代表質問 増子 博樹 平成29年第三回定例会

平成29年第三回定例会 代表質問

 

平成二十九年第三回都議会定例会に当たり、都民ファーストの会東京都議団を代表して、小池知事並びに関係局長に質問いたします。
 質問に先立って申し上げます。
 昨日、衆議院の解散が表明され、総選挙が行われることになりました。国政での改革が進むことを期待しつつ、私たち都民ファーストの会東京都議団は、都民の期待に応えるべく、都政改革に一意専心の思いで取り組んでまいります。
 さて、今都議会は、都民ファーストの会として初めての定例議会であります。ここで、私たち都民ファーストの会東京都議団の都政への認識並びに立場と使命を明確にしておきたいと思います。
 振り返れば、東京都の行政指導力を失った青島都政に始まり、週に二度の登庁ともいわれた石原都政に及ぶ長く続いたトップ不在の間に、両輪といわれる行政と議会との関係は、都議会のみが肥大していきました。私たちは、この状態を古い都議会と呼び、都議選で新しくすることを都民の皆さんに訴えてきました。
 私たちは、議会としての健全な機能を取り戻すため、議決機関である都議会と執行機関である都庁との役割を峻別し、巨大な都庁を厳しく監視していくとともに、議員提案条例の制定により、行政と政策を競い合う東京都議会を目指していきます。これが、東京大改革は都議会改革からを掲げた私たち都民ファーストを選んでいただいた都民の方々の負託に応える道であります。私たちは、都議会議員のための都政ではなく、都庁職員のための都政ではなく、そして知事のための都政でもない、都民の、都民による、都民のための都政を実現してまいります。
 初めに、都庁の行政改革について伺います。
 小池知事就任直後の昨年九月に東京大改革を推進する体制を整備するため、都政改革本部が設置されました。それ以降、情報公開の分野における非開示のいわゆる黒塗り部分の最小限化や公文書管理体制の整備、公益通報保護制度の見直しなど、非常に多くの改革が議論され、実行されてきました。
 平成二十九年度からは二〇二〇改革がスタートし、各局の主要事業に関して、適正な予算、人員となっているか、ほかにより有効な政策がないかといった観点から、分析、評価が進められてきています。
 二〇二〇改革のうち、仕組み改革では、各局の自律的取り組みでは解決できない全庁横断的な課題の制度、仕組みの改革を対象とし、都職員の退職管理と監理団体のあり方も検討の対象とされています。
 都政改革本部の設置から一年余りが経過しましたが、この一年の都政改革本部の活動、成果を振り返っての評価と、二年目に入った都政改革本部の今後の方向性について、知事の見解をお伺いします。
 都政改革の原動力は情報公開です。都民が必要な情報を得られることによって、都政に対して検証し、提言し、参画できる仕組みが生まれ、都民は都政の観客ではなく、都政のプレーヤーとなることが可能になります。
 今回、知事が提案された予算編成過程において都民から直接アイデアを募って予算化する試みは、まさにプレーヤーとして、都民の皆様の都政参画を促す有効な施策だと考えます。都民からのすばらしいアイデアが都政に新たな輝きをもたらすことを期待しています。
 オリンピック・パラリンピックや豊洲市場の工事に関する情報公開の過程で、多くの都民から工事額が高過ぎるとの指摘を受けており、都の高コスト体質が疑問視されています。こうした事態を受けて、都では、ことし六月から、財務局所管の入札契約案件について、入札制度の改革を試行的に実施し、各局も十月をめどに試行を開始。一年間実施した後に検証を行うことになっています。入札契約の基本は、地方自治法に定める、最少の経費で最大の効果を求めることにありますが、他方で、中小零細企業の東京都の工事への参入機会の確保も重要です。
 そこで、入札改革の試行の状況と今後の見通しについて、現時点での知事の所見と、東京都の工事への中小零細企業の参入機会の拡大をどのように図っていくのかについて、知事の見解をお伺いいたします。
 二〇二〇東京大会を控え、世界の注目が東京に集まっています。情報が集積する東京にはビジネスを飛躍的に発展させる触媒機能もあれば、世界一といわれる食の文化があり、世界中のVIPを引きつけてやみません。この首都東京の持つ魅力が二〇二〇東京大会で世界に向けて一気に拡散することは、五輪後の東京の成長にも欠かすことができません。
 知事は就任以来、非常に多くの海外の要人との積極的な外交を行ってきました。例えば、パリ市長アンヌ・イダルゴ氏、サウジアラビア王国サルマン国王、イギリスのテリーザ・メイ首相、十月には、世界大都市気候先導グループC40の運営委員会などに参加するため、パリ市への出張が予定されています。
 知事の海外要人との積極的な交流は、東京の魅力と存在感を世界に発信することになるとともに、世界の潮流をいち早くつかみ、施策に反映することで、都のみならず、国にとっても大きな利益をもたらすものと考えます。
 そこで、知事が主体的に行おうとされている外交について、知事の見解を伺います。
 平成二十五年の厚生労働省の若者の意識に関する調査では、日本の未来は明るいと回答した若者はわずかに一九・二%、明るいとは考えていないと回答した若者は四五・一%に達しています。確かに、日本には、人口減少、超高齢化に伴う大きな課題が横たわり、将来への不安が絶えません。この急激な変化の中で、未来への希望を明るいものとし、誰もが生き生きと活躍できる東京を実現するには、人への投資が欠かせません。なかんずく、女性の活躍の機会を拡大することは今や不可欠です。
 都民ファーストの会では、ことし四月に女性活躍推進本部を立ち上げ、十八人の女性を都議会に送り出すことができました。女性が働きやすい環境、女性がやりたいことができる社会をつくっていくため、起業支援などをさらに推進してまいります。
 そのことを踏まえて、子供やお年寄り、障害者の方々が安心して生活できる東京の創造について質問いたします。
 都民ファーストの会は、さきの都議会議員選挙でも、子供や人の暮らしに焦点を当てた議員提案条例の制定で課題解決を図ることをお約束しました。
 本定例会には、都議会公明党の皆さんとともに、東京都子どもを受動喫煙から守る条例案を提出しております。本条例案は、子供をたばこの煙から守る条例としては全国初で、罰則を設けず努力義務とする啓発的な条例です。条例成立に向け、皆様のご理解をお願いいたします。
 また、東京都も、いわゆる受動喫煙防止条例を検討中であり、十月六日まで意見を募集していると聞いております。
 そこで、これまでの東京都においての取り組みと、東京都受動喫煙防止条例の制定にかける知事のお考えと決意をお伺いいたします。
 子供を育てやすい東京にするためには保育政策が欠かせません。都は昨年、保育サービスの緊急対策として、補正予算で百二十六億円を計上した結果、平成二十九年四月一日現在の保育サービス利用児童数は、昨年度から一万六千三人増加しました。しかしながら、待機児童数は、従来の統計のとり方では、昨年から七百七十三人減少し七千六百九十三人となりましたが、実態に即した統計方法への変更後では、待機児童数は百二十人増加し八千五百八十六人となっています。平成二十九年度の保育関係予算は、昨年度より四百三億円増の千三百八十一億円とし、さらに、ことし九月に追加対策を行っています。
 そこで、今回の追加対策並びに今後の待機児童解消に向けた取り組みについて、知事の所見をお伺いいたします。
 フィンランド語でアドバイスの場を意味するネウボラとは、フィンランドの子育て家庭を支える仕組みで、妊娠期から出産、子供の就学前までの間、母子とその家族を支援する目的で、地方自治体が設置、運営する拠点です。
 都では、いわゆるネウボラに類する事業を目指し、平成二十七年度から三十一年度までの五カ年事業、ゆりかご・とうきょう事業を実施し、子育て家庭に対して、妊娠期から行政の専門職がかかわることでニーズを把握し、支援につなげ、妊婦、乳幼児、保護者の心身の健康保持増進を図る目的として、妊娠期から子育て期の切れ目のない支援を行っています。
 しかし、この事業は五年間の時限措置であり、将来的な展望として事業展開できない区市町村もあると聞きます。妊娠期から子育て期までの長期に及ぶ支援は長期的な視点での制度設計が求められることから、五年間の時限措置とすることなく、五年後もゆりかご・とうきょう事業を継続していくべきと考えます。
 妊娠期から支援体制としてのゆりかご・とうきょう事業の取り組み状況はどのようになっていますでしょうか。今後も、区市町村の取り組みがさらに進むように支援を継続していくべきと考えますが、都の所見をお伺いいたします。
 子供が公立小中学校に通う家庭の半数近くは、学習塾代や家庭教師代に児童一人当たり年間二十万円以上を支出しており、家計における三大支出の一つとなっています。教育費の増大は、親の可処分所得を減らし、子育て世代の消費を抑制するばかりか、少子化の一端となっているという指摘もあります。
 この背景として、学校の授業だけでは希望の進学がかなわないという危惧があります。親の所得格差が子供の教育格差につながり、子供が貧困から抜け出せなくなる負のスパイラルが生じないようにすることが必要と考えます。
 公立小中学校が、多様化し続ける児童生徒や家庭の希望の受け皿となるためには、学校の授業だけでなく、放課後の空き教室を活用して学びの機会を設ける必要があると考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 教員の長時間労働は看過できない深刻な状況であり、学校現場では教員の勤務時間の把握が不十分な状況も指摘されています。
 平成十年より、小学校における年間標準授業時数は右肩上がりに増加しています。英語の教科化などを盛り込んだ新学習指導要領実施時には、年間総授業時数がさらに増加します。小学校教諭が一日当たり学校に滞在する時間は約十二時間であるとの指摘もあり、日本の教員は世界一忙しいといわれています。
 本年八月の東京都総合教育会議でも、小学校教諭の多忙化は大きな課題として取り上げられています。まさに、教育の現場を担う教員の質の向上のために、働き方改革が必要とされており、例えば、小中学校や高校の教員が児童や生徒への教育に専念できるよう、教育以外の業務を専門に行う職員を配置し、または、外部への委託を推進することも解決策の一つではないかと考えます。
 都教育委員会は、学校の働き方改革の推進に向けたプランを策定予定と聞いていますが、学校現場、特に小中学校教員の多忙化についてどのように取り組んでいくのか、見解をお伺いいたします。
 政府のまち・ひと・しごと創生基本方針二〇一七の地方創生に資する大学改革について質問します。
 基本方針二〇一七では、東京二十三区の大学の学部、学科の新増設、定員増の抑制が決定されました。現在は地方大学の振興策等について検討が行われており、年内に最終報告案が取りまとめられる予定となっています。
 日本の成長を牽引するグローバル人材の育成が喫緊の課題となっている中にあって、日本の大学の世界におけるランキングは低下の一途をたどっています。地方創生は、東京対地方という対立構図ではなく、東京と地方が共存共栄し、日本の発展に寄与していく、そうした日本全体の創生であるべきです。
 知事は先般、文部科学大臣、まち・ひと・しごと創生担当大臣に対し、緊急要望を行うなど、精力的に都として見解を示す取り組みを行っておりますが、事は東京のみならず、日本の国際競争力や国益にかかわることです。この問題における小池知事の所見をお伺いいたします。
