代表質問 増子 博樹 平成31年第一回定例会

東京都議会第一回定例会に当たり、都民ファーストの会東京都議団を代表して、小池知事及び警視総監、教育長、都技監、関係局長に質問します。
 一月二十三日、名誉都民である山田禎一さんが逝去されました。また、二月二十四日、同じく名誉都民であるドナルド・キーンさんが逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。
 本定例会は、平成最後の都議会定例会となります。平成の三十年間は、まさしく激動の時代でした。日本経済の長期的停滞、平成の三十年間で四・五倍超に膨れ上がった国の借金に代表される財政負担の将来への先送り、世界経済フォーラムのグローバル・ジェンダー・ギャップ指数においてG7で最下位とされる男女間格差の放置、そして、人口減少、少子高齢化。
 このような日本、東京のあり方を根本から変える課題に対して、国は、この平成の三十年間、本質的な解決策を見出せぬまま、近視眼的な対応を繰り返してきました。
 その結果、失われた十年が二十年に、そして平成の三十年間そのものが、後世から、失われた時代と評価されてしまわないか、国は改めてみずからを省みる必要があります。
 平成の次の時代の都政に求められるのは、国が対応できていない課題に真正面から取り組み、東京を皮切りに日本全体を改革していく姿勢です。小池知事の誕生、そして私たち都民ファーストの会東京都議団が都議会最大会派となり、これまでの都政では光が当てられてこなかった課題に大きな変化が生まれています。
 しかし、私たちが都民に期待されている東京大改革は、まだまだこの程度のものではありません。平成最後の都議会だからこそ、新時代にふさわしい都議会の姿を都民に示し、しっかりとした歩みを一歩一歩、着実に継続していかなければなりません。
 私たち都民ファーストの会東京都議団は、多様性を成長の源泉と捉え、熾烈をきわめる世界の都市間競争の中においても、持続的成長を続ける東京の未来を創造することがその使命と考えています。東京の未来を切り開くため、平成三十一年度予算案について、以下質問をいたします。
 平成三十一年度予算案について伺います。
 アジア諸国の目覚ましい経済成長の一方で、東京の経済成長率は〇・六%にとどまっており、東京の国際競争力は相対的に低下しています。
 さらに、国内の状況に目を向ければ、東京は今後、他道府県をはるかに上回るペースで高齢化が進行する見込みです。加えて、国の平成三十一年度税制改正により、今後、都から巨額の財源が失われることとなってしまいました。
 近視眼的な対応を繰り返した平成時代の国の財政運営の失敗を、健全な財政運営に努めてきた東京都に押しつけるような措置は、東京のみならず日本全体を沈没させる、平成の次の時代に対する大きな負のレガシーといわざるを得ません。この点について改めて申し上げておきます。
 こうした内憂外患ともいうべき厳しい状況の中、本予算案は、この難局を乗り切り、まさしく未来を切り開くためのものである必要がありますが、本予算案における基本的な考え方について知事の見解を伺います。
 私たちは、未来の担い手である子供たち、そして東京で働き、子育てをする現役世代をしっかりと支援し、子育てを楽しめる環境を整備することが、東京の未来を切り開くことにつながると考えています。
 待機児童対策について伺います。
 知事は就任以来、待機児童対策を最重要課題と位置づけ、取り組んできました。本予算案にも千七百四十五億円が計上されていますが、これは、舛添都政時代と比較すると約一・八倍に相当し、女性の活躍推進、少子化対策など、東京の未来を切り開く取り組みです。
 待機児童数は、平成三十年四月時点で三千百七十二人、前年度比で三七%も減少したと発表されており、これだけの数の待機児童数が減少したことは大きな成果ですが、待機児童はいまだ五千人以上存在しており、今後も待機児童解消に向け、施策をさらに加速していく必要があります。
 私たちは、会派要望において、各種施策を総動員して、引き続き待機児童解消に向けて全力で取り組むべきことを求めました。
 今回の過去最大の保育関連予算は、私たちの保育関連の要望の多くが反映された結果と受けとめていますが、これまでの待機児童対策の取り組み結果を踏まえた、平成三十一年度における保育サービスの拡充に向けた取り組みについて知事に伺います。
