の見解を伺います。
 平成二十五年六月に障害者差別解消法が成立し、この法律の施行を受けて、同じ年の十二月に障害者の権利に関する条約が批准されています。都は、東京都障害者差別解消条例の構成と基本的な考え方について、都民に対して意見募集を行いました。
 今後、都民から寄せられた意見を踏まえての障害者差別解消条例への取り組みの基本方針を知事に伺います。
 障害者差別解消条例は、ダイバーシティー東京づくりの重要な条例です。私たちとしては、これを契機として、個別の分野ごとの障害者施策を大きく前進させていきたいと考えます。
 まず、ろうあ者の方々に対する対策です。差別解消条例には、手話言語化に関する規定が盛り込まれる方向と聞いています。しかし、他の地方自治体の手話言語条例では、手話の研修の開催や普及などの具体的対策も盛り込まれています。また、ろうあ者にもさまざまな方がおられるため、手話を言語として位置づけるだけでなく、ろうあ者の方々の多様なニーズに対応できるようなコミュニケーション手段について規定することが適切です。私たちは、手話の言語化も含め、別条例とすることが適切ではないかと考えます。
 障害者差別解消条例を一種の基本法的な性格をあわせ持つ条例と考えて、ろうあ者の方々の情報保障、手話の言語化を含む条例を別条例とすることが適切であると考えますが、見解を伺います。
 視覚障害者の方にもさまざまな方がおられます。点字の普及、盲導犬の育成、都民に対する視覚障害者への補助方法の普及などの対策を推進していくべきです。また、知的障害者についても、地域における日中活動の場やグループホームなどの住まいの場の確保が必要です。障害者の状況はさまざまであり、それぞれの方の障害の特性に応じた応援が必要なことはいうまでもありません。
 現在、都は、東京都障害者計画、東京都障害福祉計画、東京都障害児福祉計画の策定を進めていますが、全ての都民がともに暮らす共生社会の実現に向け、障害者施策をどのように進めていくのか伺います。
 パラリンピックの開催を契機に、東京はユニバーサルデザインのまちに変わろうとしています。駅でのエレベーターの設置や洋式トイレへの変換や誰でもトイレの設置、道路や公園での段差の解消、そしてスポーツの面でも変化が起きています。
 現在策定中の東京都スポーツ推進総合計画では、これまでの東京都スポーツ推進計画と東京都障害者スポーツ振興計画を網羅しており、障害者スポーツを特別なものにしないという観点からも望ましいと考えます。また、スポーツを通じた共生社会実現に向けて、障害の有無や性別にかかわらないスポーツの振興を図っている点でも評価します。
 現在、障害者がスポーツを行うには、都内に専用施設は二カ所しかないため、物理的なハンディもありますが、一般施設であっても、指導者がいれば、障害者が使えるケースも少なくありません。
 障害者スポーツを支える人材のさらなる充実が望まれますが、都の取り組みについて伺います。
 次に、子供たちの教育環境の整備について伺います。
 未来を担うのは子供たちです。貧困の連鎖から子供が抜け出せるように、また、子供を育てる親への配慮とともに、子供の才能を伸ばし、子供が健やかに育っていくことができるよう、教育環境の改善に積極的に取り組んでいくことが重要です。
 小学校教育の現状と今後の在り方検討委員会の提言では、新学習指導要領の実施を見据えて、特に就学前教育と小学校教育の接続として、五歳児から小学校低学年を一まとまりとした教育課程の研究開発の必要性が指摘されています。
 現状では、小一における子供たちの程度差が大きいので、五歳児から遊びと学びの滑らかな接続が重要と考えますが、提言をどのように生かしていくか伺います。
 文部科学省の平成二十八年度子供の学習費調査によれば、公立中学校に通う三年生が学習塾などに要する補助学習費は年間平均三十七万円と、他の学年と比べ突出して高くなっています。
 私たちは、家庭の経済状況によって、高校への進学や希望する進路への夢をかなえられなくなることがないよう、都議選の公約でも、放課後の学習支援強化を訴え続けてきており、新たに都が行うスタディーアシスト事業については、意義ある歴史的一歩を踏み出していただいたと高く評価をしています。
 そこで、スタディーアシスト事業の目的と取り組み内容について伺います。
 文部科学省の調査では、都内小中学校の不登校の児童生徒が平成二十四年から増加傾向にあります。小学校での不登校経験のある子供たちが高校に進学してくることも影響しているとは思いますが、これまで減少傾向にあった高校における不登校を含む長期欠席者は平成二十八年に増加し、中途退学者も定時制では減少していますが、全日制では増加しています。
