代表質問 増子 博樹 令和2年第三回定例会

令和二年第三回定例会に当たり、都民ファーストの会東京都議団を代表し、小池知事及び教育長、関係局長に質問いたします。
 質問に先立ち、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々に対しまして、心よりご冥福をお祈り申し上げます。また、今なお療養中の方々におかれましては、一日も早いご回復を祈念申し上げます。
 新型コロナウイルス感染症との長い闘いにおいて、私たちは、感染拡大の防止と社会経済活動の両立という極めて難しい課題に対し、都政一丸となって取り組んでいく必要があります。人口減少、少子高齢化における社会保障の持続可能性への懸念、世界経済における日本の地位低下、災害の激甚化や気候変動など、感染拡大の前から多くの課題を抱えていました。
 これらの課題に加えて、感染拡大に対峙する中、デジタル化のおくれや不十分な地方分権など、旧来の社会システムが抱えてきた数多くの構造的な問題点を都民、国民が認識するものとなりました。
 新型コロナに打ちかつとともに、新型コロナが明らかにした課題に正面から向き合い、ポストコロナの東京のあるべき姿を描き出し、東京を次なる成長のステージに押し上げていくことが私たちに課せられた歴史的な使命です。
 さきの東京都知事選挙において、小池都知事は三百六十六万票を得票して再選されました。これは小池知事、そして私たちが車の両輪として都議会から推し進めてきた東京大改革、都民ファーストの都政に対する都民の皆様の評価と今後の期待の大きさを示すものです。
 一方、都議会改革においても多くの取り組みが進展し、メディアによる議会活力度ランキングが二〇一五年には四十七都道府県で四十五位であったところ、八位に上昇。全国市民オンブズマン連絡会議による政務活動費情報公開度ランキングでは、二〇一七年の三十四位から五位まで急上昇しています。
 また、私たちが進めてまいりました待機児童解消や不妊治療等の少子化対策、デジタル化の推進などがようやく国としても取り組みが進みつつあります。引き続き、東京から日本全体をリードする都政を推進していかなければなりません。
 小池知事には、時計の針を古い都政に戻すことなく、新型コロナを乗り越え、都民ファーストの視点で東京大改革二・〇を強力に推進することが求められていますが、二期目を迎えた小池知事の都政にかける意気込みを伺います。
 小池知事就任以来の四年間で事業見直しによる三千五百億円の新規財源の確保、更新費用が二千億円を超えるとされた工業用水道事業の廃止など、賢い支出、ワイズスペンディングが実行されてきました。
 有事において大胆な財政出動は当然必要です。そのためにも、本来であれば平時から有事に備えた堅実な財政運営が必要とされますが、本年の骨太の方針の中で、プライマリーバランスについて言及しないなど、国の財政運営に向き合う姿勢に大きな疑問があるといわざるを得ません。
 都においては、大幅な減収も想定される中で、山積する課題に対応しながらも、今まで以上に都財政の持続可能性を意識した予算編成を行っていくべきです。
 来年度予算編成が本格化する中、今後の財政運営に当たっては、無駄の削減を徹底する一方で、必要な事業には予算を機動的に措置する賢い支出をこれまで以上に徹底すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 政策連携団体など、外郭団体の中には都が出捐している資金が積み上がっているものもあります。都庁での取り組みに加えて、都財政の状況を踏まえ、これらの出捐金のうち、返還できるものは返還を求めていくべきと指摘いたしておきます。
 首都東京の感染者数は全国最多であり、都民の命、健康や経済を守り抜くために必要な費用は巨額に上ります。しかし、新型コロナ対策を目的とした国の臨時交付金の東京都への交付総額は五百七十二億円とされ、総額のわずか四・六%にとどまっています。
 また、これまでも国の地方法人課税の見直し、いわゆる偏在是正措置によって都税収奪が行われてきました。令和二年度における都財政への影響額は、単年で八千三百八十六億円と試算されており、一世帯当たりで毎年約十二万円もの金額が国に収奪されることになります。
 東京は日本経済全体のエンジンであり、安易な一極集中という言葉で東京の競争力をそぎ、単なるばらまきを進めている国の都税収奪政策は、地方創生にも日本全体の国際競争力にもつながらず、抜本的に見直し、撤回されるべきものです。
 加えて、今回、コロナ禍と対峙する上で、現場を預かる東京都や区市町村などの地方自治体の裁量拡大とともに、財源移譲や交付金の配分、補助率の引き上げ等によって必要十分な地方財源が確保されることが重要であると明らかになりました。
 現下の厳しい状況を克服し、東京が新型コロナに打ちかつことが日本全体にとっても必要不可欠であり、その実現のため、地方の権限に見合った財源の拡充を国に求めていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 新型コロナ政策に関し、これまで私たちは三十八回に及ぶ知事への緊急要望を行ってきました。本定例会で提案されている三千四百三十六億円の補正予算案を含め、これまで小池知事は一兆六千億円を超える対策を講じ、その中で私たちの要望の多くが実現に至っており、小池知事の迅速な対応を高く評価するものです。
 現在の感染状況に加え、秋冬のさまざまな事態を想定し、先を見据えた対応を進める必要がありますが、今回の補正予算案の編成に関する知事の見解を伺います。
 本定例会において東京都新型コロナウイルス感染症対策条例改正案が提案されました。都はこれまで、都民の命と健康を守るため、いち早く都民に外出自粛を呼びかけ、国に対しては緊急事態宣言を求めるなど、強い危機意識を持って感染拡大の初期から迅速な行動をとってきました。同時に、事業者には協力金の創設を表明するなど、最大限の支援を講じてきました。
 未知のウイルスに対し、都民とともに協力して取り組んできたことで、感染の第一波、第二波を抑えてこられました。