 多子世帯に対する支援について伺います。
 国が現在進める幼児教育無償化では、一般的に保育料が高額であるゼロ歳から二歳児の大半がその対象外とされており、子育て世代の経済的負担の軽減は十分ではありません。
 今般、私たちの要望を受け、予算案には、第一子の年齢にかかわらず、第二子は保育料半額、第三子以降は無償化とする都独自の支援策が盛り込まれました。
 保育の経済的負担を軽減することは、これまでOECD平均を大きく下回る子育て支援の支出しか行ってこなかった日本全体のあり方を変えるものであり、まさしく未来を切り開くための施策です。
 少子化、人口減少は、東京都だけの課題ではありません。日本のみならず世界的にも少子化、人口減少が重要な課題となる中、東京都はこの課題に対して積極的に取り組み、希望すれば、多くの子供を安心して育てることができる都市東京を実現すべきです。
 その観点からは、今回の都独自の支援は非常に大きな意義を有しており、今後は、都の先進的取り組みが日本全国へ拡大されるよう、国にも働きかけていくべきと考えますが、今回の制度の意義と今後の展開について、知事の見解を伺います。
 また、国の幼児教育無償化案では、認可外保育施設等に関して、月額三・七万円が支援の上限とされています。しかし、都における認可外保育施設の利用料の水準に照らすと、認可外保育施設に入ることになった家庭にとっては、大きな負担となることが想定されます。
 今般、私たちの要望を受け、予算案には、認証保育所等については、認可保育所と同水準まで保育料を引き下げるという考え方に基づく都独自の支援が盛り込まれたことは、東京における子育て支援として意義深いものです。
 幼稚園類似施設に対する支援について伺います。
 都が認定している都内の幼稚園類似施設は、このたびの国の幼児教育無償化の対象外とされています。幼稚園類似施設は、特色ある教育を施し、また障害児の受け入れなども積極的に行うなど、長年にわたり地域において重要な役割を担ってまいりました。幼稚園類似施設に通所する児童、親を支援するため、今般私たちの要望を受けて、予算案に、都内私立平均保育料を目安にした都独自の支援策を四年間実施することが盛り込まれました。
 今後、このような地域でも重要な役割を担っている幼稚園類似施設と、そこに通う子供たちへの国の制度による影響を抑えるために、区市町村と都で支援策を検討すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 待機児童や子育ての経済的負担以外にも、東京の夫婦を取り巻く環境にはさまざまな問題があります。
 総務省の調査によれば、都内夫婦の家事、育児時間について、妻は夫の三・五倍の時間を家事、育児に費やしている状況です。男性の家事、育児参加を推進することは、女性の活躍、ワンオペ育児の解消、柔軟な働き方の推進など、東京が抱えるさまざまな課題を一挙に解決する大きな鍵となるものであり、さらなる取り組みの強化が必要です。
 さらに、私たちは、会派の三割を占める十五名の女性議員を中心に、不妊治療等の経済的負担の軽減措置等を求めてきました。今回の予算案では、東京都で働く夫婦の実態を踏まえ、不妊検査等の年齢制限と不妊治療費の助成の所得制限の緩和が盛り込まれました。今回の措置は、東京で働く夫婦の実情に寄り添ったものといえます。
 今後は、医療機関等との連携を深め、効果的、先端的な治療や治療実績等に関する情報収集、公開も重要な視点であることを指摘しておきます。
 児童虐待対策について伺います。
 またしても大変痛ましい事件が起きました。千葉県野田市で小学四年生の女の子が亡くなり、その両親が虐待の容疑で逮捕されました。報道では、市や児童相談所等の対応についてさまざまな指摘がなされています。千葉県で起きた事件ですが、都においても教訓とすべき点は改善につなげていただきたいと思います。
 さて、昨年発生した目黒少女虐待死事件などを受け、私たちは、児童虐待対策に関する条例づくりを提案し、本定例会に東京都子供への虐待の防止等に関する条例案が上程されました。私たちは、さまざまな場面で、未然防止と早期発見、早期対応の視点の重要性を指摘してきました。