 そこで、不登校や中途退学を防止する取り組みに加えて、不登校や中途退学に至っても、挫折することなく自立に向けて歩みを進めるための取り組みを社会全体で行っていくことが必要ですが、知事の見解を伺います。
 また、都教育委員会は、平成二十八年度から都立高校の不登校や中途退学の防止のために、福祉や就労などの面から支援を担うユースソーシャルワーカーから構成される都立高校自立支援チームを設置し、さらに平成三十年度は、より専門性の高い主任ユースソーシャルワーカーを新たに設置するなど、体制の強化充実に努めるとしています。
 専門職の力を発揮させるためには、教職員に専門職の役割の理解を促し、連携を密接にしていく必要があると考えますが、見解を伺います。
 都教育委員会は、本年二月八日に学校における働き方改革推進プランを策定、公表しました。
 プランの作成は改革の大きな一歩ですが、ゴールではなくスタートです。これらが着実に実行されるためには、スクールサポートスタッフや部活動指導員といった外部人材の確保を計画的に行い、IT投資のための適切な予算を確保していくことが必要です。
 また、働き方改革を進める上で、教員だけでなく、保護者を含む関係者の理解も必要不可欠です。
 このプランを着実に進め、さらなるライフワークバランスを目指して努力していくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、待機児童対策、産後ケア対策について伺います。
 待機児童解消に向けた取り組みは、小池知事が就任以来、最重点施策として位置づけられ進められています。平成三十年度予算では、新たに、待機児童を抱える保護者の就労支援のため、ベビーシッター利用支援事業五十億円などが計上されるなど、百九十五億円増の千五百七十六億円が計上されています。
 ベビーシッター利用支援の位置づけなど、待機児童の解消に向け、今後どのように取り組んでいくのか、知事の考えを伺います。
 子供を安心して産み育てられる環境を整備するには、結婚から出産、子育てまでの切れ目ない支援が重要です。これについては、全体で十六億円増の二百三億円が計上され、今回、産婦健康診査支援事業や産後ケア支援事業が新規に盛り込まれており、母体の健康に目を向けていただいたことを評価します。
 こうした産後ケア支援事業も含め、妊娠期から出産、子育てにわたる切れ目ない支援について、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、高齢者の方々への切れ目ない支援について質問します。
 私たちは、日本の高度経済成長を支え、今も元気で東京の活力を支え続けている高齢者の方々に敬意を払い、引き続き活躍し、東京の発展に尽くしていただけるような対策を求めていきたいと考えています。
 団塊の世代が七十五歳以上になる二〇二五年には、東京都も超高齢化社会を迎えます。一口に高齢者といってもさまざまな方がおられます。元気な高齢者、虚弱な高齢者、介護が必要な高齢者、医療が必要な高齢者、遺言や身辺整理をする高齢者など、ニーズに応じて切れ目のない高齢者支援策を講じる必要があります。
 平成三十年度予算案では、元気な高齢者について、シニア就業応援プロジェクトに五億円、人生百年時代セカンドライフ応援事業に四億円などが計上されています。
 そして、生涯現役をキーワードに、高齢者が継続して学び、働くことを実現するために、百歳大学として、首都大学東京プレミアムカレッジの開設及び産業技術大学院大学シニアスタートアッププログラムの実施が計上されています。
 学位の取得を目的とした大学、大学院の課程や教養講座とは異なる百歳大学の意義と狙いについて、知事に伺います。
 元気な高齢者がいつまでも健康を維持して活躍できるよう、健康維持、回復のための対策も重要です。
 フレイルとは、新しい言葉ですが、加齢とともに体重の減少、疲れやすい、歩く速度が遅くなる、握力や活動量の低下、気力の衰えなど、運動機能や認知機能が低下し心身の脆弱性が見られるようになった状態ですが、適切な支援により、生活機能の維持向上が可能な状態のことをいいます。
 この段階で適切な支援策を講じれば、また元気を取り戻し、介護も必要なくなるため、高齢者対策としては極めて効果的であり、かつ、元気な生活を続けたい高齢者のニーズも高いものがあります。
 都は今後、フレイル対策にどのように取り組んでいくのか伺います。
 これからの十年間は、東京都の超高齢化社会への正念場です。
 東京都では、現時点においても約四五%が単身世帯であり、高齢者の単身世帯は、超高齢化社会を迎えて急増することが予測されています。高齢者が住みなれた地域で暮らせるよう支援するための取り組みが都民提案事業として計上され、平成三十年度予算では、高齢者の住まいの整備や暮らしへの支援も充実されています。