 今月五日、東京都地方独立行政法人評価委員会は、公立大学法人首都大学東京の第二期中期目標期間の業務実績評価について知事に報告を行いました。そこで指摘されたのは、大都市における人間社会の理想像の追求という使命を十分に果たすこと、それにつながる戦略を構築していくことでした。
 特に、都市環境の向上、活力ある長寿社会、ダイナミックな産業構造を持つ高度な知的社会の構築をキーワードに、大都市ならではの教育環境を生かした取り組みが必要です。
 知事は、評価委員会からの評価結果報告を受けて、それぞれの法人が特色、強みを生かして、都民の期待に応えられるように、さらなる支援をお願いしたいと述べておられます。
 公立大学法人首都大学東京は、大都市における人間社会の理想像の追求という使命を果たし、都民の期待に応えられるよう取り組みを進めていくべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 また、首都大学東京は、東京に立地し、都から多額の財政的支援を受けて運営されている大学として、大都市東京の抱える問題解決に、より一層貢献すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、がん対策について伺います。
 日本人の二人に一人ががんになり、三人に一人ががんで亡くなるといわれています。男性では、たばこの喫煙率が高いことが大きく影響し、喫煙することにより、肺がんや胃がんのリスクを高めている要因となっており、女性は、乳がんや子宮がんなどの女性特有のがんの発症リスクが高いのが現状です。
 東京都は、東京都がん対策推進計画に基づき、がんの予防と早期発見を基本方針として、がんの予防に関する取り組みや、がん検診受診率と質の向上に取り組んできました。しかし、大腸がん、肺がんは年々増加傾向であり、検診受診の勧奨をさらに強化すべきです。また、課題としては、検診受診率及び精度管理が挙げられますが、特に検診後の精密検査へ回る際に広域的な医療機関に移ることで、各自治体が把握しにくいのが現状です。
 本年度は計画の最終年度となり、新たに来年度より二次改定として計画改定されますが、受診率向上や精度管理の必要性を伺うとともに、次期計画におけるがん検診の方向性について、都の所見をお伺いいたします。
 医療技術の進歩により、これまで予後不良とされてきた疾患の生存率が向上していることなどを背景に、治療をしながら仕事を続けることを希望する従業員のニーズが高くなってきています。厚生労働省では、がんなど継続治療が必要な病気を理由に退職勧奨をさせないように、労働環境を改善すべく、ガイドラインを設けています。
 疾患を抱える従業員に働く意欲があっても、治療と仕事の両立を支援する環境が十分に整っておらず、就業を継続し、または休職後に復職することが困難な状況にあります。
 治療と仕事の両立のためのメンタルヘルスの重要性など、がんと診断されても、いかにつき合いながら治療するかが大切であり、がんと共存する対応策が求められていますが、東京都における治療と仕事の両立に向けた取り組みをお伺いいたします。
 厚生労働省では、加齢とともに筋力や認知機能等の心身の活力が低下し、生活機能障害などの危険性が高くなった虚弱状態をフレイルと呼び、今後、フレイルの進行を予防する取り組みがより重要との認識を示しています。
 加齢とともに心身の活力が低下していくことはいたし方ないとしても、適切な対策を講じることによって、その進行を予防することができます。首都大学東京に高齢者の学びの場を創出することや、健康増進、疾病予防、セルフメディケーションの取り組みもフレイル対策として有効です。
 フレイル予防には、医療と介護が連携する多面性に応じた総合的な対策の検討が必要です。健康寿命の延伸とともにフレイル予防の重要性とその対策は高まっていくと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 都立病院は他の医療機関などと連携し、都における良質な医療サービスの確保を図ることを役割としています。
 都立広尾病院は、老朽化に伴い建てかえが必要となっておりますが、都が設置した検討委員会は、現在地の建てかえでも災害対応に必要な施設や設備を強化できるとして、都立広尾病院を移転せず、現在地での建てかえ案を取りまとめています。
 都民の健康と安全を守る病院施設の整備は急務であることから、検討結果を踏まえて、現在地建てかえを判断された知事の見解をお伺いいたします。
 障害者への包括的支援体制の整備について伺います。
 障害のある方とない方がともに社会参画し、共生するダイバーシティーという潮流がある中で、東京は、特別支援学校や支援学級に所属児童や生徒がふえ、分けて教育する傾向があります。
 さらに、医療的ケア児は保育園等で受け入れられず、児童発達支援事業、放課後等デイサービスでさえも通所を断られています。子供時代から、ともに育たなければ、本当の意味のダイバーシティーは実現していきません。
 障害者は、医療、保育、療育、教育、就労、住居、生活など多岐にわたって支援を必要とし、人生の段階によってもニーズが変わります。しかし、現在は、行政の縦割りの中で、細やかな切れ目のない支援が実現していません。支援や地域の情報が集約されておらず、障害者や保護者が口コミやブログ等から情報を集めているのが実情であり、横断的かつ包括的な支援が必要です。
 都は、障害児や家族に対する相談対応など、地域での支援の充実に取り組むべきであると考えますが、都の所見をお伺いいたします。
 障害者の人権に関して、障害者の権利に関する条約が二〇〇六年の国連総会で採択され、二〇〇八年に発効しております。日本では、二〇一三年に障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律が成立いたしました。法律の施行を受けて、都では現在、障害者への理解促進及び差別解消のための条例制定に向けて検討が行われています。
 知事は、平成二十八年第四回定例会において、障害者差別解消のための新たな条例案の検討を開始し、平成三十年度の条例の施行を目指していくと述べられておられます。条例の制定に当たっては、障害当事者の声を十分に聞くとともに、事業者などからも幅広く意見を聞いた上で策定することが重要です。
 そこで、都における障害者差別解消条例制定に向けた検討体制と、現在の検討状況についてお伺いいたします。
 東京都の空き家は、二〇一三年で約八十二万戸となっており、全国の一割を占めています。東京都では、東京都民間住宅活用モデル事業を三年間実施し、ことし四月からは、空き家対策連絡協議会を立ち上げて取り組みを開始しています。
 そのような中、高齢者、低所得者、子育て世帯等の方々に対して、住宅セーフティーネット機能を強化するための住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給に関する法律の一部を改正する法律が、ことし十月に施行されます。
 国は、二〇二〇年までに十七万五千戸の登録を目標としていますが、要配慮者の入居に不安を感じている家主に対して理解を求めて登録件数をふやすとともに、空き室を保有している家主と入居したい要配慮者の円滑なマッチングの仕組みの構築が重要です。
 都はこれまで、居住支援協議会を通じて、区市町村による民間住宅への入居円滑化の取り組みを支援するなど、住宅確保要配慮者の居住の安定に向けた取り組みを行っていますが、住宅確保要配慮者への入居支援をさらに円滑に進めるためには、福祉保健局や自治体、不動産関係団体との連携が必要です。
 住宅セーフティーネットに関する新たな制度を受けて、東京都としての住宅確保要配慮者に対する取り組みについてお伺いいたします。
 東京の未来都市像についてお伺いいたします。
 都は、二〇四〇年代の目指すべき東京の都市の姿への実現に向けて、都市づくりのグランドデザインを策定しました。これまでの延長線上にない難しい課題の解決に当たっては、新たな視点の取り込みや活用などによる新機軸の打ち出しが重要です。
 今回、都市づくりのグランドデザインが発表されたことを受けて、改めて二〇四〇年代の東京の都市づくりについてのビジョンと、その実現に向けた今後の取り組みの方向性を知事にお伺いいたします。
 一九六四年の東京五輪は、戦後からの復興を世界に印象づけるとともに、国民に大きな自信を与えました。一方で、五輪開催に間に合わせるため、河川の上空に築かれた首都高が美しい日本橋の景観を奪い去ってしまいました。首都高に覆われた日本橋は、当時の日本の発展の象徴でもあり、その犠牲の象徴でもあります。
 日本橋の美しさを取り戻すため、首都高の地下化は、小泉元首相の指示を受けるなど、過去二度、有識者から提言がなされてきましたが、実現に向けて動き出すことはありませんでした。
 こうした中で、都は、本年七月に日本橋の首都高の地下化に向けて取り組むことを表明しました。五輪で失われた景観を五輪で取り戻す取り組みは、五十年余りを経て変化した東京を映し出す鏡のような取り組みで、大変価値あることだと考えます。
 首都高の大規模更新は喫緊の課題であり、世界に誇れる都市景観を創造するためにも、この取り組みを知事のリーダーシップのもとで進めることが重要です。
 そこで、今回の日本橋首都高の地下化に対する知事の決意をお伺いいたします。
 一方、熾烈化する世界の都市間競争で勝ち抜くためには、世界のビジネスマンを引きつける都市機能を磨かなければいけません。国際金融センターとしての機能強化もその一つです。
 国際金融センターには、金融機関のみならず、多くの企業や人々、そして付随する情報が集積し、都民に対しても有形無形の恩恵がもたらされます。その際重要なことは、都民と外資系金融機関双方がウイン・ウインの関係を構築することです。
 そこで、国際金融都市東京を実現していくに当たり、東京都として、都民や都内の企業にどのようなメリットを生み出し、また、外資系企業にはどのような魅力を提供して、海外からの投資を呼び込んでいくのかについて、都の考えをお伺いいたします。
 東京都では、二〇二〇年に向け、東京を訪れる外国人旅行者の旅行者数二千五百万人を目標としています。目標達成には、都心のみならず多摩や島しょエリアへの還流を目指したマーケティング、ブランディング、プロモーションが課題です。
 二〇一八年に開催される平昌五輪は、IOCなど五輪関係者、外国メディア、各国の大手旅行代理店などが集結するため、絶好のPRの機会です。こうしたシティーセールスのチャンスには、オリ・パラ準備局以外の観光部の職員を同行するなど、積極的に都職員を派遣するべきではないかと考えます。
 また、二〇一九年のラグビーワールドカップも外国人観光客の受け入れ体制を図る上で試金石となります。
 外国人旅行者を増加させるためのマーケティングやブランディング戦略、そして実際の受け入れ体制を構築する上で、二〇一八年の平昌五輪、続く二〇一九年のラグビーワールドカップへの取り組みについて、知事の所見をお伺いいたします。
 東京の観光振興を図る上で、多摩・島しょ地域の多様な魅力を生かして、さらなる誘客を図ることは重要です。多摩・島しょ地域に外国人観光客を回遊させるために、旅行会社などと協力した取り組みを行うとともに、地域の魅力の発信を強力に行うべきと考えます。