 今回の条例案では、都道府県で初として保護者の体罰禁止規定が盛り込まれています。また、健診受診の勧奨に応じる保護者の努力義務や児童相談所間の的確な引き継ぎの実施の徹底等が盛り込まれており、私たちの指摘の趣旨が盛り込まれたものと受けとめています。この条例案の狙いと基本的な考え方、重要な視点について、知事の見解を伺います。
 児童相談所への虐待や障害、育成相談などの相談件数は、年々増加しています。都も増員に取り組んでいますが、対応する児童相談所の職員数は、十分なものにはなっていないのが現状です。児童福祉司、児童心理司などの増員や育成に取り組むとともに、困難事例対応や職員指導のために、スーパーバイザーをふやすことが必要です。
 児童虐待を早期発見、早期対応していく上でも、また、今後、区における児童相談所設置を支援していく上でも、児童相談所と子供家庭支援センターの体制を強化するとともに、連携を強化していくことが重要です。
 今後、どのように体制強化と連携強化を進めていくのか伺います。
 また、私たちの代表質問を受け、都は十一月に、都民に身近なLINEを活用した児童虐待についての相談体制を試験的に開始しました。本予算案に、本格実施として児童虐待防止のためのSNSを活用した相談事業が盛り込まれたことは、一人でも多くの児童を救うことにつながるものです。
 性教育について伺います。
 次の時代を担う子供たちが、時代の変化に対応した教育を受ける環境を整備するため、私たちは、小学校における英語教科化に向けた専科指導教員の配置促進、プログラミング教育必修化に向けたICT環境の整備などを求めてきました。本予算案にこれらの取り組みが盛り込まれたことは重要であり、今後も実施事業の成果、課題を踏まえた積極的な展開が必要です。
 時代の変化と教育内容の隔たりが大きいものの一つが性教育です。私たちは、昨今の情報化社会にさらされる児童生徒たちに適切な命の教育を行うため、産婦人科医等の専門家を活用した性教育の推進を求めてきました。
 これを受け、都教育委員会が平成三十年度中に、中学校等五校において外部講師による性教育のモデル授業を実施したことは、性教育の推進の第一歩として画期的です。
 今後は、このモデル授業の取り組みを生徒の年齢や地域性を考慮した授業の内容、保護者理解を得る手法などの諸課題に対する知見を深める貴重な機会とし、性教育の推進につなげていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 インクルーシブ教育について伺います。
 文部科学省は、インクルーシブ教育について、同じ場でともに学ぶことを追求するとしつつも、通常の学級、通級による指導、特別支援学校といった連続性のある多様な学びの場を用意しておくことが必要としています。
 今般、私たちの要望により、インクルーシブ教育システムに関する調査研究予算が計上されたことを評価しますが、インクルーシブ教育の中身として、同じ場でともに学び、生きることという本来の趣旨を踏まえつつ、どのような教育手法が適切か、しっかりとした議論、検討を行うべきです。
 今後の東京都におけるインクルーシブ教育システムのあり方について、知事の見解を伺います。
 学校における働き方改革について伺います。
 都教育委員会は、先般、学校における働き方改革の成果と今後の展開を公表しました。教員の在校時間は、昨年度と比較して改善が見られますが、依然として長時間に及んでいます。教員の長時間労働の改善が求められる中、国においては、教員の勤務時間の上限に関するガイドラインが新たに策定されました。
 ガイドラインでは、時間外労働の上限を一カ月で四十五時間以内、一年で三百六十時間以内としていますが、教員の現状とは大きく乖離しています。
 今後、都では、国のガイドラインを踏まえた方針等を策定する必要がありますが、教員の現状とは大きく乖離している状況においてどのように対応していくのか、教育庁の見解を伺います。
 また、都内公立学校においては、ベテラン教員の大量退職が続く一方で、経験の少ない若手教員が増加しています。教員の在校時間が長くなる傾向にある中で、都においては、これまでも専門の能力を持った外部人材を学校運営に登用してきています。