 しかし、この間に一律の休業要請、時短要請によって、都民、事業者が払った犠牲は余りにも大きなものがあります。これまでに得られた知見や蓄積をもとにして、感染拡大防止と経済を適切に両立できるよう、医療崩壊を起こさせないということを基軸に、めり張りのある対策にブラッシュアップしていくべきです。
 九九%の都民が感染拡大防止に多大な犠牲を払いながら協力をくださっている一方で、一部には極端な迷惑行為の事例も報告されています。
 愛知県の蒲郡市では、陽性判定を受けていた男性が、俺はコロナだといって飲食店を訪れ営業活動を妨害したほか、従業員に感染させた疑いを持たれています。
 蒲郡市の鈴木寿明市長は、自宅待機の要請が守られなかったことを受け、市民に感染の危機があったことは遺憾と述べ、極端な迷惑行為に対する危機感をあらわにしました。警察も傷害罪や威力業務妨害罪の適用を検討したものの、男性が死亡したことで、立件を見合わせたと報じられています。
 極端な迷惑行為に対しては、警察権の行使を待たずに自制を求める条例が必要であり、こうしたごく一部の極端な迷惑行為によって、多くの都民、事業者が多大な負担を強いられることはあってはならないと考えます。
 第二波の検証を踏まえて、こうした極端な迷惑行為に対し、都はどのように対処してきたのか。また、今般、新型コロナウイルス感染症対策条例の改正案が提案されましたが、第三波への備えとして、このような行為に対してどのような対策が必要と考えているのか、知事の見解を伺います。
 今回、条例改正により、都や都民、事業者の責務や努力義務が定められたことは評価をいたしますが、努力義務の実効性については成果を上げられるよう取り組みを求めます。
 一方、本来であれば感染拡大の芽を摘むための実効性ある取り組みを都道府県ができるように、感染症法や特措法の改正を国が行うべきです。それがなされないのであれば、例えば極端な迷惑行為によって感染拡大を起こすケースに対しては、条例により罰則を科すことも、取り組みの実効性を担保する上で検討していかなければならないのではないでしょうか。
 私たちが実施した都民アンケート調査では、陽性者が要請に従うよう罰則を科すべきだとする人が五四・六%と過半を超えており、一方、現状どおりの努力義務でよいとする人は三三・四%と、より踏み込んだ対応を求める意見が上回っていることから、私たちは引き続きあるべき対策の姿を検討してまいります。
 これまでの第一波、第二波を踏まえ、より一層精緻な対策を効果的に講じていくために、抜本的な体制強化も必要となります。今後の新型コロナウイルス対策の強化、さらには将来の新たな未知の感染症から首都東京を守る上で、疫学分析等に基づいた科学的な政策立案を実行するための司令塔機能の確立は欠かせません。
 私たちは、海外の事例も参考にした東京版CDCの創設を強く求めてきましたが、先日、小池知事から正式に名称をiCDCとするなど、詳細が公表されました。
 これから秋冬のインフルエンザ流行期を控える中、感染を抑制しながら必要な社会経済活動を維持していくためには、感染状況の正確な調査と疫学分析に基づいた評価、適切な情報開示を進め、政策の方向性を示すことが重要であり、東京版CDCの本格運用に向け、早急に取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 感染症に関する都のデータ公開は、対策を研究、分析する国やさまざまな関係機関においてももとになるものです。加えて、都民の共感を得ながら適切な行動変容を促すリスクコミュニケーションの観点でも重要です。
 これまで随時改善はされてきましたが、例えば陽性者の個票における発症日、確定日、接触歴、居住区市町村、他県移動歴などのデータに関しては、都はいまだ十分な公表をしておらず、感染症対策の戦略を立案する上で根本的なデータが入手できないと感染症の専門家からも指摘されています。条例改正案に情報の提供等の都の責務を定めたことからも、早急な対応を求めます。
 今後、東京都新型コロナウイルス感染症対策条例の改正に当たり、公開すべきデータを改めて精査し、CDC設立も視野に入れながら、リスクコミュニケーションの体制を再構築していくことが重要と考えますが、知事の見解を伺います。
 コロナ禍において極めて憂慮すべきは、みずから命を絶ってしまう自殺、自死の問題です。コロナ禍にあって、倒産や失業などを要因とする自殺対策に東京都として全力で取り組むべきと考えます。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う社会経済状況の変化により、今後、自殺者が増加することが懸念されますが、知事の見解を伺います。
 感染拡大防止と経済活動を両立していく上で、各事業者の皆様にガイドラインを遵守した事業運営をしていただくとともに、都民の皆様にも対策が適切に行われている店舗等を利用していただくことが重要です。
 都は、感染防止徹底宣言ステッカーの普及を進め、その効果が認められる一方で、ステッカー掲示店における不十分な対策がもとでクラスターが発生する事例もあるなど、ステッカー制度の実効性の担保は大きな課題となっています。
 都民の信頼を得られる仕組みを速やかに構築すべきであり、ステッカーの掲示に際して、適切にガイドラインが守られているか、都が直接店舗を確認することに加えて、各業界団体と連携した取り組みを強化すべきです。
 今後、各業界団体が主体的にガイドラインの遵守点検を行うことを推進するため、点検を実施した店舗を都民が認識できるように、ステッカーの上にシールを張るなどの取り組みや、店舗や利用客に対する普及啓発のための動画やポスターを制作することなど、取り組みを支援するべきだと考えますが、都の見解を伺います。
 効果的な感染症対策を講じていく上で、重症患者を出さない、命の危険にさらされる都民を出さないことを重視することが極めて重要です。そのような観点から、重症化しやすい方々を守る取り組みとして、高齢者施設や障害者支援施設などでのPCR検査を実施できるようにすべきであると強く求めてきました。