 外国人旅行者を都内全域に還流させるための取り組みや、多摩地域や島しょのプロモーションについて、都の考えをお伺いいたします。
 二〇二〇東京大会は、東日本大震災からの復興をアピールする役割を持っています。東京と東北地域を結ぶモデルルートを設け、オリンピック・パラリンピックに訪れる外国人観光客が東北各地を訪れるようにする工夫も有効だと考えます。
 五輪で東京を訪れた外国人旅行者に日本国内を周遊してもらえるよう、とりわけ震災からの復興を目指す地域との連携強化、東京五輪に向けての被災地との連携について、都の考えをお伺いいたします。
 多摩・島しょについてお伺いいたします。
 知事は就任当初より、多摩地域の振興や格差の解消に向けて取り組むとし、市町村総合交付金の増額や、地域ごとに視点を変えた取り組みを実施してきました。また、新たに多摩の振興プランも五月には素案がまとめられ、今月に策定されました。多摩地域の振興、多摩格差の是正、解消には、徹底的な現状把握とかけ声で終わることのない本気度が必要です。
 格差は時に、特徴、個性という言葉に置きかえられてしまい、その実情がうやむやになってしまうことがあります。多摩の住民の視点からは、確実に、切実に格差が存在しており、それは予算レベルから政策レベルまで多岐にわたります。予算の面では数字が見えやすいですが、政策レベル、意識レベルでは見えづらくなります。
 多摩地域における各種施策を検討する際には、多摩地域にとってはどうかという視点を意識的に入れることが必要であると考えます。
 多摩地域の振興、多摩格差の是正、解消に向け、改めて知事の思い、所見をお伺いいたします。
 島しょ地域は、世界自然遺産の小笠原諸島を初めとする雄大な自然はいうまでもなく、新島ガラスなどの伝統工芸、くさや、青酎などの食文化といった唯一無二の宝物を有しています。
 一方で、少子高齢化の進展や自然災害のリスクを抱え、不安を感じながら暮らす方々が数多くいらっしゃることも事実であり、早急な対応が求められています。
 知事を初め、東京宝島推進委員会委員の皆様におかれましては、各島への訪問を通じて島の魅力を再発見していただいたものと思います。これらの価値をさらに高めることは、オリンピックを控えた東京にとって多様な観光資源となることから、東京を一層魅力的にするものと考えます。
 そこで、島しょ振興について、知事の思いと所見をお伺いいたします。
 次に、都市農業についてお伺いいたします。
 東京の農業、農地は、新鮮かつ安全な農産物の提供、緑や自然の保護など環境保全に寄与するとともに、防災機能や交流、教育、学習の体験の場として、多面的な役割を果たしています。他方で、農業従事者の高齢化や後継者不足や農地面積の大幅な減少に直面しています。
 さらに、生産緑地に対する固定資産税の軽減措置や相続税の納税猶予の特例が一九九二年から期限は三十年ということで始まり、二〇二二年以降にその期限が到来します。その時点で後継者がおらず、買い取り者がいないなどにより、生産緑地の指定が解除されることになれば、優遇措置がなくなり、農地を維持することができなくなります。
 しかし、その特例として、買い取りの申し出期間を十年延長し、引き続き税制優遇措置を受けることができる特定生産緑地制度があります。また、農地の開発に一定の制限はありますが、直売所や農家レストランなどの整備もできる田園居住地域制度もあります。
 都は、都市農地を守り、都市農業の発展振興の観点から、二〇二二年までに特定生産緑地の制度活用を促す制度を積極的に行うとともに、田園住居地域という用途地域の活用に向けた検討をすべきと考えますが、都の見解を求めます。
 次に、働き方改革についてお伺いいたします。
 テレワークは、子育て、シニア、障害のある方など、都民の皆さんそれぞれの生活スタイルに合った働き方を実現できる働き方改革のかなめですが、企業の導入率は、二〇一二年度では一一・五%にとどまっています。
 ロンドンでは、二〇一二五輪に向けて官民挙げての取り組みを行い、大会期間中の交通渋滞緩和、仕事の生産性向上、テレワーク社会、多様な働き方への社会的な切りかえを成功させたと聞いています。これはまさに見えないレガシーといえます。
 こういった成功事例を調査分析し、定着しやすい業種、プライバシーや知財、情報漏えいなどの課題、期待される成果などを整理し、テレワークの推進に生かしていただきたいと思います。また、一般的にはテレワークとは縁遠い介護士、保育士、教職員など、報告義務が必要な業種に対しての働きかけも必要だと考えます。
 これらを踏まえて、実施主体である企業経営者へテレワークに対する動機づけをどのように行い、テレワークを確実に推進していくか、都の見解をお伺いいたします。
 これまで通勤ラッシュ問題の解消に向けて、鉄道事業者による車両の長編成化や大型化、複々線化などの輸送力増強策、さらにオフピーク通勤キャンペーンを実施することなどにより、東京圏における主要三十一区間の平均混雑率は、昭和五十年の二二一%から、平成二十七年には一六四%まで緩和されてきています。
 各国と比べて鉄道分担率の高い日本において、供給側の工夫と需要側の意識改革など、さらなる対策を講じることによって、快適な通勤を促進することが必要です。
 知事は、昨年の都知事選挙で満員電車ゼロを公約として掲げ、テレワークや在宅勤務を取り入れることなどを含む働き方改革の一環として、時差ビズを提唱されました。鉄道会社や企業、利用者のさらなる共感を得ることが重要だと思いますが、今後の取り組みについて、知事の見解をお伺いいたします。
 次に、環境対策についてお伺いいたします。
 二〇一五年十一月にパリで開催された気候変動枠組条約第二十一回締約国会議で、温度上昇を摂氏二度以内にとどめること、今世紀後半にはCO2の排出をゼロにすることなどを内容とする、二〇二〇年以降の新たな国際枠組みであるパリ協定が締結されました。
 東京都はエネルギーを大量に消費している都市であり、ゼロエミッション東京の実現に向け、需要サイドの対策、すなわちエネルギー使用量を削減し、エネルギー源を再生可能エネルギーや水素へと転換を進めることにより、多大な貢献ができます。パリで開催されるC40への知事の出席は、東京の国際的な役割を世界に印象づける機会になると期待しています。
 家庭レベルでのLED電球無料交換事業は、都民の省エネ意識を高めていくという発想から事業を考案された、世界でも極めてまれな事業であり、評価できます。
 この事業は、百万個の白熱電球がLED電球にかわることで、一般家庭約三万世帯分の電力消費量が削減され、CO2に換算して四・四万トンの削減効果が見込まれます。課題の一つとされた、身体的な理由で協力店に行かれない方に対しては、早速今秋から代理受領や出張受領が実施され、さらなる利用者の増加が期待されます。環境局の今回の迅速な対応は、この事業を何としてもやり遂げるという熱い情熱を感じます。
 しかし、まだ目標に届いていない理由としては、都民への周知がまだ十分でないことが挙げられます。都民への周知、啓発には、都民に一番近い区市町村の協力はもちろん、環境教育の一環として周知するなど、区市町村や学校等とのさらなる連携が必要ではないかと考えます。都の所見をお伺いいたします。
 農林水産省の統計によれば、平成二十八年度食料自給率は、カロリーベースで三八%、生産額ベースで六八%になっています。これは、先進国中最低水準です。ところが、日本では年間六百二十一万トンもの食べ物が廃棄されています。
 日本のコンビニエンスストアや外食産業はマニュアル化が進んでおり、多くの食べ物を廃棄することを前提として成り立っています。その一つが流通業界における三分の一ルールで、賞味期限の三分の一までを小売店への納品期限、次の三分の一までを消費者への販売期限とする商習慣です。
 例えば、賞味期限三カ月の食品だと、店頭に並ぶのは一カ月ということになり、一カ月が過ぎると廃棄されてしまうということになります。
 諸外国の消費者への販売期間は、イギリスでは四分の三、ヨーロッパでは三分の二、アメリカでは二分の一といわれています。食品ロスをなくすには、業界の商習慣を是正するとともに、消費者の側の認識の変化も促さなければなりません。また、クリスマスケーキや恵方巻など、特定の日が過ぎると需要がなくなるため、これらの廃棄も問題となっています。
 東京都は、食品流通の実態調査を行い、関係事業者から成るステークホルダー会議を立ち上げることになりましたが、諸外国の商習慣などを参考にして、販売期間拡大に向け、都が積極的にこの会議を進めていくことは、食品ロスを減らす上で重要ではないでしょうか。都の所見をお伺いいたします。
 次に、動物愛護についてお伺いいたします。
 これまでの取り組みにより、犬猫については、平成二十四年には全国で殺処分数十六万二千頭であったものが、平成二十八年度には約五万六千頭にまで減少しています。
 都では、知事が殺処分ゼロを公約に掲げています。苦痛を取り除くなど、やむを得ない場合を除いた殺処分数は、平成二十七年度二百三頭だったものが、平成二十八年度に九十四頭に半減し、犬の殺処分数は初めてゼロを達成することができました。これは大きい成果です。
 これには、動物愛護相談センターに収容された動物を新しい飼い主へとつなぐ仕事の役割が大きく、ボランティア団体がそれを担ってきました。知事の公約、殺処分ゼロを実現するためには、ボランティア団体から新しい飼い主へ動物の譲渡を一層推進する必要があると考えますが、都の取り組みをお伺いいたします。
 次に、水道行政について伺います。
 日本で初となる国際水協会、IWA世界会議が、ちょうど一年後に東京で開催されます。水は人々の暮らしを支えるだけではなく、車一台をつくるのに四十万リットルの水が必要との報告もあり、工業においても、水の価値は石油をしのぐといわれるようになりました。
 近年、水道事業を民営化した国の中には、民間事業者からの値上げを受け、水道事業が破綻したケースもあり、改めて公営の上下水道事業に注目が集まっています。都はこれまでにも、民間企業と連携し、漏水や盗水に悩む東南アジアの諸都市に技術提供するなど、貢献してきました。
 来年開催される世界会議を機に、都がこれまで培ってきた上下水道の技術やノウハウを広く世界に発信し、水不足にあえぐ十億人ともいわれる世界の人々に貢献することは、大変意義のあることと考えます。
 今月四日には、IWAのダイアン・ダラス会長が都庁を訪問され、知事との会談の中で、来年の世界会議への高い期待が寄せられたところです。IWA世界会議を通じた世界の水問題への貢献について、知事の所見をお伺いいたします。
 IWA世界会議は、世界の水問題の解決に資するだけでなく、国内企業が有する高度な技術やノウハウをPRするよい機会であり、会議を通じた企業の海外に向けたPRは、産業力の強化にもつながります。IWA世界会議に対する東京都の対応及び準備状況について伺います。
 国内の水道事業について伺います。
 水道事業は法定による点検義務はありませんが、電気やガスと同様にお客様への個別訪問をし、家庭内の水質確認、漏水調査などを行っています。
 このため、お客様のニーズを的確に把握するなどのために水道フレッシュ診断を三カ年にわたって実施しました。また、安全でおいしい高品質な水を実感していただくなどの目的で、東京水道あんしん診断を提供中です。