 しかし、学校における働き方改革を一層加速させ、教員が児童一人一人に向き合うことができる教育環境を整備するためには、教員本来の業務にも踏み込んだ取り組みが必要と考えますが、都の見解について伺います。
 教育新財団について伺います。
 本予算案には、多様な外部人材の安定的確保、教員サポート機能、学校の事務センター機能などの面で、学校をきめ細かくサポートする新財団の設立が盛り込まれています。教員の働き方改革が大きな社会課題となる中で、学校をサポートする業務を充実させることは、学校教育の質の向上につながり、積極的意義が認められるものです。
 他方で、新財団の設立という手法をとるのであれば、それが効果的かつ効率的なものでなければなりません。また、校長OB、都職員等の活用に関しては、都民から新財団の設立が天下り先の確保ではないかとの疑念を万が一にも抱かれないようにしなければなりません。
 このような懸念にも十分に配慮した上で、新財団の学校支援機能を生かした教員の働き方改革を推進すべきと考えますが、見解を伺います。
 子育て応援車両について伺います。
 私たちは、子供は東京都、そして社会全体の宝と考えており、社会全体で育てるための取り組みを一層推進していく必要があると考えています。ベビーカーや小さい子供を連れている親からは、都内で電車を自由に利用することが困難との声が多く聞かれています。
 具体的には、満員電車の中では、体が小さい子供はけがをするおそれもあり、危険です。また、電車に乗って保育園に連れていくことが容易であれば、企業内保育所の増加、女性活躍の推進や孤立した子育ての回避にもつながります。
 私たちは、子供、子育て世代が専用に利用可能な子育て応援車両を都営地下鉄で導入すべきと提案し、今回、関連施策が盛り込まれました。今回の取り組みは非常に社会的意義の大きいものであり、多くの賛同の声が都庁に届いているとの話も聞いています。具体的な施策の展開に当たっては、ベビーカー専用スペースの設置にとどまらない、より踏み込んだ取り組みが必要です。
 反発や物議を恐れず、子育て応援車両の取り組みを今の東京における子育てのしづらさを変えていくための取り組みにつなげていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、人生百年時代を都民一人一人の人が自分らしく過ごすことができるための施策について伺います。
 受動喫煙対策について伺います。
 昨年六月に制定された東京都受動喫煙防止条例が、ことし一月に第一段階目の施行を迎えました。その後段階的な施行を経て、来年四月一日に全面施行を迎えますが、条例の実効性確保の観点からは、今後さらなる条例の周知徹底が必要です。
 昨年、議員提案で成立した東京都子どもを受動喫煙から守る条例の施行後、例えば渋谷区では、区内の公園に大々的に黄色の目立つのぼりを立てて、公園内禁煙が一目でわかる周知活動を実施しています。都においても、都立公園、その他の都立施設において、ポスターだけでなく、のぼりや横断幕などを設置して、条例及び受動喫煙防止の周知を図っていくべきです。
 さて、国の健康増進法が、既存飲食店について大幅な例外を設け、規制対象が二割程度と推計されるのに対して、都条例では、規制対象店舗は八三・七%に及ぶと推計されており、国以上に中小飲食店に向けた普及啓発や理解促進に力を入れる必要があります。
 また、都条例では、今夏予定の第二段階施行で飲食店の出入り口に禁煙、喫煙、分煙がわかる標識を掲示する義務が定められています。
 こうした都条例による独自の規制について、効果的な周知を図る必要があり、飲食店組合への働きかけのみならず、区市町村と連携して飲食店舗を訪問するなどの周知活動やキャンペーンも行うべきです。
 また、条例施行によって、都民生活がいつからどのように変化するのかをわかりやすく、効果的に伝える動画も作成すべきであり、さらにテレビCM等を活用して効果的な啓発を実施していくべきです。
 条例の実効性を高めるため、さまざまな普及啓発の方法を重層的かつ複合的に駆使して周知を図っていくべきと考えますが、今後の取り組み方針について都の見解を伺います。
 フレイル予防について伺います。
 私たちは、昨年度の予算特別委員会等を初め、繰り返しフレイル対策の重要性を説いてきました。健康と要介護の中間で、可逆性のあるフレイルに対して、健康を維持する予防の観点から対策を講じることは、非常に重要です。