 今回、こうした施設での検査実施を支援するための予算が計上されたことを高く評価します。外部からの感染の持ち込みを恐れていた施設や利用者の皆様からも歓迎の声が寄せられています。
 検査をどのように、どのタイミングで実施すべきかといった現場で適切な運用がなされるようガイドラインなどを示すべきです。また、陽性者が発生した場合に複数の職員が隔離や待機などが余儀なくされる事態も想定され、施設運営や入所者のケアを継続できるよう対応が必要です。
 今後、高齢者施設や障害者支援施設などで予防的なPCR検査が実施されるに当たり、施設に丁寧に説明をするとともに、入所者や施設職員が陽性となった場合に備え、事業者間、施設間で相互に人的な連携が行える体制が必要であると想定され、都として支援していくべきと考えますが、見解を伺います。
 秋冬の季節性インフルエンザの流行にも備えなければなりません。発熱やせきなどの呼吸器症状や倦怠感など、症状だけでは新型コロナの感染症状との判断がつきにくいケースの増加も想定され、診療所や病院の負担や混乱を回避するための施策が必要になります。
 そこで、重症化するリスクの高い高齢者や基礎疾患のある方に対して、季節性インフルエンザの予防接種が確実に受けられるよう、区市町村への補助を実施するとともに、必要なワクチンを確保することで支援すべきと考えますが、見解を伺います。
 地域におけるさまざまな交流活動、見守りなどの中止、縮小が余儀なくされています。あわせて、新型コロナの二次被害として、高齢者のフレイル、認知症などの進展も懸念され、今後、深刻な影響が生じる懸念があります。
 感染状況を注視しながら、高齢者が安心して運動や交流ができる環境づくりや、デジタルを活用した地域活動の後押しなど、支援策の実施を求めておきます。
 陽性者の中には、自宅に要介護者や小さい子供を一人にしておくことができないという理由から、やむを得ず自宅療養を選択する方が多数いらっしゃいます。一方で、家庭内感染が多数発生している状況も踏まえ、安心して宿泊施設での療養を選択できる環境を整えるよう私たちは求めてきました。
 今回の補正予算において、国の施策による子供の一時受け入れ施設に加えて、都独自に、家族が感染した場合の要介護者の受け入れ体制を整備する区市町村への支援が盛り込まれたことは極めて重要です。
 受け入れ施設の整備、確保に加え、自宅からの移動の支援や受け入れ施設での介護士の配備など、区市町村が実態に即した支援を実施できるよう、柔軟な対応が必要と考えますが、見解を伺います。
 経済的影響を受けやすいひとり親世帯への支援として、私たちの要望を受けて、都が六月の補正予算で、児童扶養手当を受けているひとり親家庭に対する食料等の提供事業をいち早く実現したことを評価いたします。
 一方、その後始まった国のひとり親世帯臨時特別給付金においては、本来は児童扶養手当の支給対象になるが、遺族年金や障害年金などを受けていることにより、児童扶養手当が全く支給されていないひとり親世帯や、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて家計が急変し、収入が大きく減少した家庭も対象としています。
 児童扶養手当が支給されている家庭と同様に、経済的な負担が大きいこうしたひとり親家庭に対して、都としても支援を行うべきと考えますが、見解を伺います。
 感染者データの収集と集計において、医療機関、保健所、東京都の間でファクスでやりとりされ、それを国のシステムに入力していく形であったため、感染者数が急拡大する中で、業務逼迫や集計ミスなど課題が浮き彫りになりました。
 こうした状況を受け、厚生労働省は、五月末に新システムのHER─SYSを導入しましたが、有効に機能していない状況にあると認識しています。保健所だけではなく、各医療機関が感染者情報を入力する必要があるので、入力業務の負担に課題があるといわざるを得ません。
 そのため、私たちは、既存システムからのデータ移行や、二百七十以上に及ぶ入力項目の簡素化など、医療機関や保健所から要望を吸い上げた上で、改善を国に強く働きかけるよう求めてまいりました。
 システム上のさまざまな課題があり、医療機関において現在のところ導入が進んでいないと認識していますが、多忙をきわめる医療機関や保健所の負担が増大しないよう、国の新システム、HER─SYSの効率的な運用を図るべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、経済対策とウイズコロナにおける新たな日常の構築について伺います。
 新型コロナの影響は、経済、雇用に幅広く及んでいます。飲食や観光、エンターテインメントなど、経営環境が特に厳しい業種や、増加が指摘されている失業、求職者や学生等への集中的支援など、さらなる取り組みの強化が必要です。
 あわせて、単にコロナ前の経済に戻すのではなく、デジタル化の推進や脱炭素経済への転換、新産業の育成や就労支援を初めとする人的資本への投資の強化など、コロナ後のあるべき東京の姿を見据え、経済の変革を促していく必要があります。
 各種統計からも明らかなように、都内の雇用情勢は急速に悪化しています。東京の経済をいち早く回復させ、再び活力を取り戻すために、離職を余儀なくされた方の再就職を都が迅速に支援していくことが重要です。
 都は、私たちの要望を受け、雇用安定化就業支援事業を立ち上げたほか、就職氷河期世代や内定を取り消された新卒者等の職員採用についても開始しました。
 これまでの積極的な取り組みは評価するものではありますが、経済の停滞に伴い、雇用状況の深刻さはさらに増してきており、都としてさらに踏み込んだ対策を打ち出すことが必要と考えますが、知事の見解を伺います。
 今般、感染の第二波が落ちつきを見せつつある中で、東京も含めたゴー・ツー・キャンペーンの実施が決まりましたが、感染状況について決して油断をしてはなりません。受け入れ側と旅行者との双方に感染防止の徹底を図り、また、都内やその周辺を中心とするマイクロツーリズムの発想で、感染状況への影響も丁寧にモニタリングしながら進めていくべきです。