 水道フレッシュ診断、東京水道あんしん診断ともにアンケート調査を行い、アンケート結果で得たお客様の声を水道事業に反映するとのことですが、前回の水道フレッシュ診断の結果は、現在の水道事業のどの部分に、どのように反映されたのか、所見をお伺いいたします。
 都は、都市部における台風や集中豪雨による水害対策として、一時間当たり五十ミリの降雨による洪水に対して安全を確保することを目標として中小河川の準備を進めてきました。ところが、近年はそれを超える豪雨があり、二〇一二年には、区部を流れる河川は七十五ミリ、多摩部を流れる河川は六十五ミリに目標整備水準を引き上げています。しかし、目標水準を引き上げたとしても、対策が必ずしも追いつく確証はありません。
 そこで、局地的集中豪雨に対しても、中小河川やマンホールからのあふれ出しを防止する対策だけでなく、洪水が起きたときに命と財産を守るための順応的な対策も検討する必要があります。
 全国各地で大規模な浸水被害が発生している中、治水対策は喫緊の課題です。新たな目標整備水準を早期に達成するため、今後どのように取り組んでいくのか、建設局及び下水道局にお伺いいたします。
 また、治水対策だけでなく、平時は水と親しめるようにする工夫が都民に憩いと潤いを与えます。水害の危険から都民の命と暮らしを守りながら、良好な河川環境を保全、創出するために今後どのような工夫がなされていくのか、お伺いいたします。
 都は、東京都地域防災計画を策定し、被害を最小限に抑えるために、耐震化推進、木密地域の不燃化対策、無電柱化などのハード面の対策に加え、「東京防災」の全戸配布や女性視点の防災ハンドブック作成、ツイッターを利用した防災情報発信など、ソフト面の対策も推し進めています。
 しかし、備えよ常にとの考えに基づいて、さらに関係機関、民間企業、地域団体との平時からの連携や都民の防災意識の啓発などを通じ、都として地震への備えを強力に進めていくことが強く求められています。
 そこで、都における震災対策に関して、知事の基本的な認識をお伺いいたします。
 経団連は、平成二十八年に、大規模災害への対応における官民連携の強化に向けてという提案を出しており、支援物資の輸送にとどまらず、防災や災害対応全般について官民連携が不可欠だと指摘しています。このときに大切なのは、官民が持つ情報を共有し、災害対策や都民の防災につなげていくためのICTの活用です。
 そこで、災害対応におけるICTを活用した情報連携について、都の取り組みを伺います。
 東京の防災力を高めるとともに、ベビーカー、車椅子などの安全な歩行空間を確保し、電線のない良好な都市景観を創出するためにも、無電柱化の推進は重要な政策です。無電柱化推進のフォトコンテストが実施されるなど、民間においても無電柱化促進への取り組みが進んでいます。
 都は、都道に限らず、区市町村道も含めた都内全域で無電柱化を一層推進すべきとして、新たに条例を定め、九月一日から施行となりました。さらに、今年度から、コスト縮減に向け、電線等の埋設の深さを浅くする手法を導入するなど、チャレンジする区市町村に対して財政的、技術的支援を拡充しています。
 そこで、条例制定により、今後東京の無電柱化をどのように進めていくのか、また、条例の意義について都民の理解をどのように得ていくのか、知事の所見を伺います。
 さらに、これまで見えてきた課題とその解決を含む具体的な進め方について見解を伺います。
 オリンピック・パラリンピック大会経費の不透明さやわかりにくい仕組みが国民の期待を下げる要因となっており、大会成功に向けては、情報の共有と公開に努め、経費の縮減、効率化を図ることが課題となります。
 本年五月三十一日には、関係自治体等連絡協議会で、東京都、組織委員会、国、関係自治体の四者による経費、役割分担が明確化されました。また、公費等が投入され、共同で実施する事業については、共同実施事業管理委員会を設置して、大会経費のコスト管理、執行統制の強化を図っていくとしました。今回の取り組みは大会経費の透明化の第一歩であり、私たちは大きな期待を寄せています。
 共同実施事業管理委員会にどのような効果を期待して、具体的かつ主体的に取り組んでいくのか、知事のご見解をお伺いいたします。
 大会関係のうち、東京都及び国に割り振られていない未決定の費用である関係自治体の会場周辺における輸送、セキュリティー等の経費は、今後整理、精査を行うこととしています。大会準備を円滑に進めるためには、関係自治体との連携が不可欠ですが、本年九月六日、東京都を初め関係自治体と共同して、全国宝くじ協議会や関係省庁への要望活動を行ったことで、関係自治体の足並みがそろったと感じています。
 今後、どのように関係自治体との連携を進めていくのか、伺います。
 復興五輪は、二〇二〇東京大会の重要なテーマの一つです。被災地での競技開催で、東日本大震災の被災者の方々に夢や希望を持っていただくとともに、被災地の復興を世界中の方々に発信することが重要となっています。
 これまで、スポーツ交流や観戦招待、千キロ縦断リレーなどを行い、一つ一つのことが継続し、開催されていることで、地元の方にも受け入れられています。ことしは、フラッグツアーでは、都内はもとより、地震で被災した東北三県と熊本県を巡回し、知事みずからも現地入りし、機運醸成を図っています。
 いよいよ開催まで三年を切った今、改めて復興五輪に向け、知事の思いをお聞かせください。
 近年、ヒートアイランド現象に地球温暖化による影響が重なって、東京の気温上昇は顕著となっています。気温上昇による熱中症患者数の増加など、都民の健康や生活への影響も顕著となっており、猛暑日の運動では、重篤な熱中症にかかる事態も報告されています。
 また、樹木などの木陰がない路面についても、遮熱舗装の効果が認められれば、都内の気温が下がり、局地的集中豪雨への対応にもなり得ると考えます。
 東京五輪に向けて、アスリートや観客が暑さをしのげるよう、遮熱性舗装やクールエリアの創設などの暑さ対策を総合的に展開していく必要があると考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 東京が二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの開催権をかち取ったのは、二〇一三年九月。IOCのロゲ前会長が東京をコールし、日本中で歓喜が湧き上がってから四年がたちました。この間、エンブレム問題、国立競技場工事費問題などから、オリンピック機運に水を差す事態も相次ぎました。しかし、大会の成功のために機運醸成は欠かせません。
 都は、機運醸成のため、都内の学校においてオリンピック・パラリンピック教育を進めています。開催まで三年を切り、さらなるオリンピック機運醸成には、都や組織委員会が主催するイベントの開催に加え、都民の誰もが主体的に取り組める新たな仕組みが必要と考えます。
 都民が主体的に参加できる仕組みの必要性について、都の考えを伺います。
 スポンサー収入の一層の確保策について伺います。
 現在、組織委員会では、スポンサー収入を二千八百六十億円と見込み、大会運営を支えるためにさらなる収入増を図っていると聞いています。
 そこで、競技施設などの工事現場における屋外広告物規制について伺います。
 今後、競技施設など五輪関係工事が進む中で、工事期間中の仮設壁などにオリンピアン、パラリンピアンの躍動感あふれる写真やイラストを掲示することは、五輪機運醸成にも貢献しながらスポンサー収入増を見込める一石二鳥の効果が期待できます。
 しかし、現在の都の屋外広告物規制では、工事現場の仮設壁には百平米までの掲示しか許されておらず、規制の枠を超えられません。
 そこで、オリンピック・パラリンピック関係に限定し、時限的に屋外広告物規制の緩和を検討するべきではないかと思いますが、東京都の所見を伺います。
 築地市場の豊洲への移転は、六月二十日に知事の基本方針によって決定され、移転の条件を整備するため、臨時都議会で五十五億円の補正予算も成立しました。これにより、盛り土がなかったことに対する追加対策工事が実施されるなど、築地市場の速やかな豊洲移転に向けての施策が講じられることとなりました。
 一方で、盛り土がなかったことに対する市場関係者、都民の皆さんの不安はいまだに残っています。また、豊洲市場にカビが発生したことも不安を与える一因となりました。
 速やかな移転には、丁寧な説明が求められます。これから始まる追加対策工事の実効性を市場関係者、都民の皆さんに正確にお伝えするとともに、盛り土問題で与えた都民の不安と不信を払拭していく必要があります。
 また、移転準備に向けては、具体的なスケジュールや手続を市場関係者の皆さんと協議していく必要があります。今回の追加対策工事に伴う事業者への説明に合わせて、開場時期、引っ越しの手順についても丁寧に協議し、速やかに決定されることを望みます。
 これらを踏まえ、補正予算成立を受けて対策工事が始まろうとしている今、豊洲市場への取り組みについての知事の所見を伺います。
 また、築地再開発検討会議が発足をし、大きな東京都市づくりの観点から築地の再開発が議論されると聞いております。
 築地のブランドは世界のブランドであり、唯一無二のものであります。更地にして売却してしまえば築地が育んできた食のブランドは何も残りませんが、都として再開発への青写真を描き、築地のブランドを残しつつ、東京のランドマークになるまちづくりへと昇華させれば、都民が、国民が世界に誇れる築地のまちづくりになると期待しています。
 知事には、築地エリア開発こそが今後の東京の成長を担うというくらいの大きな視点で築地再開発に臨んでいただきたいと思いますが、知事の所見を伺います。
 さらに、六月二十日に知事が示した大方針によって、一刻も早く豊洲で新たな事業展開を図りたいと希望する事業者もおられるでしょうし、豊洲に移転後、再び築地での経営を希望する方もいらっしゃると聞いています。
 さまざまな市場関係者の率直な意見を聞き取ることは、豊洲市場への移転や今後の築地の再開発を考える上で、貴重な意見として貢献するものと考えますが、都はこうした市場関係者の声にどのように向き合っていくのか、都の所見をお伺いいたします。
 最後に、私たちが目指す真の議会改革について申し上げます。
 本定例会に提出の子どもを受動喫煙から守る条例案を策定する過程で、四百件を超えるご意見をいただきました。私たちの声がこうして届き、議員の手によって条例化されることに感激しているとのご意見や、条例を一緒につくれる機会なんて今までなかったという声もいただきました。
 ヒアリング、意見募集を通じて、私たちは実感いたしました。議員がみずからの手で条例という地域のルールづくりを始めれば、多くの情報、要望、知恵、そしてこれまでいえなかった不平、不満、苦悩が都民から集まるということを。その意見が私たちの筆を走らせ、条例の一字一句に都民の願いを込めることができることも確信いたしました。
 掘らなければ、泉は湧き上がりません。議会の私たちが、その努力を惜しまず掘り進めば、とどまっていた都民の声は一気に湧き上がり、知恵のダムとなった議会は、改革の清流を生み出すことができると自信を持って申し上げたいと思います。
 私たち都民ファーストの会は、古い慣習で眠りについた都議会の権能を覚醒させ、都民の皆さんの意見を反映できる全国一の議会にしてまいります。
 都議選で寄せられた都民の期待に応えていくことを改めてお約束申し上げ、代表質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

 