 策定中の平成三十年度から三十二年度を計画期間とする第七期東京都高齢者福祉保健計画では、平成三十七年度までに特別養護老人ホームは六万二千人分、介護老人保健施設は三万人分、認知症高齢者グループホームは二万人分、サービスつき高齢者向け住宅等は二万八千戸と、それぞれ数値目標が設定されています。
 この計画の目標をどのように設定したのか、また、今後、目標達成に向けどのように取り組んでいくのか伺います。
 また、高齢者の生活を守るための方策として、オレオレ詐欺を初め特殊詐欺対策は欠かせません。手口も巧妙化して、現金を詐取する手口から、警官やデパートをかたってキャッシュカードなどを詐取する手口もふえています。
 被害防止対策としては、金融機関との連携はもとより、コンビニとの連携、無人ATM対策、犯人からの電話に出ないための対策を強化する必要がありますが、被害者となりやすい高齢者などに周知を図るための広報啓発活動強化や被害防止に向けた取り組みについて、警視総監の見解を伺います。
 少子高齢化社会を支え、東京を活力ある都市としていくには、人材育成が必要です。産業別雇用の動向を見ると、医療、福祉での雇用が大幅に増加し、建設業、製造業での雇用が減少しており、少子高齢化に対応する人材の育成、定着対策が急務となっています。
 大学、短期大学、高等専門学校及び専修学校の新卒の就職率は九七%前後となっていますが、大学卒の就職者は、一年目、二年目、三年目それぞれ一割ずつ、三年間で三割が離職するというデータもあります。離職後の職業教育の場の充実は重要で、平成三十年度予算では、専修学校の職業実践専門課程への支援二億円の予算が計上されています。
 そこで、専門学校の教育資源や企業のノウハウを活用してのスキルアップ向上にさらに注力していくべきであると考えますが、見解を伺います。
 次に、働き方改革について質問します。
 東京で働くサラリーマンの体力消耗の原因として、満員電車による通勤があります。
 このため、今年度の時差ビズでは、時差通勤やオフピーク通勤者への特典付与などの取り組みが一斉に実施されました。
 例えば、都営の日暮里・舎人ライナー、大江戸線などで、ラッシュアワー前後の乗客にポイントを付与し、景品をつけるという企画が行われました。
 今後、さらに多くの人に参加していただくには、地下鉄の回数券のように、ICT技術を活用した通勤時間帯ごとの運賃設定など、新たな工夫も必要だと考えますが、相互乗り入れにより全ての鉄道事業者で実施することが必要であるなど、実現するには課題もあります。
 そこで、まずは今年度から始めた時差ビズを推進し、さらなる拡大と定着に向けて取り組むべきであると考えますが、見解を伺います。
 また、働き方改革の基本は、労働が正当に評価されることです。この観点から、東京都における同一労働同一賃金への取り組み及び非正規雇用を正規雇用へと転換するための取り組みについて伺います。
 次に、Old meets New東京キャンペーンなどの東京都の魅力発掘、発信について質問します。
 二〇二〇年東京大会に向けて、多くの文化プログラムの展開や各種事業が実施されます。
 これらの事業においては、東京の伝統的な文化や、現代の東京が持つ先進的かつ近代的な文化を観光的資源としても国内外に発信しつつ、多摩や島しょ、全国各地と連携したプロモーションを展開すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 銭湯は江戸時代から庶民の生活に浸透した日本文化です。しかし、銭湯の数は平成三十年一月現在五百六十一軒と、最盛期の昭和四十三年の二千六百八十七軒から減少の一途をたどっています。これまでの都の支援が効果的に働いているとまではいえない状態であり、新しい支援策が必要であるということについて、これまで委員会等でも指摘させていただいております。
 今後は、単なる補助ではなく、事業継承を念頭に置いた具体的で確実なアプローチが必要と考えます。
 銭湯を江戸の文化として応援してこられた知事の見解を伺います。
 また、魅力ある商店街も東京の魅力です。商店街の活性化は都にとっても重要な課題であり、時代の変化に応じた効果的な支援を行うことが必要です。大型ショッピングモールや主要な街道沿いに展開されるナショナルチェーン店の出店が続く中、こうした商業施設にない地域性、商店街固有の文化や特徴を生かし、顧客の購買意欲に合致する品ぞろえをするなど、商店街の強みを踏まえた、地に足のついた取り組みの上に商店街の維持発展があります。
 昨今では、空き店舗を活用して女性や若者が起業するなど、個性あふれる店を開く人も出てきています。