 私たちが求めてきたこうしたコロナ禍における観光振興として、都民が都内の観光地を観光する都独自の支援を、補正予算案として追加提案したことを評価しています。
 国の施策では、比較的高額な宿泊施設に利用が集中している状況にあることから、本事業の実施に当たっては、感染防止対策の徹底を図った上で、旅行業者の旅行商品のみならず、宿泊事業者への直接予約も対象にするなど、事業の効果を広く事業者に行き渡らせるような都独自の観光支援策を実施すべきと考えますが、見解を伺います。
 また、医療体制が脆弱な島しょ部においては、感染防止対策の徹底とともに、基幹産業である観光産業の早期回復に向けて、中小の観光関連事業者の支援に結びつくよう、しまぽ通貨の開始や閑散期の誘客促進策の検討など、他の施策ともあわせて実施すべきと考えますが、見解を伺います。
 コロナ禍は市場関係者にも大きな影響を与えています。私たちは、生鮮食料品等の安定供給の中核である中央卸売市場において、市場業者の経営を支えるべく、使用料などの支払い猶予、金融支援、家賃支援給付金の円滑な給付、経営改善支援など、市場業者に寄り添う丁寧な支援を実現してきました。
 また、以前から、食卓における魚食量の減少、市場経由率の低下は深刻であり、ニーズの変化を捉え、新たな時代と向き合って進化していくことは、ポストコロナの観点からも、中央卸売市場にとって大きな課題です。
 都においては、中央卸売市場の将来を見据えた経営計画の策定が進められているところですが、この社会変革も捉えた実効性のある内容にするとともに、さらにその先を見据えた市場経営のビジョンを示すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 都内企業におけるテレワーク導入率が六割を超えるなど、感染症への対応を契機に、新たな働き方が急速に拡大しました。私たちの求めに応じて、これまで都として、テレワーク導入支援やサテライトオフィスの設置促進など、先んじて取り組んできたことが下支えし、実を結んだものです。
 しかし、感染状況が落ちつくと、もとの出社勤務に戻す企業も多数出てきています。非常時の一時的なテレワークではなく、ポストコロナ時代の新しい働き方として、機を逸せず社会に根づかせなければなりません。
 先日、都は、テレワークの促進と定着に向けたテレワーク東京ルールを策定し、公労使による「新しい東京」実現会議において、その普及促進を図るため、共同宣言として取りまとめましたが、今後、この東京ルールをてこに、どのように実効性ある取り組みを展開し、働き方の変革を後押ししていくのか、知事の見解を伺います。
 JR東日本など鉄道事業者が時間帯別に運賃を変える、いわゆる時間差料金制の検討を開始しました。鉄道の時間差料金制は、ニューヨーク、ロンドンなど海外の主要都市で導入され、ピーク時の混雑を緩和する効果が認められています。毎日五百万人の通勤客が満員電車に苦しむ東京にとっても、満員電車解消のための施策として、その実現性を検討すべきものであります。
 私たちはかねてから、時間差料金制の効果や技術的課題について検討するよう求め、これに対し都は、先端技術の活用も視野に入れた混雑緩和の対策の検討を始めています。
 今後、鉄道事業者とも、より積極的に意見交換を行い、時間差料金制の導入に向けてさらなる検討を深めるなど、鉄道の混雑緩和に向けた取り組みを一層進めるべきだと考えますが、都の見解を伺います。
 一方、都営地下鉄の利用者数も、前年同期比で現在も三〇%以上落ち込んだ状況が続いています。第一・四半期の収入は、都営地下鉄が前年同期比約百七十億円の減収となり、経営はこれまでにない困難に直面しています。
 都営交通は、都民の日常を支える足として不可欠の交通インフラであり、経営状況の悪化は最終的に都民の負担になりかねません。都営交通も民間企業と同様あるいはそれ以上の経営努力を払う必要があります。
 そこで、利用者数の低迷が予想される環境下において、いかにして都営交通の経営を維持していくのか。例えば時間差料金制の導入など、ポストコロナに即した新たな収支構造を検討すべきだと考えますが、見解を伺います。
 都は昨年、ソーシャルファーム条例を制定しました。私たちは、知事への要望書などを通じて、実効性を伴うソーシャルファームの仕組みが構築されるよう、詳細な提言を重ねてまいりました。六月には、認証基準や支援策についての概要が示され、いよいよ十月上旬からソーシャルファームの募集が開始されることとなりました。
 現在、雇用情勢が悪化し、とりわけ就労に困難を抱える方を取り巻く状況は深刻さを増していることから、本取り組みへの期待が一層高まっています。
 一方、事業所で働く従業員の二〇%以上、就労に困難を抱える方を雇用するという認証基準を満たすことの難易度は、経済環境の悪化により上がっています。
 そのような中で、ソーシャルファームの設立を検討する方々の事業意欲を喚起する施策、丁寧な説明会の実施、充実した支援拠点の早急な設置などが必要です。
 厳しい経済状況にあっても、ソーシャルファームの事業所創設に向けた意欲ある事業者を都としてしっかりと支援するべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 平成二十九年の都内の共働き世帯は六一・五%と増加傾向にありますが、障害児の母親の就労率は五%にとどまっており、障害児家庭はより厳しい経済状況に置かれています。障害児家庭では、医療費や福祉サービスの多額の出費が続くことから、保護者がフルタイムで共働きを続けられることは非常に重要ですが、学齢期の障害児の親への就労支援は十分とはいえません。
 今後は、障害児の保護者も就労を続けられるように、放課後等デイサービスが就労支援できるよう、都独自の支援を講じたり、特別支援学校スクールバスのルートに学童クラブを含めて、学童クラブの障害児受け入れ支援をさらに強化するなど対策を講じるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、障害のある方がICT機器を使うことで、従来には難しかった社会参画ができるようになったという事例は、近年枚挙にいとまがありません。障害のある児童、そして保護者の皆様にとって、一人一台環境に対する期待は大きなものとなっています。