 本予算案において、介護予防、フレイル予防の拡充強化が図られ、これまで私たちが要望してきたフレイル対策の具体化及び所管の明確化がなされたことを高く評価します。
 私たちは、フレイル対策の第一人者である東京大学高齢社会総合研究機構の飯島勝矢教授をお招きして、フレイルに関する勉強会を開催しました。
 各区市町村において、五十万円ほどの予算でフレイルサポーター養成及び市民へのフレイルチェック講座の導入が可能とのことであり、現在都内では、知事が先日視察された西東京市を初め、杉並区、江戸川区、国立市がフレイル対策事業を導入し、来年度から文京区、豊島区、板橋区、東村山市が導入するとのことです。
 都内の全区市町村にフレイル対策事業の導入がなされるよう、東京都として積極的に働きかけるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 フレイル対策においては、よく食べ、よく運動し、社会とのつながりを維持するという三位一体の取り組みをスピード感を持って進める必要がありますが、特に社会的フレイルに注目する必要があります。
 例えば、定年退職し、家から出なくなった等をきっかけに、人や社会とのつながりが希薄になるという社会的フレイルに対して、孤食をやめ、カラオケや将棋などの活動を通じて社会との接点を持ち続けることが重要です。
 平成三十一年度の新規事業に、フレイルの啓発や高齢者の中食への低栄養予防としての支援策、働く世代へのフレイルの周知などが盛り込まれました。
 今後は、社会とのつながりを維持することやオーラルフレイル対策、健康に関心が薄い層へのアプローチも重要と考えますが、都はフレイル対策にどのように取り組むのか伺います。
 人手不足が叫ばれる中、意欲あふれるシニアに仕事の場で力を発揮していただくことは非常に重要です。一昔前の高齢者像とは異なり、現在のシニアは定年を迎えても非常にお元気であり、定年後も仕事を通じて社会との接点を持ち続けることは、健康寿命を延ばす観点からも意義があります。
 シニアの力を発揮していただく場面で大きな役割を果たしているのが、シルバー人材センターです。
 とりわけ都内基礎自治体のシルバー人材センターが、高齢者、障害者、母子家庭等を対象に、短時間で完了する簡易な作業を安価で行うシルバーお助け隊事業については、公共的意義を有する仕事をシニアの力で解決するという点で非常に重要であり、私たちは会派要望でその支援を求めました。
 今回の予算案には、シルバーお助け隊事業を含め、シルバー人材センターに対する支援が増額されたことを評価します。
 また、ホワイトカラーのシニアに向けた就労支援プロジェクトとして、企業とのマッチングや派遣、セカンドキャリアなど、新たな取り組みも企業勤務後に退職されたシニアから望まれていた支援であり、今後、より大規模な展開が期待されています。
 今後もさまざまなタイプのシニアの就業をきめ細かく支援すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 介護におけるICT活用について伺います。
 東京では、今後深刻な介護職の不足状態に陥ることが予想されており、私たちは繰り返し介護人材への支援を求めてきました。今回の予算案には、特別養護老人ホーム等におけるICT環境の整備等に関する支援が盛り込まれ、また、ICT活用が現場の実態に即していないとの指摘もある中で、介護事業所での次世代介護機器の効果的な使用に対する支援も盛り込まれており、介護人材不足に対する対応として評価します。
 今後は、これらの事業を着実に展開するとともに、例えば北九州市で国家戦略特区制度を活用し、介護ロボット等を活用した先進的介護の実証実験を行っていることなども参考に、東京都でもICTの活用のモデルとなるような積極的な取り組みを行うべきだと考えますが、都の見解を伺います。
 建築物バリアフリー条例の改正案について伺います。
 本定例会には、建築物バリアフリー条例の改正案が示されています。そこで示されている車椅子使用者用客室のみならず、全ての一般客室を対象にバリアフリーの考え方を取り入れ、義務化を目指す都の積極的な取り組みを評価します。