 都として、空き店舗の解消とともに、商店街の戦略的な取り組みへの支援に力を注ぐべきと考えますが、見解を伺います。
 さらに、町会や自治会といった地域のつながりも、祭りなどの東京の魅力を支えています。都内における在住外国人の数は、平成二十九年十二月現在で五十二万二千十九人を数え、東京都の人口動態は、少子高齢化や共働き率増加に加え、多文化共生という新たな課題を示しています。
 町会、自治会といった地域の底力を高める予算は増大傾向にあるものの、都民がお互いに支え合うNPO法人などの共助の活動をワンストップで支援する体制が、いまだ東京都には構築されていません。
 二〇二〇年東京大会を契機に活躍を期待される大会関連ボランティアの、大会後の活動継続支援なども含む機関が新しく必要であると考えますが、見解を伺います。
 新しい消費のスタイル、エシカル消費も、国際都市東京が取り組むべき課題です。
 本年三月に改定される東京都消費生活基本計画は、仮想通貨を初め、新たな消費生活トラブルに対応するため、消費生活相談の充実、SNSや動画を活用した都民へのタイムリーな情報発信、悪質事業者の取り締まりを強化すること、消費者の持続可能な社会の形成に貢献する消費行動を促進するため、エシカル消費の理念を広く都民に普及啓発し、理解の促進を図るとしています。
 しかし、都民の消費生活に関する意識調査における若者のエシカル調査の認知度は、知っているが六・一%と低い状況となっています。
 エシカル消費の認知度を高めるだけでなく、具体的な行動につなげるため、都はどのように取り組みを実施していくのかを伺います。
 東京を訪れる外国の方々に東京を安全・安心に楽しんでいただくためには、タクシーのICT化、多言語対応は急務です。
 私たちも、さきの定例会で、タクシーの多言語対応端末導入補助を提案し、タクシーの多言語化、ICT化を進めてきました。
 一方、現在、世界では、配車アプリの利用が一般的になっています。日本のタクシー会社もそれぞれ独自の配車アプリを提供していますが、多言語対応していないなど、日本を訪れる外国人には普及していません。
 二〇二〇年東京大会に向けて、グローバル都市東京として、外国人観光客も利用しやすい配車アプリの普及や多言語対応の充実は、世界の他都市と同様、円滑な交通サービスを提供するために必要だと考えますが、都の取り組みについて伺います。
 東京の魅力を拡大するにはナイトライフの充実が必要ですが、足の確保が課題です。ICTを活用し、ナイトライフを楽しむ人の傾向を予測し、タクシーのさらなる活用やコミニティバスを運行するなどの経済合理性に合致した方法もあります。
 そこで、二〇二〇年東京大会期間中、深夜時間帯の都営地下鉄の輸送対応の可能性について、交通局の見解を伺います。
 また、タクシーなどの移動手段を含めたナイトライフ観光の振興に向けた検討をすべきであると考えますが、都の見解を伺います。
 次に、もう一つの政策の柱、セーフシティー東京の実現について質問します。
 まず、安全対策について質問します。
 都民の安全な生活を脅かす犯罪も、高度な盗撮機器によるプライバシーの侵害や、つきまとい等の迷惑行為などへの変化が著しく、現行の迷惑防止条例では十分対処ができておらず、今定例会に条例改正案が提案されています。
 本条例の改正により、どのような行為が新たに取り締まりの対象となり、また、都民の安全を図るに当たり、本条例を施行する上での効果について、警視総監の見解を伺います。
 また、近年、都内の河川や運河などにおける一部の水上オートバイ等利用者による危険、迷惑航行が問題となっております。現行の東京都水上取締条例では、そのような航行の規制が困難として、条例の全部改正案が提案されています。
 本条例の改正により、どのような行為が新たに取り締まりの対象となり、また、都民の安全で静穏な生活を実現するために本条例をどのように運用していくのか、マリーナ事業者に係る規定を含めて警視総監の見解を伺います。
 自転車は、観光、環境、健康などの多角的な観点から有効に活用すべき乗り物です。
 しかし、他方で、都心でも自転車が放置され、また、歩行者に危険な走行や車道の逆走、飲酒走行などもあり、都民の迷惑や交通事故の原因になっています。東京都も、平成二十九年には十七年ぶりに都内の交通事故が増加した大きな原因は、自転車事故であるとしています。
 そこで、自転車安全対策として、法規範の浸透を図るため、平成二十八年度から、自転車安全利用指導員制度により、限定された地域で指導の実績を積み重ねているものと理解していますが、これまでの実績と費用対効果を考えた都内全域に拡大する方法について伺います。