 今年度、特別支援学校の小学部、中学部にもタブレット等の端末の一人一台環境を整備するに当たり、都教育委員会は、特別支援学校の児童生徒の個に応じたICT機器の有効な活用方法を研究し、その普及に努めるべきと考えますが、見解を伺います。
 私たちは、オリンピック憲章にうたわれる人権尊重条例の提案と実現、都立病院における面会や医療的な判断に同性パートナー等がかかわれることや、同性パートナーを都営住宅の入居対象とすることを求める提案などを行ってきました。
 先日、都の職員が、同性カップルにも異性カップルと同様の福利厚生を求め、東京都人事委員会に措置要求し、却下の判定が出たと報道されました。LGBT等の方々、外国人、障害者、育児、介護中の方など、人も暮らし方も多様化していますが、誰もが輝き、活躍できる東京を実現していく上で、足元の都庁から、多様な個性と能力を有する都職員一人一人が力を発揮できる環境を整えるべきです。
 そこで、LGBT等の方々を初めとして、全ての職員が安心して働くことができるよう、都職員の福利厚生制度を一層整えていくべきですが、知事の見解を伺います。
 本年四月一日現在の都内の待機児童数は二千三百四十三人と確定値が公表されました。
 私たちが最大会派となる前の三年前の二〇一七年四月の数字、八千五百八十六人と比較すると、七〇%以上の歴史的な減少となっています。保育サービスの利用数が年々大きく上昇している中で、この大幅な減少は、都民ファーストの都政の推進を示す非常に大きな成果です。
 いまだ二千人以上の待機児童がいること、一歳児が全体の約六割を占めていること、区市町村ごとの状況の差が顕著になってきたこと、認可のみならず認証保育所や幼稚園など多様な受け皿の全体のあり方も視野に入れる必要があることなど、これまでよりめり張りをつけた丁寧な対応が必要です。
 今後、これまでの取り組みの成果、課題を踏まえながら、待機児童解消後を見据えた施策について検討すべきと考えますが、見解を伺います。
 都として合計特殊出生率二・〇七を長期戦略に掲げた中で、今後、大胆な子育て支援の実施を強く求めておきます。
 あわせて、とうきょうママパパ応援事業のさらなる上乗せや、未実施の自治体への展開も取り組みを求めておきます。
 また、子育て世代、若年層の経済面での不安を軽減することも極めて重要です。コロナ禍を理由にした解雇、失業の増加や、非正規雇用やサービス業に従事している例が多い女性に対するしわ寄せ、テレワークによる家庭の通信費負担の増加などが指摘されており、産業構造の変化に対応できる就労支援の強化など、経済状況を見据えた雇用就業対策の強化を求めます。
 児童虐待件数は増加の一途をたどり、昨年度の対応件数は児童相談所、区市町村ともに初めて二万件を超える見込みであり、痛ましい事件も絶えません。
 近年の重大虐待事件においては、いずれかの地域関係機関が関与していたにもかかわらず、死亡事例が発生していることや、ケース移管や転居事案など支援機関、自治体の変更に伴い、適切な支援がなされなかった事例が存在すること、虐待死亡事例の多くがゼロ歳児であること、妊婦健診や乳幼児健診未受診が一定数存在していることなどが見受けられ、予防的支援や地域支援ネットワークのさらなる強化が求められています。
 児童相談所と子供家庭支援センターが持っている情報の一元化など、多職種の連携強化が必要です。
 また、通告の振り分け機能を持つ通告受理機関の整備や、事例の調査、保護等の措置を行う機能と、措置後の支援マネジメントを行う機能が効果的に機能を発揮する体制の整備などが必要です。
 加えて、子供の安全を守るとともに、親の気持ちに寄り添って意見を聞くことも重要であり、子供の保護と親の支援を同一の担当者が担う困難さについても構造的な課題の解消が求められます。
 児童相談所と子供家庭支援センターという虐待通告に対応する二つの組織が効果的に機能を発揮し、子供の安全確保から家庭への寄り添い型支援まで円滑に実施できる仕組みを構築すべきと考えますが、見解を伺います。
 都は、本年三月に策定した東京都社会的養育推進計画で、里親委託率の目標を、現状一四・三%のところ、令和十一年度に三七・四%にすると定めました。都は、里親の育成や子供たちとのマッチングを行う民間フォスタリング機関の手をかり、なり手の確保を強力に推進するとしています。
 一方、現在の里親さんたちからは、突然、里親委託が解除されるのではないかという不安があるため、児童相談所の対応等に申し立てを行うことができないなどの声が上がっており、子供たちの権利を守る観点からも、その養育を担う里親の声を聞き、制度や対応の改善に生かしていくことが求められます。
 そのため、私たちは、児童相談所への常勤弁護士の配置、子供の意見表明を尊重し児童相談所での検証を可能とすること、里親の不服などの申し出に丁寧に対応できる制度の創設など、新たな仕組みの構築を求めてきました。
 子供の権利を守る観点から、子供や里親などの意見を聴取し、児童相談所と意見調整を行うような第三者機関を設置することや、児童福祉審議会を活用した新たな仕組みの導入など、制度の改善を行うべきと考えますが、改めて知事に見解を伺います。
 感染症と地震、風水害災害との複合災害に対する備えは喫緊の課題です。
 私たちはこれまでも、非常用電源の強化、調節池の整備強化、河川カメラの設置、鉄道の計画運休ルールの整理、スフィア基準の発想に基づいて段ボールベッドを初めとする避難所の環境整備、避難所の密対策など、さまざまな災害対策を提案し、都もそれを受けて取り組みを強化してきました。
 先日、台風十号が九州に上陸した際には、避難所での密を避けるため、避難所の定員を限定し、安全な在宅での避難や、ホテルや知人宅への避難が推奨されました。一部では、避難所から受け入れを断られた人もいたとのことであり、定員情報の正確な発信等も課題となります。