平成二十九年第三回都議会定例会に当たり、都民ファーストの会東京都議団を代表して、小池知事並びに関係局長に質問いたします。
 質問に先立って申し上げます。
 昨日、衆議院の解散が表明され、総選挙が行われることになりました。国政での改革が進むことを期待しつつ、私たち都民ファーストの会東京都議団は、都民の期待に応えるべく、都政改革に一意専心の思いで取り組んでまいります。
 さて、今都議会は、都民ファーストの会として初めての定例議会であります。ここで、私たち都民ファーストの会東京都議団の都政への認識並びに立場と使命を明確にしておきたいと思います。
 振り返れば、東京都の行政指導力を失った青島都政に始まり、週に二度の登庁ともいわれた石原都政に及ぶ長く続いたトップ不在の間に、両輪といわれる行政と議会との関係は、都議会のみが肥大していきました。私たちは、この状態を古い都議会と呼び、都議選で新しくすることを都民の皆さんに訴えてきました。
 私たちは、議会としての健全な機能を取り戻すため、議決機関である都議会と執行機関である都庁との役割を峻別し、巨大な都庁を厳しく監視していくとともに、議員提案条例の制定により、行政と政策を競い合う東京都議会を目指していきます。これが、東京大改革は都議会改革からを掲げた私たち都民ファーストを選んでいただいた都民の方々の負託に応える道であります。私たちは、都議会議員のための都政ではなく、都庁職員のための都政ではなく、そして知事のための都政でもない、都民の、都民による、都民のための都政を実現してまいります。
 初めに、都庁の行政改革について伺います。
 小池知事就任直後の昨年九月に東京大改革を推進する体制を整備するため、都政改革本部が設置されました。それ以降、情報公開の分野における非開示のいわゆる黒塗り部分の最小限化や公文書管理体制の整備、公益通報保護制度の見直しなど、非常に多くの改革が議論され、実行されてきました。
 平成二十九年度からは二〇二〇改革がスタートし、各局の主要事業に関して、適正な予算、人員となっているか、ほかにより有効な政策がないかといった観点から、分析、評価が進められてきています。
 二〇二〇改革のうち、仕組み改革では、各局の自律的取り組みでは解決できない全庁横断的な課題の制度、仕組みの改革を対象とし、都職員の退職管理と監理団体のあり方も検討の対象とされています。
 都政改革本部の設置から一年余りが経過しましたが、この一年の都政改革本部の活動、成果を振り返っての評価と、二年目に入った都政改革本部の今後の方向性について、知事の見解をお伺いします。
 都政改革の原動力は情報公開です。都民が必要な情報を得られることによって、都政に対して検証し、提言し、参画できる仕組みが生まれ、都民は都政の観客ではなく、都政のプレーヤーとなることが可能になります。
 今回、知事が提案された予算編成過程において都民から直接アイデアを募って予算化する試みは、まさにプレーヤーとして、都民の皆様の都政参画を促す有効な施策だと考えます。都民からのすばらしいアイデアが都政に新たな輝きをもたらすことを期待しています。
 オリンピック・パラリンピックや豊洲市場の工事に関する情報公開の過程で、多くの都民から工事額が高過ぎるとの指摘を受けており、都の高コスト体質が疑問視されています。こうした事態を受けて、都では、ことし六月から、財務局所管の入札契約案件について、入札制度の改革を試行的に実施し、各局も十月をめどに試行を開始。一年間実施した後に検証を行うことになっています。入札契約の基本は、地方自治法に定める、最少の経費で最大の効果を求めることにありますが、他方で、中小零細企業の東京都の工事への参入機会の確保も重要です。
 そこで、入札改革の試行の状況と今後の見通しについて、現時点での知事の所見と、東京都の工事への中小零細企業の参入機会の拡大をどのように図っていくのかについて、知事の見解をお伺いいたします。
 二〇二〇東京大会を控え、世界の注目が東京に集まっています。情報が集積する東京にはビジネスを飛躍的に発展させる触媒機能もあれば、世界一といわれる食の文化があり、世界中のVIPを引きつけてやみません。この首都東京の持つ魅力が二〇二〇東京大会で世界に向けて一気に拡散することは、五輪後の東京の成長にも欠かすことができません。
 知事は就任以来、非常に多くの海外の要人との積極的な外交を行ってきました。例えば、パリ市長アンヌ・イダルゴ氏、サウジアラビア王国サルマン国王、イギリスのテリーザ・メイ首相、十月には、世界大都市気候先導グループC40の運営委員会などに参加するため、パリ市への出張が予定されています。
 知事の海外要人との積極的な交流は、東京の魅力と存在感を世界に発信することになるとともに、世界の潮流をいち早くつかみ、施策に反映することで、都のみならず、国にとっても大きな利益をもたらすものと考えます。
 そこで、知事が主体的に行おうとされている外交について、知事の見解を伺います。
 平成二十五年の厚生労働省の若者の意識に関する調査では、日本の未来は明るいと回答した若者はわずかに一九・二%、明るいとは考えていないと回答した若者は四五・一%に達しています。確かに、日本には、人口減少、超高齢化に伴う大きな課題が横たわり、将来への不安が絶えません。この急激な変化の中で、未来への希望を明るいものとし、誰もが生き生きと活躍できる東京を実現するには、人への投資が欠かせません。なかんずく、女性の活躍の機会を拡大することは今や不可欠です。
 都民ファーストの会では、ことし四月に女性活躍推進本部を立ち上げ、十八人の女性を都議会に送り出すことができました。女性が働きやすい環境、女性がやりたいことができる社会をつくっていくため、起業支援などをさらに推進してまいります。
 そのことを踏まえて、子供やお年寄り、障害者の方々が安心して生活できる東京の創造について質問いたします。
 都民ファーストの会は、さきの都議会議員選挙でも、子供や人の暮らしに焦点を当てた議員提案条例の制定で課題解決を図ることをお約束しました。
 本定例会には、都議会公明党の皆さんとともに、東京都子どもを受動喫煙から守る条例案を提出しております。本条例案は、子供をたばこの煙から守る条例としては全国初で、罰則を設けず努力義務とする啓発的な条例です。条例成立に向け、皆様のご理解をお願いいたします。
 また、東京都も、いわゆる受動喫煙防止条例を検討中であり、十月六日まで意見を募集していると聞いております。
 そこで、これまでの東京都においての取り組みと、東京都受動喫煙防止条例の制定にかける知事のお考えと決意をお伺いいたします。
 子供を育てやすい東京にするためには保育政策が欠かせません。都は昨年、保育サービスの緊急対策として、補正予算で百二十六億円を計上した結果、平成二十九年四月一日現在の保育サービス利用児童数は、昨年度から一万六千三人増加しました。しかしながら、待機児童数は、従来の統計のとり方では、昨年から七百七十三人減少し七千六百九十三人となりましたが、実態に即した統計方法への変更後では、待機児童数は百二十人増加し八千五百八十六人となっています。平成二十九年度の保育関係予算は、昨年度より四百三億円増の千三百八十一億円とし、さらに、ことし九月に追加対策を行っています。
 そこで、今回の追加対策並びに今後の待機児童解消に向けた取り組みについて、知事の所見をお伺いいたします。
 フィンランド語でアドバイスの場を意味するネウボラとは、フィンランドの子育て家庭を支える仕組みで、妊娠期から出産、子供の就学前までの間、母子とその家族を支援する目的で、地方自治体が設置、運営する拠点です。
 都では、いわゆるネウボラに類する事業を目指し、平成二十七年度から三十一年度までの五カ年事業、ゆりかご・とうきょう事業を実施し、子育て家庭に対して、妊娠期から行政の専門職がかかわることでニーズを把握し、支援につなげ、妊婦、乳幼児、保護者の心身の健康保持増進を図る目的として、妊娠期から子育て期の切れ目のない支援を行っています。
 しかし、この事業は五年間の時限措置であり、将来的な展望として事業展開できない区市町村もあると聞きます。妊娠期から子育て期までの長期に及ぶ支援は長期的な視点での制度設計が求められることから、五年間の時限措置とすることなく、五年後もゆりかご・とうきょう事業を継続していくべきと考えます。
 妊娠期から支援体制としてのゆりかご・とうきょう事業の取り組み状況はどのようになっていますでしょうか。今後も、区市町村の取り組みがさらに進むように支援を継続していくべきと考えますが、都の所見をお伺いいたします。
 子供が公立小中学校に通う家庭の半数近くは、学習塾代や家庭教師代に児童一人当たり年間二十万円以上を支出しており、家計における三大支出の一つとなっています。教育費の増大は、親の可処分所得を減らし、子育て世代の消費を抑制するばかりか、少子化の一端となっているという指摘もあります。
 この背景として、学校の授業だけでは希望の進学がかなわないという危惧があります。親の所得格差が子供の教育格差につながり、子供が貧困から抜け出せなくなる負のスパイラルが生じないようにすることが必要と考えます。
 公立小中学校が、多様化し続ける児童生徒や家庭の希望の受け皿となるためには、学校の授業だけでなく、放課後の空き教室を活用して学びの機会を設ける必要があると考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 教員の長時間労働は看過できない深刻な状況であり、学校現場では教員の勤務時間の把握が不十分な状況も指摘されています。
 平成十年より、小学校における年間標準授業時数は右肩上がりに増加しています。英語の教科化などを盛り込んだ新学習指導要領実施時には、年間総授業時数がさらに増加します。小学校教諭が一日当たり学校に滞在する時間は約十二時間であるとの指摘もあり、日本の教員は世界一忙しいといわれています。
 本年八月の東京都総合教育会議でも、小学校教諭の多忙化は大きな課題として取り上げられています。まさに、教育の現場を担う教員の質の向上のために、働き方改革が必要とされており、例えば、小中学校や高校の教員が児童や生徒への教育に専念できるよう、教育以外の業務を専門に行う職員を配置し、または、外部への委託を推進することも解決策の一つではないかと考えます。
 都教育委員会は、学校の働き方改革の推進に向けたプランを策定予定と聞いていますが、学校現場、特に小中学校教員の多忙化についてどのように取り組んでいくのか、見解をお伺いいたします。
 政府のまち・ひと・しごと創生基本方針二〇一七の地方創生に資する大学改革について質問します。
 基本方針二〇一七では、東京二十三区の大学の学部、学科の新増設、定員増の抑制が決定されました。現在は地方大学の振興策等について検討が行われており、年内に最終報告案が取りまとめられる予定となっています。
 日本の成長を牽引するグローバル人材の育成が喫緊の課題となっている中にあって、日本の大学の世界におけるランキングは低下の一途をたどっています。地方創生は、東京対地方という対立構図ではなく、東京と地方が共存共栄し、日本の発展に寄与していく、そうした日本全体の創生であるべきです。
 知事は先般、文部科学大臣、まち・ひと・しごと創生担当大臣に対し、緊急要望を行うなど、精力的に都として見解を示す取り組みを行っておりますが、事は東京のみならず、日本の国際競争力や国益にかかわることです。この問題における小池知事の所見をお伺いいたします。