 また、都民提案を踏まえ、自転車点検整備事業を推進すると聞いていますが、TSマーク取得の目標値とこれがもたらす効果について、都の見解を伺います。
 二〇二〇年東京大会に向けて、羽田空港を使う飛行機が増便されます。増便に伴って飛行ルートが変更になり、飛行機の騒音や落下物に対して、都民は不安を抱いています。飛行場の管理や飛行機の管制は国の事業ですが、東京都は、都民の安全と健康、快適な生活環境を維持する責務を負っています。
 東京都としては、国に対し、都民の声を十分に聞いて対策を講じるよう求めるべきであると考えますが、知事の見解を伺います。
 二〇二〇年東京大会でのテロ対策について伺います。
 ミュンヘン・オリンピックでは選手が人質となり、ボストンマラソンでは沿道爆発により観衆が死亡するなど、大規模テロが発生しました。二〇二〇年東京大会における警戒に万全を期し、万が一、テロ発生時も、安全・安心を確保することが重要です。
 そこで、二〇二〇年東京大会に向け、競技会場を中心とした東京消防庁の警戒体制の強化について伺います。
 また、事件や事故その他の事情により傷ついた人や病気を発症した人に対して、通報を受けてから素早く治療が受けられるよう、患者を救急搬送することが必要です。平成二十九年は一日二千百五十一件、四十秒に一回、救急車が出場し、八年連続過去最高を更新しています。
 そこで、増大する救急需要に対する東京消防庁の取り組みについて伺います。
 次に、災害対策について質問します。
 本定例会では、セーフシティ東京防災プラン、都政のBCPの改定、東京都の災害時受援応援計画などが新たに報告されています。災害対策は、東京都など供給側による公助としての対策だけでなく、自助、共助の担い手である都民の目線に立って、都民の理解と共感を得ながら、効果的に防災対策を進めていくことが重要と考えますが、知事の見解を伺います。
 また、災害に備えての一時滞在施設の確保や、従業員の施設内待機のための備蓄品の確保に向けた取り組みについて伺います。
 防災、減災の要諦は、都民の防災意識の向上であります。女性の視点防災ブック「東京くらし防災」の配布が三月一日から開始されました。災害時の女性のニーズにきめ細かく対応するため、女性の視点を防災活動に反映することは大変重要と考えます。
 そこで、女性防災リーダーを育成するため、育成カリキュラムなどの充実を図るべきと考えますが、見解を伺います。
 異常気象の影響により、大都市部でも局地的かつ集中的な豪雨が頻発しており、道路や住宅の冠水などが起きています。
 このような都市型水害に対処するため、新たな整備方針に対応する七つの調節池等の整備を推進していますが、都市型水害対策においても、ハードの対策だけでなく、ハザードマップなどによる住民に対するソフト対策も必要です。都民への情報提供はどうなっているか、伺います。
 また、河川の整備に当たっては、洪水対策だけでなく、地域住民の声や河川の特性を踏まえながら、緑や生態系への配慮など、自然を生かしたグリーンインフラとしての整備を推進していくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、スマートシティー東京の実現について質問します。
 まず、スマートエネルギー都市東京について伺います。
 世界では、再生可能エネルギーはビジネスとして拡大中です。既に、世界最大の再生可能エネルギー大国は中国になっており、日本はその後塵を拝しています。東京都は巨大なエネルギー消費都市であり、再生可能エネルギー電力を使うことにより、需要面から再生可能エネルギーの拡大に寄与することができます。
 そこで、東京都のスマートエネルギー都庁行動計画において、一〇〇%再生可能エネルギーを目指し、短期、中期、長期の工程表を策定すべきと考えますが、都の考えを伺います。
 また、都庁最大の排出者は下水道ですが、下水道局の温室効果ガスの排出削減への取り組みについて伺います。
 自動車では、ガソリン、ディーゼル車から電気自動車への転換が進んでおり、都も電気自動車の普及促進に六億円を計上しています。他方で、二〇二〇年東京大会に向けて、燃料電池自動車や燃料電池船のプロジェクトも、平成三十年度予算では三十三億円を計上して進んでいます。東京都内を走行する自動車の風景が一変する日も、そう遠くない未来に到来すると考えます。
 このような変化の過程にあるビジネスと連携しつつ、都の電気自動車、水素燃料自動車普及に対する基本的姿勢を伺います。
 自動車をめぐるもう一つの大きな変化は、自動走行技術です。二〇二〇年東京大会は、世界に向けて日本の魅力を示すよい機会です。水素燃料自動車とともに、SFやアニメの世界で描かれてきた自動走行は、まさに未来を象徴するテクノロジーであり、例えば、日本の玄関口である羽田空港周辺地域や臨海地域などで自動走行の実証実験を行うことは、最先端の自動走行技術を国の内外に発信する絶好の機会になります。