 先日の台風十号の他自治体における経験、教訓をもとに、都民に対し、行政の設置する避難所以外を活用した分散避難への発想の転換を一層促すとともに、区市町村が把握した避難所の空き状況等をタイムリーに発信できる体制整備を推進すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 改めて、感染症や水害、地震などの複合災害に備えた避難所資器材の充実を求めておきます。
 また、多摩地域の防災機能の強化とともに、新宿庁舎のバックアップ機能として、立川地域防災センターの抜本的な機能強化を進めるなど、都の多摩地域の行政拠点についての重要性も指摘しておきます。
 昨今の庁内のテレワークの推進や、地域に根差して多摩地域のさまざまな課題解決にも資するような拠点のあり方について、検討を進めるよう求めておきます。
 都と国の実務者による災害に強い首都「東京」の形成に向けた連絡会議が本年新たに設置され、東部低地帯の水害対策や老朽木造住宅が密集している地域の不燃化、耐震化など、大規模自然災害に対する防災まちづくりのブラッシュアップを求めます。
 特に、昨今の激甚化している水害対策として、広域避難における避難先や交通手段の確保の重要性とともに、建物上階への垂直避難について、私たちはその必要性を訴えてきました。
 東部低地帯における水害対策に当たっては、命を守る避難空間の確保や堤防と一体となった高台空間の確保が必要不可欠であり、その整備に当たり、国に協力を求めるとともに、一方で、建築物の容積率を緩和するなど、垂直避難に資する民間の取り組みを加速させる効果的な施策を打ち出すべきと考えますが、見解を伺います。
 巨大地震において、発災直後から避難や救急、消火活動、緊急物資の輸送などを円滑に行うために、緊急車両の通行確保が必要不可欠です。
 耐震化が義務づけられている特定緊急輸送道路のみならず、都県境や広域防災拠点から都内各地に開設される避難所など地域の防災拠点に至るまでを、緊急物資や緊急車両の通行が滞ることのないよう、道路閉塞を防ぐネットワークを築くことが本来重要です。
 災害時の通行機能確保の観点から、一般緊急輸送道路に関しても沿道建築物の耐震化を図るとともに、都のこれまで行ってきた耐震化や無電柱化などの取り組みを、地域の防災拠点へと道路ネットワークをつなぐといった観点で一体的に捉え直すことを求めます。
 発災時、緊急物資の輸送や救助活動が滞ることのないよう、都県境や広域防災拠点から、都内各地の避難所など地域の防災拠点につながる道路ネットワークの確保に向けて、対象を拡大するなど耐震化の新たな取り組みを進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 人口増加や高齢化の進展により、救急需要はここ十年連続で過去最高を更新し、増加の一途をたどっています。そのような中、東京消防庁は、計画的に救急車を増隊するなどして対応し、現場到着時間の短縮などを着実に進めてきました。
 私たちの代表質問に答弁のあったデイタイム救急隊は、日中の救急需要に対して有効であり、現場到着時間の短縮に資するものであることに加えて、育児や介護などによって勤務時間に制限のある隊員を組み込むことができる取り組みでもあります。
 デイタイム救急隊の拡充などにより、日中の救急需要に的確に対応するとともに、育児や介護中の職員などの新たな活躍の場としても有効な取り組みとして展開していくべきと考えますが、見解を伺います。
 都は今年度、東京の二十年先を見据えた都市づくりの基本方針を指し示すべく、都市計画区域マスタープランの改定を進めています。
 一方、コロナ禍を経て、世界の諸都市においても、ポストコロナ時代の新たな都市づくりの挑戦と競争が始まっています。
 国土交通省も八月末に、新型コロナ危機を契機としたまちづくりの方向性として、ウオーカブルな空間とオープンスペースを組み合わせたネットワークの形成、グリーンインフラの整備、自転車が利用しやすい環境整備、5Gなどデータや新技術を活用したまちづくりなど、新たな方向性を打ち出しました。
 都においても、人々の行動変容、新たな働き方やデジタルトランスフォーメーション、緑やオープンスペースの重要性など、コロナ禍を契機とした新たな都市づくりが検討されるべきではないでしょうか。
 東京が世界の諸都市に先駆け、感染拡大防止と社会経済活動をともに実現し、国際社会を牽引する都市としてさらなる成長を続けられるよう、コロナ禍を契機とした新たな都市づくりに積極的に取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
 私たちはこれまでも、道路、河川、公園といった公共空間の活用や、民地も含めた緑とオープンスペースの創出について提案を重ねてまいりました。
 都は、未来の東京戦略ビジョンにおいて、緑あふれる東京プロジェクトとして、あらゆる機会を通じて都内全体の緑をふやす取り組みを進めると掲げましたが、緑の確保において区市町村の取り組みは非常に重要です。区市町村には財政的な制約もある中で、都が基金も活用し、区市町村と連携して実効力のある施策を展開するべきです。
 そこで、緑あふれる東京基金の活用に当たっては、区市町村への財政支援など緑確保に積極的に活用すべきと考えますが、見解を伺います。
 感染症の影響で、都内オフィスの解約が起きているとの指摘もあります。
 都内オフィスの空室率が大きく上昇し、大量の空室や中古物件が生じることは、今後の東京の大きな負担となる懸念があります。
 都内オフィスの空室状況等の分析を進め、効果的な対策を迅速に講じられるよう検討を求めておきます。
 また、ポストコロナにおいて、働き方、暮らし方の変化に対応した未来の東京にふさわしい住宅政策の展望を描くことも重要です。
 都財政の悪化が懸念される中、特に好立地でポテンシャルが高い地域を中心に、都有地の資産価値を十分に考慮した都営住宅ストックのあり方についても検討していくべきです。