 今月五日、東京都地方独立行政法人評価委員会は、公立大学法人首都大学東京の第二期中期目標期間の業務実績評価について知事に報告を行いました。そこで指摘されたのは、大都市における人間社会の理想像の追求という使命を十分に果たすこと、それにつながる戦略を構築していくことでした。
 特に、都市環境の向上、活力ある長寿社会、ダイナミックな産業構造を持つ高度な知的社会の構築をキーワードに、大都市ならではの教育環境を生かした取り組みが必要です。
 知事は、評価委員会からの評価結果報告を受けて、それぞれの法人が特色、強みを生かして、都民の期待に応えられるように、さらなる支援をお願いしたいと述べておられます。
 公立大学法人首都大学東京は、大都市における人間社会の理想像の追求という使命を果たし、都民の期待に応えられるよう取り組みを進めていくべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 また、首都大学東京は、東京に立地し、都から多額の財政的支援を受けて運営されている大学として、大都市東京の抱える問題解決に、より一層貢献すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、がん対策について伺います。
 日本人の二人に一人ががんになり、三人に一人ががんで亡くなるといわれています。男性では、たばこの喫煙率が高いことが大きく影響し、喫煙することにより、肺がんや胃がんのリスクを高めている要因となっており、女性は、乳がんや子宮がんなどの女性特有のがんの発症リスクが高いのが現状です。
 東京都は、東京都がん対策推進計画に基づき、がんの予防と早期発見を基本方針として、がんの予防に関する取り組みや、がん検診受診率と質の向上に取り組んできました。しかし、大腸がん、肺がんは年々増加傾向であり、検診受診の勧奨をさらに強化すべきです。また、課題としては、検診受診率及び精度管理が挙げられますが、特に検診後の精密検査へ回る際に広域的な医療機関に移ることで、各自治体が把握しにくいのが現状です。
 本年度は計画の最終年度となり、新たに来年度より二次改定として計画改定されますが、受診率向上や精度管理の必要性を伺うとともに、次期計画におけるがん検診の方向性について、都の所見をお伺いいたします。
 医療技術の進歩により、これまで予後不良とされてきた疾患の生存率が向上していることなどを背景に、治療をしながら仕事を続けることを希望する従業員のニーズが高くなってきています。厚生労働省では、がんなど継続治療が必要な病気を理由に退職勧奨をさせないように、労働環境を改善すべく、ガイドラインを設けています。
 疾患を抱える従業員に働く意欲があっても、治療と仕事の両立を支援する環境が十分に整っておらず、就業を継続し、または休職後に復職することが困難な状況にあります。
 治療と仕事の両立のためのメンタルヘルスの重要性など、がんと診断されても、いかにつき合いながら治療するかが大切であり、がんと共存する対応策が求められていますが、東京都における治療と仕事の両立に向けた取り組みをお伺いいたします。
 厚生労働省では、加齢とともに筋力や認知機能等の心身の活力が低下し、生活機能障害などの危険性が高くなった虚弱状態をフレイルと呼び、今後、フレイルの進行を予防する取り組みがより重要との認識を示しています。
 加齢とともに心身の活力が低下していくことはいたし方ないとしても、適切な対策を講じることによって、その進行を予防することができます。首都大学東京に高齢者の学びの場を創出することや、健康増進、疾病予防、セルフメディケーションの取り組みもフレイル対策として有効です。
 フレイル予防には、医療と介護が連携する多面性に応じた総合的な対策の検討が必要です。健康寿命の延伸とともにフレイル予防の重要性とその対策は高まっていくと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 都立病院は他の医療機関などと連携し、都における良質な医療サービスの確保を図ることを役割としています。
 都立広尾病院は、老朽化に伴い建てかえが必要となっておりますが、都が設置した検討委員会は、現在地の建てかえでも災害対応に必要な施設や設備を強化できるとして、都立広尾病院を移転せず、現在地での建てかえ案を取りまとめています。
 都民の健康と安全を守る病院施設の整備は急務であることから、検討結果を踏まえて、現在地建てかえを判断された知事の見解をお伺いいたします。
 障害者への包括的支援体制の整備について伺います。
 障害のある方とない方がともに社会参画し、共生するダイバーシティーという潮流がある中で、東京は、特別支援学校や支援学級に所属児童や生徒がふえ、分けて教育する傾向があります。
 さらに、医療的ケア児は保育園等で受け入れられず、児童発達支援事業、放課後等デイサービスでさえも通所を断られています。子供時代から、ともに育たなければ、本当の意味のダイバーシティーは実現していきません。
 障害者は、医療、保育、療育、教育、就労、住居、生活など多岐にわたって支援を必要とし、人生の段階によってもニーズが変わります。しかし、現在は、行政の縦割りの中で、細やかな切れ目のない支援が実現していません。支援や地域の情報が集約されておらず、障害者や保護者が口コミやブログ等から情報を集めているのが実情であり、横断的かつ包括的な支援が必要です。
 都は、障害児や家族に対する相談対応など、地域での支援の充実に取り組むべきであると考えますが、都の所見をお伺いいたします。
 障害者の人権に関して、障害者の権利に関する条約が二〇〇六年の国連総会で採択され、二〇〇八年に発効しております。日本では、二〇一三年に障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律が成立いたしました。法律の施行を受けて、都では現在、障害者への理解促進及び差別解消のための条例制定に向けて検討が行われています。
 知事は、平成二十八年第四回定例会において、障害者差別解消のための新たな条例案の検討を開始し、平成三十年度の条例の施行を目指していくと述べられておられます。条例の制定に当たっては、障害当事者の声を十分に聞くとともに、事業者などからも幅広く意見を聞いた上で策定することが重要です。
 そこで、都における障害者差別解消条例制定に向けた検討体制と、現在の検討状況についてお伺いいたします。
 東京都の空き家は、二〇一三年で約八十二万戸となっており、全国の一割を占めています。東京都では、東京都民間住宅活用モデル事業を三年間実施し、ことし四月からは、空き家対策連絡協議会を立ち上げて取り組みを開始しています。
 そのような中、高齢者、低所得者、子育て世帯等の方々に対して、住宅セーフティーネット機能を強化するための住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給に関する法律の一部を改正する法律が、ことし十月に施行されます。
 国は、二〇二〇年までに十七万五千戸の登録を目標としていますが、要配慮者の入居に不安を感じている家主に対して理解を求めて登録件数をふやすとともに、空き室を保有している家主と入居したい要配慮者の円滑なマッチングの仕組みの構築が重要です。
 都はこれまで、居住支援協議会を通じて、区市町村による民間住宅への入居円滑化の取り組みを支援するなど、住宅確保要配慮者の居住の安定に向けた取り組みを行っていますが、住宅確保要配慮者への入居支援をさらに円滑に進めるためには、福祉保健局や自治体、不動産関係団体との連携が必要です。
 住宅セーフティーネットに関する新たな制度を受けて、東京都としての住宅確保要配慮者に対する取り組みについてお伺いいたします。
 東京の未来都市像についてお伺いいたします。
 都は、二〇四〇年代の目指すべき東京の都市の姿への実現に向けて、都市づくりのグランドデザインを策定しました。これまでの延長線上にない難しい課題の解決に当たっては、新たな視点の取り込みや活用などによる新機軸の打ち出しが重要です。
 今回、都市づくりのグランドデザインが発表されたことを受けて、改めて二〇四〇年代の東京の都市づくりについてのビジョンと、その実現に向けた今後の取り組みの方向性を知事にお伺いいたします。
 一九六四年の東京五輪は、戦後からの復興を世界に印象づけるとともに、国民に大きな自信を与えました。一方で、五輪開催に間に合わせるため、河川の上空に築かれた首都高が美しい日本橋の景観を奪い去ってしまいました。首都高に覆われた日本橋は、当時の日本の発展の象徴でもあり、その犠牲の象徴でもあります。
 日本橋の美しさを取り戻すため、首都高の地下化は、小泉元首相の指示を受けるなど、過去二度、有識者から提言がなされてきましたが、実現に向けて動き出すことはありませんでした。
 こうした中で、都は、本年七月に日本橋の首都高の地下化に向けて取り組むことを表明しました。五輪で失われた景観を五輪で取り戻す取り組みは、五十年余りを経て変化した東京を映し出す鏡のような取り組みで、大変価値あることだと考えます。
 首都高の大規模更新は喫緊の課題であり、世界に誇れる都市景観を創造するためにも、この取り組みを知事のリーダーシップのもとで進めることが重要です。
 そこで、今回の日本橋首都高の地下化に対する知事の決意をお伺いいたします。
 一方、熾烈化する世界の都市間競争で勝ち抜くためには、世界のビジネスマンを引きつける都市機能を磨かなければいけません。国際金融センターとしての機能強化もその一つです。
 国際金融センターには、金融機関のみならず、多くの企業や人々、そして付随する情報が集積し、都民に対しても有形無形の恩恵がもたらされます。その際重要なことは、都民と外資系金融機関双方がウイン・ウインの関係を構築することです。
 そこで、国際金融都市東京を実現していくに当たり、東京都として、都民や都内の企業にどのようなメリットを生み出し、また、外資系企業にはどのような魅力を提供して、海外からの投資を呼び込んでいくのかについて、都の考えをお伺いいたします。
 東京都では、二〇二〇年に向け、東京を訪れる外国人旅行者の旅行者数二千五百万人を目標としています。目標達成には、都心のみならず多摩や島しょエリアへの還流を目指したマーケティング、ブランディング、プロモーションが課題です。
 二〇一八年に開催される平昌五輪は、IOCなど五輪関係者、外国メディア、各国の大手旅行代理店などが集結するため、絶好のPRの機会です。こうしたシティーセールスのチャンスには、オリ・パラ準備局以外の観光部の職員を同行するなど、積極的に都職員を派遣するべきではないかと考えます。
 また、二〇一九年のラグビーワールドカップも外国人観光客の受け入れ体制を図る上で試金石となります。
 外国人旅行者を増加させるためのマーケティングやブランディング戦略、そして実際の受け入れ体制を構築する上で、二〇一八年の平昌五輪、続く二〇一九年のラグビーワールドカップへの取り組みについて、知事の所見をお伺いいたします。
 東京の観光振興を図る上で、多摩・島しょ地域の多様な魅力を生かして、さらなる誘客を図ることは重要です。多摩・島しょ地域に外国人観光客を回遊させるために、旅行会社などと協力した取り組みを行うとともに、地域の魅力の発信を強力に行うべきと考えます。