 一方で、一部の方からは、浴室の出入り口幅が狭いため、より使いやすい基準を定めるべきとのご意見をいただいており、私たちも一般客室について、浴室等の出入り口幅を国の望ましい基準である七十五センチメートル以上を努力義務として定めることを求めました。今回、私たちの要望を受け、この努力義務が盛り込まれたことについては、多くの方々から歓迎の声をいただいています。
 今後は、このバリアフリー基準の実現に向けて、容積率の緩和や新築時の補助金の引き上げ等の支援策を積極的に講じ、また、改正条例の実施状況等や社会情勢等を踏まえた見直しも行うべきと考えますが、都の見解を伺います。
 地域医療体制の確保について伺います。
 多摩地域の医療資源を見ると、人口当たりの医師数は全国を下回っており、区部に比べて、高度、専門的な医療を提供できる総合病院が少ない状況にあります。
 多摩地域では、公立病院が急性期医療を支える大きな役割を担っていますが、経験豊富で中核となる医師の確保に苦戦している状況にあると聞いており、地域の医療水準が低下してしまうおそれがあります。
 地域医療の充実への貢献という都立病院の新たな役割を踏まえ、都立病院の持つ医療資源を活用して、地域医療を担う医師の育成を支援すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 医療的ケア児の支援について伺います。
 長期に入院した後、引き続き人工呼吸器等を使用し、日常的に医療的ケアが必要となる子供は増加傾向にあります。
 一方、経験、知識がないなどの理由により、小児の在宅医療を行っている病院、診療所はごくわずかで、地域の受け皿が不足しています。
 医療的ケア児が必要な支援を地域で円滑に受けられるように進めるためには、支援や調整を行う人材の育成が極めて重要です。
 都は、小児総合医療センターが有する高い専門性やノウハウを生かし、医療的ケア児を支える地域の人材の育成に貢献すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 骨髄移植ドナー登録について伺います。
 昨年末の会派要望に引き続き、先日私たちは、白血病患者の方々を救うことができるよう、骨髄移植ドナーについての正しい理解の促進や、助成金制度を導入する基礎自治体を支援する都の費用負担制度の周知を行うとともに、国に対して、企業等のドナー休暇の制度化などの働きかけを求める要望書を小池知事に提出しました。
 二〇一九年一月末現在、国内の骨髄移植希望者は千三百七十二人おり、一人でも多くのドナーが必要とされています。
 骨髄移植ドナー登録を促進すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、安全・安心の確保について伺います。
 防犯カメラの設置促進について伺います。
 東京都では、町会、自治会、商店街等の皆様のご尽力により、地域の防犯カメラの整備が着実に進んでおり、今や必要不可欠な公的インフラの一つになっています。
 今般、私たちの提案を受け、予算案に防犯カメラの保守点検費、修繕費に対する新たな都の補助制度が盛り込まれました。特に、その補助率は、現在の設置補助の補助率と同じく、町会、自治会等に対しては十二分の七、商店街等に対しては二分の一という高い水準であり、意義深いものです。
 今後は、多摩地域を初め、区市町村の地域団体担当部署とも連携し、防犯カメラの意義や補助制度を周知するなど、設置促進に向け、都が積極的に働きかけを行うべきと考えますが、都の見解を伺います。
 去る一月三十一日、八王子市内で発生した住宅火災におきまして、消防士が消火活動中に殉職をされました。故人のご冥福をお祈りし、謹んで哀悼の意を表します。
 防火対策について伺います。
 本年一月二十九日の時点で、都内の住宅火災の死亡者は二十人に上り、去年の同時期に比べて倍増しています。
 これまでも都は、木造住宅密集地域の不燃化に取り組んできました。加えて今回、早期災害対応を目的に、狭隘地域での到着時間の短縮を目的とした対策に力を入れるとともに、都内の火災の過去データをベースにした火災発生予測にも取り組むとしています。
 そこで、東京消防庁では、住宅火災から都民の命を守るための住宅防火対策に一層力を入れるべきと考えますが、消防総監の見解を伺います。
 早期災害対応について伺います。