 今後の住宅政策審議会でも議論を期待するところであり、次期住宅マスタープランにも重要な視点として反映していくよう求めておきます。
 新型コロナの影響は日本全体に及んでいますが、そのようなときこそ東京が日本経済を牽引していくべきであり、その大きな武器の一つが築地市場跡地の再開発です。
 都心部の貴重な好立地であり、臨海部と都心部を結ぶ新たな地下鉄網の可能性や、舟運の拠点など、交通結節点としても発展性のある価値向上の見込める都有地です。
 また、築地場外市場も含め、日本の食文化を支える世界的な食のブランド力も有しており、ポストコロナ時代の社会の変化や都市づくりのあり方を見据えた新たな東京の発展の核としていくべきです。単純な売却などではなく、都民のために資産価値を高めていくことこそ都民益に資するものです。
 東京二〇二〇大会が延期となりましたが、都が土地を保有し、有効活用する方向性は変えずに着実に進めていくことが重要です。今回、事業者募集の方向性が示されましたが、かねてより私たちが求めてきた一体的な事業者募集とするとしたことを評価しています。
 東京の国際競争力の向上のためにも、ポストコロナ時代も見据えた築地再開発を進めていく必要があると考えますが、今後のスケジュールも含めて、知事の見解を伺います。
 将来にわたり安全でおいしい水道水を安定供給することは、都民生活を支える基盤であり、長期的視点に立った戦略的な水道施設の整備更新が重要です。
 東京の人口は、二〇二五年をピークに、二〇六〇年には約一六%も減少すると予想されており、水道料金収入の減少が見込まれます。
 一方、高度経済成長期の需要急増時に整備した施設の更新のあり方など、水道事業は大きな変化の時期を迎えます。
 水道管内の流量、水圧、流向などの使用状況をより詳細に把握し、精緻な予測も可能になると考えられる水道スマートメーターの導入に向けた大規模実証事業など、私たちは水道事業の将来を見据えた取り組みを求めてきました。
 今後、水道需要の減少に合わせて、施設規模をダウンサイジングしていくとともに、将来的な水道スマートメーターの導入により、把握可能となる詳細な水道の使用状況を水道施設規模の最適化につなげていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 さきの都知事選で、小池知事は東京大改革二・〇、そして都民ファーストの視点での行財政改革、構造改革を掲げ、そこでは聖域なき事業の見直し、組織再編、外郭団体の統廃合、地方分権や広域連携を強化するグレーター東京などが掲げられています。
 先日、構造改革をてことした都政の新たな展開や、都政の構造改革コアプロジェクトが示されましたが、これまでの延長線上ではない意欲的な取り組みが行われるよう期待するものです。
 今後、有識者会議での議論を十二分に踏まえた構造改革プランの策定とプランの推進体制を構築し、構造改革を着実に実行していくことが求められます。プランには期間を定めた数値目標なども可能な限り盛り込むとともに、実行段階においても、節目節目で外部有識者の意見をいただくなど、継続的に関与していただくことが重要です。
 また、構造改革を実現し、都民に対するクオリティー・オブ・サービスを飛躍的に向上させるためには、デジタルトランスフォーメーションの推進も不可欠であり、その際、ICTのグランドデザインであるICT戦略の見直しも必要です。
 都政の構造改革を実りあるものとするために、より踏み込んだ取り組みをスピードを上げて進めていくべきですが、大きな改革を今後どう進めていくのか、推進体制など都庁組織の強化とあわせて知事の見解を伺います。
 これまで私たちは、行政手続の簡素化やデジタル化を繰り返し提言し、推進してきました。本定例会に上程された東京デジタルファースト条例案では、都の手続を原則デジタル化することが定められています。
 特に、各種条例や規則に基づく手続だけでなく、要綱に基づく手続や、指定管理者が行う都の手続についてもデジタル化の対象としたことは評価されるべき内容であり、条例に基づく迅速な対応に期待します。
 一方、都民が日ごろ利用する行政手続の多くは区市町村が所管していますが、区市町村によっては、一つ一つの手続をどのようにデジタル化していくべきか、専門人材も不足している中で苦慮していると聞いています。
 今後、行政手続のデジタル化に向け、区市町村としっかり連携するとともに、より住民に近い手続を所管する自治体のデジタル化の支援も積極的に行っていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 都は、二〇一七年十一月に、国際金融都市東京構想を策定して以来、フィンシティー・トーキョーの設立や金融系外国企業の誘致等、多様な取り組みを展開してきました。
 その結果、本年の国際金融センターのランキングでは、ついに香港、シンガポールを抜き、東京は世界第三位、アジア首位の座を一時獲得するなど、競争力を高めてきました。
 一方、構想策定から三年が経過する中、英国のブレグジットや香港などアジアの政情変化、そして新型コロナウイルスの世界的流行など、国際金融をめぐる環境は大きく変化しており、東京はこの機を逃すことなく、国や民間と連携して、金融系外国企業や金融人材の誘致に向けた取り組みを加速して展開する必要があります。
 今後、金融系外国企業や金融人材の誘致をさらに強化していくとともに、国際金融をめぐる環境変化を適切に反映した施策を展開、推進していくため、構想を抜本的に見直すべきだと考えますが、知事の見解を伺います。
 都が昨年末にゼロエミッション東京戦略を策定し、二〇五〇年までにCO2排出実質ゼロに貢献するとの野心的ともいえる目標を定めて、施策の具体化を進めていることについて高く評価をしています。
 ポストコロナを見据えた経済対策において、デジタルとともに環境を重要な柱として変革を促す経済成長を目指すべきであると、さきの私たちの代表質問において指摘をいたしました。
 また、その後、小池知事の選挙公約でもサステーナブルリカバリーのコンセプトが掲げられ、再選されたところであります。