 都は、昨年九月に東京自動走行ワンストップセンターを設置し、自動走行システムの実用化支援に着手しています。昨年末には、都内で全国初の遠隔型自動走行システムの公道実証が行われ、具体的な成果も出ています。
 海外では、制御技術、センシング技術の高度化の技術実証に加え、IT企業や新興企業が自動走行車による配車サービスの試験を行うと発表するなど、新たな移動サービスの実現に向けた動きが加速しており、まさにモビリティー革命の時代を迎えようとしています。
 そこで、世界の変化におくれることなく、自動走行バスや自動走行タクシーなどの移動サービスを実現させるためには、ビジネスモデル構築に向けた民間の取り組みを強力に後押しする必要がありますが、都の取り組みについて伺います。
 自動走行システムの実現を促進するためには、民間の取り組みを支援することに加え、都民に対する目配りも重要になります。ある民間調査によると、自動運転走行の実用化へは、交通事故の減少、高齢者等の移動支援などに期待が集まる一方、自動運転走行システム自体の適切な操作、人通りの多いエリアでの走行、自動運転走行システム故障時の暴走、交通事故など、さまざまな点で不安があると回答しています。
 国においても、社会受容性を高める取り組みを行っていますが、今後多くの実証実験が見込まれる都内で実証実験を円滑に進めるためには、このような都民の不安を取り除き、自動走行について正しい理解をしてもらう必要があります。自動走行の普及啓発や機運醸成について、都の取り組みを伺います。
 次に、省エネルギーのためのLED照明の導入について伺います。
 LED省エネムーブメント促進事業は、ことし七月で一年が経過しますが、協力いただいている関係団体、機関や地域の電気事業者との連携を深め、課題を整理しながら進めていくべきではないかと考えます。
 また、都有地や都の施設のLED照明の導入を加速するとともに、LED省エネムーブメント促進事業については、都民への周知の徹底に努めるとともに、区市町村と協力するなど、新しい発想での取り組みを進めるべきであると考えますが、都の見解を伺います。
 次に、ことし九月に日本で初めて東京で開催される、国際水協会、IWA世界会議・展示会について伺います。
 国連では、持続可能な開発目標、いわゆるSDGsとして、二〇三〇年までに全ての人々に安全な水と衛生施設の確保が目標となっています。こうした状況の中で、東京都がこれまで培ってきた上下水道のすぐれた技術やノウハウを広く世界に発信することにより、世界の水事情改善に寄与することは大きな意義があります。
 今回の世界会議では、世界を取り巻く水問題解決に向けて、都の先進的な取り組みを積極的に発信していくとともに、都民の節水努力などの需要側の取り組みを紹介することが求められます。
 IWA世界会議を通じて世界の水問題の解決につなげていくために、開催都市としてどのような発信をすべきか、都知事の見解を伺います。
 また、二〇一八年IWA開催に当たっては、技術の展示会だけでなく、商談スペースなどを設けてビジネスマッチングへつなげる工夫も行い、国内企業のPR活動を支援すべきだと考えますが、準備はどうなっているか伺います。
 次に、東京の緑や生き物の保護について伺います。
 生産緑地に対する三十年間の固定資産税や相続税の特例措置の期限が二〇二二年に到来します。所有者は、区市に買い取りを求めることができますが、区市に財政的な余裕がなければ、大量の土地が市場に放出され、地価の急激な下落や乱開発が行われるおそれがあります。
 生産緑地からの大量の宅地の供給という事態を緩和するため、また、少子高齢化を迎えて子供や高齢者のためにも用地を確保するため、区市が都市計画公園区域内の生産緑地を買い取る費用を都が補助する、生産緑地の買い取り支援の予算が計上されていますが、この狙いや期待する効果について、都の見解を伺います。
 二〇二〇年東京大会において、都立葛西臨海公園に隣接するエリアは、カヌースラローム会場として整備され、特に内外から多くの注目を集めることになります。これと同時に、東京の豊かな水辺環境への注目度も高まるものと考えますが、現在準備を進めている葛西海浜公園のラムサール条約湿地登録に向けた取り組み状況について伺います。
 次に、オリンピック・パラリンピックについて質問します。
 東京都では、二〇二〇年東京大会開催期間に当たる七月二十四日から九月六日までを重点期間として、みんなでラジオ体操プロジェクトを始めています。先日の市町村長との意見交換会でも、知事はラジオ体操への協力を要請されておられました。ラジオ体操は第一と第二があり、いつでもどこでも誰でもができる体操として、立って行うラジオ体操だけでなく、障害者や高齢者向けの座って行うラジオ体操も普及しています。