 外国人旅行者を都内全域に還流させるための取り組みや、多摩地域や島しょのプロモーションについて、都の考えをお伺いいたします。
 二〇二〇東京大会は、東日本大震災からの復興をアピールする役割を持っています。東京と東北地域を結ぶモデルルートを設け、オリンピック・パラリンピックに訪れる外国人観光客が東北各地を訪れるようにする工夫も有効だと考えます。
 五輪で東京を訪れた外国人旅行者に日本国内を周遊してもらえるよう、とりわけ震災からの復興を目指す地域との連携強化、東京五輪に向けての被災地との連携について、都の考えをお伺いいたします。
 多摩・島しょについてお伺いいたします。
 知事は就任当初より、多摩地域の振興や格差の解消に向けて取り組むとし、市町村総合交付金の増額や、地域ごとに視点を変えた取り組みを実施してきました。また、新たに多摩の振興プランも五月には素案がまとめられ、今月に策定されました。多摩地域の振興、多摩格差の是正、解消には、徹底的な現状把握とかけ声で終わることのない本気度が必要です。
 格差は時に、特徴、個性という言葉に置きかえられてしまい、その実情がうやむやになってしまうことがあります。多摩の住民の視点からは、確実に、切実に格差が存在しており、それは予算レベルから政策レベルまで多岐にわたります。予算の面では数字が見えやすいですが、政策レベル、意識レベルでは見えづらくなります。
 多摩地域における各種施策を検討する際には、多摩地域にとってはどうかという視点を意識的に入れることが必要であると考えます。
 多摩地域の振興、多摩格差の是正、解消に向け、改めて知事の思い、所見をお伺いいたします。
 島しょ地域は、世界自然遺産の小笠原諸島を初めとする雄大な自然はいうまでもなく、新島ガラスなどの伝統工芸、くさや、青酎などの食文化といった唯一無二の宝物を有しています。
 一方で、少子高齢化の進展や自然災害のリスクを抱え、不安を感じながら暮らす方々が数多くいらっしゃることも事実であり、早急な対応が求められています。
 知事を初め、東京宝島推進委員会委員の皆様におかれましては、各島への訪問を通じて島の魅力を再発見していただいたものと思います。これらの価値をさらに高めることは、オリンピックを控えた東京にとって多様な観光資源となることから、東京を一層魅力的にするものと考えます。
 そこで、島しょ振興について、知事の思いと所見をお伺いいたします。
 次に、都市農業についてお伺いいたします。
 東京の農業、農地は、新鮮かつ安全な農産物の提供、緑や自然の保護など環境保全に寄与するとともに、防災機能や交流、教育、学習の体験の場として、多面的な役割を果たしています。他方で、農業従事者の高齢化や後継者不足や農地面積の大幅な減少に直面しています。
 さらに、生産緑地に対する固定資産税の軽減措置や相続税の納税猶予の特例が一九九二年から期限は三十年ということで始まり、二〇二二年以降にその期限が到来します。その時点で後継者がおらず、買い取り者がいないなどにより、生産緑地の指定が解除されることになれば、優遇措置がなくなり、農地を維持することができなくなります。
 しかし、その特例として、買い取りの申し出期間を十年延長し、引き続き税制優遇措置を受けることができる特定生産緑地制度があります。また、農地の開発に一定の制限はありますが、直売所や農家レストランなどの整備もできる田園居住地域制度もあります。
 都は、都市農地を守り、都市農業の発展振興の観点から、二〇二二年までに特定生産緑地の制度活用を促す制度を積極的に行うとともに、田園住居地域という用途地域の活用に向けた検討をすべきと考えますが、都の見解を求めます。
 次に、働き方改革についてお伺いいたします。
 テレワークは、子育て、シニア、障害のある方など、都民の皆さんそれぞれの生活スタイルに合った働き方を実現できる働き方改革のかなめですが、企業の導入率は、二〇一二年度では一一・五%にとどまっています。
 ロンドンでは、二〇一二五輪に向けて官民挙げての取り組みを行い、大会期間中の交通渋滞緩和、仕事の生産性向上、テレワーク社会、多様な働き方への社会的な切りかえを成功させたと聞いています。これはまさに見えないレガシーといえます。
 こういった成功事例を調査分析し、定着しやすい業種、プライバシーや知財、情報漏えいなどの課題、期待される成果などを整理し、テレワークの推進に生かしていただきたいと思います。また、一般的にはテレワークとは縁遠い介護士、保育士、教職員など、報告義務が必要な業種に対しての働きかけも必要だと考えます。
 これらを踏まえて、実施主体である企業経営者へテレワークに対する動機づけをどのように行い、テレワークを確実に推進していくか、都の見解をお伺いいたします。
 これまで通勤ラッシュ問題の解消に向けて、鉄道事業者による車両の長編成化や大型化、複々線化などの輸送力増強策、さらにオフピーク通勤キャンペーンを実施することなどにより、東京圏における主要三十一区間の平均混雑率は、昭和五十年の二二一%から、平成二十七年には一六四%まで緩和されてきています。
 各国と比べて鉄道分担率の高い日本において、供給側の工夫と需要側の意識改革など、さらなる対策を講じることによって、快適な通勤を促進することが必要です。
 知事は、昨年の都知事選挙で満員電車ゼロを公約として掲げ、テレワークや在宅勤務を取り入れることなどを含む働き方改革の一環として、時差ビズを提唱されました。鉄道会社や企業、利用者のさらなる共感を得ることが重要だと思いますが、今後の取り組みについて、知事の見解をお伺いいたします。
 次に、環境対策についてお伺いいたします。
 二〇一五年十一月にパリで開催された気候変動枠組条約第二十一回締約国会議で、温度上昇を摂氏二度以内にとどめること、今世紀後半にはCO2の排出をゼロにすることなどを内容とする、二〇二〇年以降の新たな国際枠組みであるパリ協定が締結されました。
 東京都はエネルギーを大量に消費している都市であり、ゼロエミッション東京の実現に向け、需要サイドの対策、すなわちエネルギー使用量を削減し、エネルギー源を再生可能エネルギーや水素へと転換を進めることにより、多大な貢献ができます。パリで開催されるC40への知事の出席は、東京の国際的な役割を世界に印象づける機会になると期待しています。
 家庭レベルでのLED電球無料交換事業は、都民の省エネ意識を高めていくという発想から事業を考案された、世界でも極めてまれな事業であり、評価できます。
 この事業は、百万個の白熱電球がLED電球にかわることで、一般家庭約三万世帯分の電力消費量が削減され、CO2に換算して四・四万トンの削減効果が見込まれます。課題の一つとされた、身体的な理由で協力店に行かれない方に対しては、早速今秋から代理受領や出張受領が実施され、さらなる利用者の増加が期待されます。環境局の今回の迅速な対応は、この事業を何としてもやり遂げるという熱い情熱を感じます。
 しかし、まだ目標に届いていない理由としては、都民への周知がまだ十分でないことが挙げられます。都民への周知、啓発には、都民に一番近い区市町村の協力はもちろん、環境教育の一環として周知するなど、区市町村や学校等とのさらなる連携が必要ではないかと考えます。都の所見をお伺いいたします。
 農林水産省の統計によれば、平成二十八年度食料自給率は、カロリーベースで三八%、生産額ベースで六八%になっています。これは、先進国中最低水準です。ところが、日本では年間六百二十一万トンもの食べ物が廃棄されています。
 日本のコンビニエンスストアや外食産業はマニュアル化が進んでおり、多くの食べ物を廃棄することを前提として成り立っています。その一つが流通業界における三分の一ルールで、賞味期限の三分の一までを小売店への納品期限、次の三分の一までを消費者への販売期限とする商習慣です。
 例えば、賞味期限三カ月の食品だと、店頭に並ぶのは一カ月ということになり、一カ月が過ぎると廃棄されてしまうということになります。
 諸外国の消費者への販売期間は、イギリスでは四分の三、ヨーロッパでは三分の二、アメリカでは二分の一といわれています。食品ロスをなくすには、業界の商習慣を是正するとともに、消費者の側の認識の変化も促さなければなりません。また、クリスマスケーキや恵方巻など、特定の日が過ぎると需要がなくなるため、これらの廃棄も問題となっています。
 東京都は、食品流通の実態調査を行い、関係事業者から成るステークホルダー会議を立ち上げることになりましたが、諸外国の商習慣などを参考にして、販売期間拡大に向け、都が積極的にこの会議を進めていくことは、食品ロスを減らす上で重要ではないでしょうか。都の所見をお伺いいたします。
 次に、動物愛護についてお伺いいたします。
 これまでの取り組みにより、犬猫については、平成二十四年には全国で殺処分数十六万二千頭であったものが、平成二十八年度には約五万六千頭にまで減少しています。
 都では、知事が殺処分ゼロを公約に掲げています。苦痛を取り除くなど、やむを得ない場合を除いた殺処分数は、平成二十七年度二百三頭だったものが、平成二十八年度に九十四頭に半減し、犬の殺処分数は初めてゼロを達成することができました。これは大きい成果です。
 これには、動物愛護相談センターに収容された動物を新しい飼い主へとつなぐ仕事の役割が大きく、ボランティア団体がそれを担ってきました。知事の公約、殺処分ゼロを実現するためには、ボランティア団体から新しい飼い主へ動物の譲渡を一層推進する必要があると考えますが、都の取り組みをお伺いいたします。
 次に、水道行政について伺います。
 日本で初となる国際水協会、IWA世界会議が、ちょうど一年後に東京で開催されます。水は人々の暮らしを支えるだけではなく、車一台をつくるのに四十万リットルの水が必要との報告もあり、工業においても、水の価値は石油をしのぐといわれるようになりました。
 近年、水道事業を民営化した国の中には、民間事業者からの値上げを受け、水道事業が破綻したケースもあり、改めて公営の上下水道事業に注目が集まっています。都はこれまでにも、民間企業と連携し、漏水や盗水に悩む東南アジアの諸都市に技術提供するなど、貢献してきました。
 来年開催される世界会議を機に、都がこれまで培ってきた上下水道の技術やノウハウを広く世界に発信し、水不足にあえぐ十億人ともいわれる世界の人々に貢献することは、大変意義のあることと考えます。
 今月四日には、IWAのダイアン・ダラス会長が都庁を訪問され、知事との会談の中で、来年の世界会議への高い期待が寄せられたところです。IWA世界会議を通じた世界の水問題への貢献について、知事の所見をお伺いいたします。
 IWA世界会議は、世界の水問題の解決に資するだけでなく、国内企業が有する高度な技術やノウハウをPRするよい機会であり、会議を通じた企業の海外に向けたPRは、産業力の強化にもつながります。IWA世界会議に対する東京都の対応及び準備状況について伺います。
 国内の水道事業について伺います。
 水道事業は法定による点検義務はありませんが、電気やガスと同様にお客様への個別訪問をし、家庭内の水質確認、漏水調査などを行っています。
 このため、お客様のニーズを的確に把握するなどのために水道フレッシュ診断を三カ年にわたって実施しました。また、安全でおいしい高品質な水を実感していただくなどの目的で、東京水道あんしん診断を提供中です。
 水道フレッシュ診断、東京水道あんしん診断ともにアンケート調査を行い、アンケート結果で得たお客様の声を水道事業に反映するとのことですが、前回の水道フレッシュ診断の結果は、現在の水道事業のどの部分に、どのように反映されたのか、所見をお伺いいたします。