 このサステーナブルリカバリーの具体化においては、環境局の打ち出す施策のみならず、各局のあらゆる取り組みが、特に経済面の対策や社会変革を促す対策において、環境やサステーナブルの視点からブラッシュアップされることが重要です。
 例えば、類似する概念であるグリーンリカバリーの方針を先んじて掲げている欧州委員会の中期予算では、交通やエネルギーインフラのグリーン化などが打ち出され、官民の投資が持続可能な社会の形成につながるよう誘導するのが特徴です。
 環境施策はもとより、特に経済面の対策や社会変革を促すあらゆる対策において、環境やサステーナブルの視点からブラッシュアップをしていくべきと考えますが、サステーナブルリカバリーについて知事の見解を伺います。
 サステーナブルリカバリーの実現のためには、都内中小企業に対しても、経済成長と環境配慮が矛盾するものではないこと、むしろ顧客や投資家からの評価につながり、持続可能な経営につながっていくという視点をこれまで以上にご理解いただき、その実現に必要な業態転換を後押ししていくべきです。
 都内企業に対し、ESG、SDGs等の視点を経営に取り入れるよう働きかけるとともに、設備投資、更新等の補助の制度設計において、中小企業による自社のCO2排出状況の把握や、環境配慮の取り組みのインセンティブを付すなどの取り組みを実施すべきと考えますが、見解を伺います。
 さまざまな価格帯において世界的に評価が高い飲食店が集積しているのが東京の大きな魅力の一つです。食産業は、飲食店、納入業者、農林水産業、観光など関連の産業の裾野が極めて広く、国内外から多くの人を引きつける波及効果の大きな東京の国際競争力を高めている産業です。
 しかし、感染症の多大な影響により、関連産業とともに東京の食の魅力が危機に瀕しています。これまで飲食店の業態転換支援など、さまざまな支援策を実現してきましたが、今後、コロナ禍を契機に、都内の食産業を一層強靭化することが必要です。
 都心の小さな空きスペースやビルの空き室を生かした農産物の生産、ICT活用による生産流通過程の合理化、シェアキッチンやゴーストレストランといったコンセプトによる新たな形態、フードロスゼロの取り組みなど、各段階におけるイノベーションを促し、東京の食の集積をさらに競争力のあるものに進化させるべきです。
 新たに策定する都の長期戦略の中で、食を東京の都市としての競争力の一つと明確に位置づけるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 芸術文化は人々に感動や生きる喜びをもたらし、人生を豊かにするものであるとともに、都市に人を引きつける魅力を形成する重要な要素でもあります。
 私たちはコロナ禍において、芸術文化を担う皆様が受ける影響がとりわけ甚大であることから、いち早く支援策の創設を提案しました。また、これまで民間の芸術文化に対する直接的な支援を二年越しで推進してきました。
 そうした背景も踏まえ、都が速やかにアートにエールを!東京プロジェクトを立ち上げたことを高く評価しています。都民の声を伝えた事業であるからこそ、想定を上回る多くの申し込みがあり、活動を自粛せざるを得なかったプロのアーティスト、公演を中止や延期せざるを得なかった演劇やコンサートの主催者の皆様などから、多くの喜びの声がありました。
 また、デジタルの力を活用し、都民が在宅で芸術文化に触れるという新しい流れも生み出したことで、国や他の自治体でも同様のプロジェクトが開始されたと聞いています。
 ベテランから新進気鋭の方、また、さまざまなジャンルの方にご参加いただいたアートにエールを!東京プロジェクトで得られた知見や成果をもとに、芸術文化を東京のさらなる成長の柱にするための今後の施策に生かしていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 一九二〇年のアントワープ大会は、第一次世界大戦からわずか二年、また、スペイン風邪の流行後という状況の中、戦火のひどかったベルギーで開催されたことから、世界の連帯と復興の象徴となりました。東京大会はそれから百年後の大会となります。コロナ禍においてオリンピック・パラリンピックを開催する意義を、いま一度明らかにする必要があります。
 また、一年延期とされた東京二〇二〇大会は、安全・安心な環境を提供することを最優先課題とし、費用を最小化しながらも、アスリートや子供たちなどの期待を踏まえ、都民、国民から理解と共感を得られる形で開催につなげていくことが極めて重要です。
 水際対策、競技運営、選手村、ボランティア、感染者発生時の対応など、多くの乗り越えるべき課題があり、関係機関との着実な連携が必要です。
 他方で、不透明な招致経緯や大会経費の膨張など、過去に指摘されてきた課題も踏まえ、延期やコロナ対策における追加費用とその負担割合については、特に透明性に配慮しなければなりません。
 世界全体に影響が及んでいる新型コロナ禍での大会は、一都市の問題を超えており、延期の方針を合意したIOCや政府による合理的な負担も当然求めるべきです。私たちは、都民に選ばれた都議会最大会派の責任を果たすべく、その妥当性を追求し続けてまいります。
 透明性の高い手続のもとで関係機関との協議を進め、一年延期、新型コロナ対策など多くの課題を乗り越え、合理的な費用負担のもと、安全・安心なオリ・パラ大会を実現すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 私たちはこれまで、古い議会を新しく、自分ファーストの議員から都民ファーストの議員へなど、真に都民の利益を代弁する都議会となるべく活動を続けてまいりました。
 これからも常に都民の利益にかなうか否かを判断の軸に据え、新型コロナとの闘いを果断に進め、東京大改革二・〇が都政、そして日本全体の真の構造改革となるよう全力で取り組んでいくことを改めてお誓いし、質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。