 この座ったラジオ体操を拡充すべきと考えますが、知事の考えを伺います。
 また、オリ・パラの機運醸成のため、ラジオ体操をさらに全国に広げていく上でのアイデアについてもお伺いをいたします。
 オリンピック・パラリンピック大会が成功であるかどうかは、レガシーの構築に大きく関係します。二〇二〇年東京大会後、都民がどのような投資効果やレガシーを享受できると考えているか、知事の見解を伺います。
 また、大会開催に当たって都も多くの予算を負担する中、都民が開催してよかったと実感できるような大会にするためには、大会開催によるメリットを都民に実感していただくことが重要だと考えます。
 大会のレガシーや投資効果について、広く都民に説明する必要があると考えますが、都の見解を伺います。
 さらに、少子高齢化時代でのパラリンピックは時宜を得たものであり、パラリンピックを契機として、東京のまちをユニバーサルデザイン化するだけでなく、都民の心のユニバーサルデザイン化を促進するべきであると考えますが、どのような施策を予定しているか伺います。
 大会後、施設をどのように管理し、活用していくかも大きな課題です。大会後のオリンピック・パラリンピック施設の運営については、他の開催都市の例も踏まえ、大会後の都民の満足度が高くなるような活用策を検討していく必要があると考えます。
 二〇二〇年東京大会が終われば、大会組織委員会はその役割を終えますが、東京都はその後の施設の管理や活用をしていかなければなりません。
 二〇二〇年東京大会後の国際大会の開催予定、施設の管理運営計画、経営計画など、その後の活用、維持管理について伺います。
 オリ・パラ施設の建設工事における安全確保も必要です。先日、オリンピック・パラリンピック選手村建設現場において、作業員の死亡事故が発生しました。昨年三月には、新国立競技場の建設工事に従事していた男性がみずから命を絶ち、過労が原因の労働災害と認定されています。こうしたことを二度と起こさないため、徹底した再発防止策を講じる必要があります。
 オリ・パラ工事に当たっては、安全対策の強化はもちろんのこと、作業環境の改善を図るべきだと考えますが、都の見解を伺います。
 平昌大会を視察して、開会式を初め、交通量が極端に多くなる開催期間中の交通マネジメントの重要性を実感しました。競技に向かう選手にとって、会場への円滑なアクセスは、ストレスを減らすばかりか、大会そのものへの印象を大きく変えるものとなります。
 そこで、築地の車両基地の運用について伺います。
 現在、築地に予定されている車両基地にはバス八百五十台が待機し、選手村の晴海から競技施設へ選手を送迎する計画で、環状二号線を使用することになっています。円滑な選手の送迎に向けての築地の車両基地からの交通計画、マネジメントの取り組みについて伺います。
 また、開会式は特別な対応が求められます。平昌大会では、開会式が終わった後も送迎用のバスがなかなか到着せず、来場客が長時間にわたって会場周辺で待機を余儀なくされるなどの混乱がありました。
 特に開会式においては、世界のVIP車両、大会関係車両の待機場所を確保するとともに、公共交通を利用する来場客の動線を安全に確保する必要があります。
 オリ・パラ局においては、交通管理者である警視庁と緊密に連携をとりながら、綿密な計画を立てる必要があると考えますが、準備状況について伺います。
 感動をより多くの方に、より躍動的に、より印象的に伝えるための取り組みとして、平昌大会で用いられた、会場外にいる観客に感動を伝えるパブリックビューイングがあります。
 東京大会では、世界一の技術力を駆使した最高のライブサイトを設置して、会場に入れない多数の観客に感動を伝えていただきたいと考えますが、ライブサイトの取り組みについて伺います。
 次に、ボランティア募集や大会の機運醸成について伺います。
 二〇二〇年東京大会、二〇一九年ラグビーワールドカップのボランティアの募集が、平成三十年度から開始されます。都市ボランティアには、観客等への案内に加え、事故や火災などが発生した際の対応などが必要です。
 こうした対応について、経験やノウハウがある人を積極的に募集していく必要があると考えますが、都の見解を伺います。
 聖火リレーは、都民の関心を大いに高めます。聖火リレーのコース設定や二〇二〇年東京大会事前合宿地の誘致について、都と組織委員会は、関係機関との調整など、どのように分担しながら区市町村を支援していくのか伺います。
 二〇二〇年東京大会に先立って、ラグビーワールドカップが開催されます。