 都は、都市部における台風や集中豪雨による水害対策として、一時間当たり五十ミリの降雨による洪水に対して安全を確保することを目標として中小河川の準備を進めてきました。ところが、近年はそれを超える豪雨があり、二〇一二年には、区部を流れる河川は七十五ミリ、多摩部を流れる河川は六十五ミリに目標整備水準を引き上げています。しかし、目標水準を引き上げたとしても、対策が必ずしも追いつく確証はありません。
 そこで、局地的集中豪雨に対しても、中小河川やマンホールからのあふれ出しを防止する対策だけでなく、洪水が起きたときに命と財産を守るための順応的な対策も検討する必要があります。
 全国各地で大規模な浸水被害が発生している中、治水対策は喫緊の課題です。新たな目標整備水準を早期に達成するため、今後どのように取り組んでいくのか、建設局及び下水道局にお伺いいたします。
 また、治水対策だけでなく、平時は水と親しめるようにする工夫が都民に憩いと潤いを与えます。水害の危険から都民の命と暮らしを守りながら、良好な河川環境を保全、創出するために今後どのような工夫がなされていくのか、お伺いいたします。
 都は、東京都地域防災計画を策定し、被害を最小限に抑えるために、耐震化推進、木密地域の不燃化対策、無電柱化などのハード面の対策に加え、「東京防災」の全戸配布や女性視点の防災ハンドブック作成、ツイッターを利用した防災情報発信など、ソフト面の対策も推し進めています。
 しかし、備えよ常にとの考えに基づいて、さらに関係機関、民間企業、地域団体との平時からの連携や都民の防災意識の啓発などを通じ、都として地震への備えを強力に進めていくことが強く求められています。
 そこで、都における震災対策に関して、知事の基本的な認識をお伺いいたします。
 経団連は、平成二十八年に、大規模災害への対応における官民連携の強化に向けてという提案を出しており、支援物資の輸送にとどまらず、防災や災害対応全般について官民連携が不可欠だと指摘しています。このときに大切なのは、官民が持つ情報を共有し、災害対策や都民の防災につなげていくためのICTの活用です。
 そこで、災害対応におけるICTを活用した情報連携について、都の取り組みを伺います。
 東京の防災力を高めるとともに、ベビーカー、車椅子などの安全な歩行空間を確保し、電線のない良好な都市景観を創出するためにも、無電柱化の推進は重要な政策です。無電柱化推進のフォトコンテストが実施されるなど、民間においても無電柱化促進への取り組みが進んでいます。
 都は、都道に限らず、区市町村道も含めた都内全域で無電柱化を一層推進すべきとして、新たに条例を定め、九月一日から施行となりました。さらに、今年度から、コスト縮減に向け、電線等の埋設の深さを浅くする手法を導入するなど、チャレンジする区市町村に対して財政的、技術的支援を拡充しています。
 そこで、条例制定により、今後東京の無電柱化をどのように進めていくのか、また、条例の意義について都民の理解をどのように得ていくのか、知事の所見を伺います。
 さらに、これまで見えてきた課題とその解決を含む具体的な進め方について見解を伺います。
 オリンピック・パラリンピック大会経費の不透明さやわかりにくい仕組みが国民の期待を下げる要因となっており、大会成功に向けては、情報の共有と公開に努め、経費の縮減、効率化を図ることが課題となります。
 本年五月三十一日には、関係自治体等連絡協議会で、東京都、組織委員会、国、関係自治体の四者による経費、役割分担が明確化されました。また、公費等が投入され、共同で実施する事業については、共同実施事業管理委員会を設置して、大会経費のコスト管理、執行統制の強化を図っていくとしました。今回の取り組みは大会経費の透明化の第一歩であり、私たちは大きな期待を寄せています。
 共同実施事業管理委員会にどのような効果を期待して、具体的かつ主体的に取り組んでいくのか、知事のご見解をお伺いいたします。
 大会関係のうち、東京都及び国に割り振られていない未決定の費用である関係自治体の会場周辺における輸送、セキュリティー等の経費は、今後整理、精査を行うこととしています。大会準備を円滑に進めるためには、関係自治体との連携が不可欠ですが、本年九月六日、東京都を初め関係自治体と共同して、全国宝くじ協議会や関係省庁への要望活動を行ったことで、関係自治体の足並みがそろったと感じています。
 今後、どのように関係自治体との連携を進めていくのか、伺います。
 復興五輪は、二〇二〇東京大会の重要なテーマの一つです。被災地での競技開催で、東日本大震災の被災者の方々に夢や希望を持っていただくとともに、被災地の復興を世界中の方々に発信することが重要となっています。
 これまで、スポーツ交流や観戦招待、千キロ縦断リレーなどを行い、一つ一つのことが継続し、開催されていることで、地元の方にも受け入れられています。ことしは、フラッグツアーでは、都内はもとより、地震で被災した東北三県と熊本県を巡回し、知事みずからも現地入りし、機運醸成を図っています。
 いよいよ開催まで三年を切った今、改めて復興五輪に向け、知事の思いをお聞かせください。
 近年、ヒートアイランド現象に地球温暖化による影響が重なって、東京の気温上昇は顕著となっています。気温上昇による熱中症患者数の増加など、都民の健康や生活への影響も顕著となっており、猛暑日の運動では、重篤な熱中症にかかる事態も報告されています。
 また、樹木などの木陰がない路面についても、遮熱舗装の効果が認められれば、都内の気温が下がり、局地的集中豪雨への対応にもなり得ると考えます。
 東京五輪に向けて、アスリートや観客が暑さをしのげるよう、遮熱性舗装やクールエリアの創設などの暑さ対策を総合的に展開していく必要があると考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 東京が二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの開催権をかち取ったのは、二〇一三年九月。IOCのロゲ前会長が東京をコールし、日本中で歓喜が湧き上がってから四年がたちました。この間、エンブレム問題、国立競技場工事費問題などから、オリンピック機運に水を差す事態も相次ぎました。しかし、大会の成功のために機運醸成は欠かせません。
 都は、機運醸成のため、都内の学校においてオリンピック・パラリンピック教育を進めています。開催まで三年を切り、さらなるオリンピック機運醸成には、都や組織委員会が主催するイベントの開催に加え、都民の誰もが主体的に取り組める新たな仕組みが必要と考えます。
 都民が主体的に参加できる仕組みの必要性について、都の考えを伺います。
 スポンサー収入の一層の確保策について伺います。
 現在、組織委員会では、スポンサー収入を二千八百六十億円と見込み、大会運営を支えるためにさらなる収入増を図っていると聞いています。
 そこで、競技施設などの工事現場における屋外広告物規制について伺います。
 今後、競技施設など五輪関係工事が進む中で、工事期間中の仮設壁などにオリンピアン、パラリンピアンの躍動感あふれる写真やイラストを掲示することは、五輪機運醸成にも貢献しながらスポンサー収入増を見込める一石二鳥の効果が期待できます。
 しかし、現在の都の屋外広告物規制では、工事現場の仮設壁には百平米までの掲示しか許されておらず、規制の枠を超えられません。
 そこで、オリンピック・パラリンピック関係に限定し、時限的に屋外広告物規制の緩和を検討するべきではないかと思いますが、東京都の所見を伺います。
 築地市場の豊洲への移転は、六月二十日に知事の基本方針によって決定され、移転の条件を整備するため、臨時都議会で五十五億円の補正予算も成立しました。これにより、盛り土がなかったことに対する追加対策工事が実施されるなど、築地市場の速やかな豊洲移転に向けての施策が講じられることとなりました。
 一方で、盛り土がなかったことに対する市場関係者、都民の皆さんの不安はいまだに残っています。また、豊洲市場にカビが発生したことも不安を与える一因となりました。
 速やかな移転には、丁寧な説明が求められます。これから始まる追加対策工事の実効性を市場関係者、都民の皆さんに正確にお伝えするとともに、盛り土問題で与えた都民の不安と不信を払拭していく必要があります。
 また、移転準備に向けては、具体的なスケジュールや手続を市場関係者の皆さんと協議していく必要があります。今回の追加対策工事に伴う事業者への説明に合わせて、開場時期、引っ越しの手順についても丁寧に協議し、速やかに決定されることを望みます。
 これらを踏まえ、補正予算成立を受けて対策工事が始まろうとしている今、豊洲市場への取り組みについての知事の所見を伺います。
 また、築地再開発検討会議が発足をし、大きな東京都市づくりの観点から築地の再開発が議論されると聞いております。
 築地のブランドは世界のブランドであり、唯一無二のものであります。更地にして売却してしまえば築地が育んできた食のブランドは何も残りませんが、都として再開発への青写真を描き、築地のブランドを残しつつ、東京のランドマークになるまちづくりへと昇華させれば、都民が、国民が世界に誇れる築地のまちづくりになると期待しています。
 知事には、築地エリア開発こそが今後の東京の成長を担うというくらいの大きな視点で築地再開発に臨んでいただきたいと思いますが、知事の所見を伺います。
 さらに、六月二十日に知事が示した大方針によって、一刻も早く豊洲で新たな事業展開を図りたいと希望する事業者もおられるでしょうし、豊洲に移転後、再び築地での経営を希望する方もいらっしゃると聞いています。
 さまざまな市場関係者の率直な意見を聞き取ることは、豊洲市場への移転や今後の築地の再開発を考える上で、貴重な意見として貢献するものと考えますが、都はこうした市場関係者の声にどのように向き合っていくのか、都の所見をお伺いいたします。
 最後に、私たちが目指す真の議会改革について申し上げます。
 本定例会に提出の子どもを受動喫煙から守る条例案を策定する過程で、四百件を超えるご意見をいただきました。私たちの声がこうして届き、議員の手によって条例化されることに感激しているとのご意見や、条例を一緒につくれる機会なんて今までなかったという声もいただきました。
 ヒアリング、意見募集を通じて、私たちは実感いたしました。議員がみずからの手で条例という地域のルールづくりを始めれば、多くの情報、要望、知恵、そしてこれまでいえなかった不平、不満、苦悩が都民から集まるということを。その意見が私たちの筆を走らせ、条例の一字一句に都民の願いを込めることができることも確信いたしました。
 掘らなければ、泉は湧き上がりません。議会の私たちが、その努力を惜しまず掘り進めば、とどまっていた都民の声は一気に湧き上がり、知恵のダムとなった議会は、改革の清流を生み出すことができると自信を持って申し上げたいと思います。
 私たち都民ファーストの会は、古い慣習で眠りについた都議会の権能を覚醒させ、都民の皆さんの意見を反映できる全国一の議会にしてまいります。
 都議選で寄せられた都民の期待に応えていくことを改めてお約束申し上げ、代表質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。