 その機運醸成のため、気軽に楽しめるストリートラグビーなどの体験機会をふやすことや、ラグビーの試合の際、ルールや解説が聞けるサービス、区市町村におけるシティードレッシング、外国人観戦客などを迎える準備として区市町村などが実施するおもてなしセミナーの支援など、さらなる機運醸成の取り組みについて伺います。
 最後に、豊洲、築地について質問します。
 昨年十二月、市場関係者のご理解を求めた結果、豊洲新市場の開場が十月十一日に決まり、土壌汚染問題や盛り土がなかった問題で多くの時間を要した市場問題に一つの節目がつき、大きな一歩となりました。
 また、ことし二月十七日には、知事みずから築地に赴き、市場関係者と豊洲移転や築地再開発などについて意見交換されたことは、円滑な市場移転に向けての努力と受けとめています。
 改めて、知事の築地再開発にかける思いを伺います。
 豊洲市場への移転は昨年末に十月十一日に決定し、円滑な移転に向けての準備が求められています。つつがなく移転できるよう万全を期すようにお願いをいたします。
 豊洲では現在、築地で働く市場関係者が、習熟訓練のためテスト運用を行っていますが、市場関係者からはより多くの習熟訓練時間の確保を望む声が聞かれます。
 また、こうした習熟訓練の結果、水産と青果の売り場の距離に対する懸念や駐車場の距離に対する懸念、茶屋制度の仕組み変更への懸念などが聞かれ、不便さの解消が求められています。
 そこで、市場関係者の習熟度訓練を実施する中で、より多くの声を集めて使いやすい市場にする都の取り組みについて伺います。
 また、円滑な移転のためには市場業界の協力が必要です。市場業界との今後の協議の進め方について伺います。
 都民ファーストの会東京都議団は、東卸や場外市場の方々から要望を受け、昨年の十二月議会の代表質問でその要望事項を取り上げさせていただきました。
 豊洲新市場でのターレのコンセントが合わない問題を初め、具体的な要望を提言しましたが、今回の平成三十年度予算案においてどのように反映されたのか、その予算措置状況を伺います。
 新しい東京の食の台所となる豊洲市場の安全性のPRは、世界で最もミシュラン評価を受けている東京の、また日本の食文化の発信において欠かせません。都はこれまでにも、一般参加者を募った見学会の実施などを行ってきましたが、世界を含めた国内外に対する発信こそ重要であると考えます。
 豊洲市場の情報発信策として、具体的なメディア戦略について伺います。
 次に、中央卸売市場に関する多角的な検討の必要性について伺います。
 全国の卸売市場の経営状況の悪化の傾向は、依然として続いております。特に、漁港直送など生産者と小売店の直接取引を初め、ネットの普及拡大により、宅配市場の急速な拡大は流通革命とも呼べる規模まで発展しており、市場を介さない取引は年々増加しています。東京都の中央卸売市場のデータでも、競りは金額ベースで見ても青果で二・一%、水産物で一三・九%となっており、取引のほとんどは相対取引という状況です。
 十一市場の収支状況についていえば、二十八年度決算で合計三十二億円の赤字会計で、豊洲開場後は年間で百四十億円から百五十億円の赤字が見込まれています。十一市場のうち、黒字基調なのは築地と大田市場のみです。豊洲市場だけではなく、大田市場以外の市場についても経営は厳しい状況にあり、時代の変化を捉えた市場のあり方が改めて問われているといわざるを得ません。
 加えて、国においても、民間企業に中央卸売市場の開設、運営を認めることを含む市場法の改正案が議論されており、市場のあり方については多角的に検証されるべきです。
 このような市場を取り巻く厳しい環境下において、時代に即した市場のあり方、市場会計の健全化などについて中長期的な視点で検証していくべきであると考えますが、知事の見解を伺います。
 築地解体工事、デポ建設工事は、都心での大規模な工事になります。築地解体工事、デポ建設工事に当たって、地元住民や場外市場への影響を及ぼさないよう、騒音、振動、粉じん、ダンプの通行時間やルート、工事時間等について綿密な計画を練る必要があります。特に、築地の施設には大量のアスベストが含まれることから、丁寧な対応が求められます。
 解体工事及びデポ建設工事に当たっては、東京都は、事業者として場外市場や近隣の方々に対し工事の事前説明を丁寧に行い、理解を得て工事を行う必要があります。
 そこで、近隣の方々に工事の事前説明をどのように行っていくのか、また、工事期間中に東京都としてどのような対策を講じるのか伺います。
 以上で都民ファーストの会東京都議団を代表しての質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。