 首都直下地震の発生が危惧される中、都民を震災など全ての災害から守る観点からは、特に二十三区においては、道路の狭隘地域が数多いという地域事情を考慮する必要があります。
 さらに、今後進行する高齢化社会に伴う、高齢者や瞬時に行動ができない障害者などに対する災害対応は喫緊の課題です。
 高齢化社会が進む中、都民からの一一九番通報内容に応じ、今まで以上に迅速に現場へ到着できる消防活動体制が求められていると考えますが、東京消防庁の取り組みについて伺います。
 救急活動体制の強化について伺います。
 高齢化社会の進展に伴い、東京消防庁管内の救急出場件数は、平成二十二年度から増加しています。そこで、東京消防庁は、増加する救急車の出場に対応するため、救急車の適正利用の徹底を都民に促すことで、一分一秒でも早く利用者のところへ到着することが、一人でも多くの命を救うことと認識し、日夜活動をしているものと思います。
 東京の人口増加や海外からの来訪者の増加等により、救急需要は今後も引き続き増加することが予想されますが、東京消防庁では、救急隊の現場到着時間短縮に向けどのように取り組むのか、見解を伺います。
 あおり運転対策について伺います。
 現在、警視庁においては、歩行者の交通事故防止を重点に掲げ、各種対策の推進や関係機関、ボランティア等と連携した地域ぐるみの活動を展開し、平成三十年中における都内の交通事故死者数が戦後最少の百四十三人となるなど、大きな成果をおさめていると認識しています。
 他方、いわゆるあおり運転に関し、全国各地でトラブルの発生が相次いで報告され、あおり運転に対し、厳正な対処を望む国民の声が高まるなど、大きな社会問題となっています。
 私たちも、あおり運転などの悪質、危険な運転については、警視庁による検挙、取り締まりの徹底等を強く望むとともに、交通秩序が維持され、都民が危険や不安を感じることがないように徹底を図っていただきたいと考えています。
 そこで、あおり運転等の悪質、危険な運転の根絶に向け、警視庁においていかなる対策を講じていくのか、警視総監に伺います。
 犯罪被害者支援について伺います。
 犯罪被害に遭われた方は、精神的、肉体的、経済的な困難に突如直面することになり、都として適切な支援策を講じることが、安全・安心な東京の実現に資するものです。
 都議会において、犯罪被害者支援に関する陳情の趣旨採択が行われましたが、私たちもこれに向けては、多くの検討を主体的に進めてきました。
 東京都のこれまでの施策については、一定程度評価しますが、犯罪被害者支援の現状に鑑みれば、東京都がその取り組みを、一歩さらに踏み出す時期に来たことに間違いありません。
 犯罪被害者支援条例の策定に向けた知事の見解を伺います。
 さらに、犯罪被害者支援条例の制定に向けては、区市町村や関係団体との協議など、さまざまな調整も必要となりますが、今後の犯罪被害者支援に向けた条例制定の具体的なロードマップについて、都の見解を伺います。
 次に、都市環境の整備について伺います。
 都立公園改革について伺います。
 国内外の都市を見ると、公園や緑を都市づくりの中核に据えて、治安や魅力が大きく向上した例が見られ、小池知事が都立公園の大改革を打ち出したのを評価します。
 都としても、公園や緑とその活用に向けた総合的な長期計画を策定し、取り組みを進め、都市の魅力を高めることが重要です。
 一方で、現在の東京は、都立公園、国や区市町村の公園、民間の創出する緑や都市農地など、多様な公園や緑がありながら、活用方法やその連携において、十分に総合力を発揮できているとはいえない状況です。
 その中でも、東京の都市力の向上を図る上で、都立公園を都市戦略の中核に明確に位置づけ、地域や都民が活用できる仕組みを整え、都民のサードプレースとなる機能を持たせていくべきと考えますが、都立公園大改革をどのような視点で進めていくのか、知事の見解を伺います。
 道路の維持管理について伺います。
 事業提案制度も二年目となり、提案の深みが大きく増しています。特にICT、AIを活用した市民協働によるインフラ維持管理のプラットホームの構築は、さらなる都民の参画とともに行政の効率化を促すものです。
 ニューヨークでも同様の取り組みが行われており、市民生活が大きく向上したと聞いています。
 ICTを活用した行政の効率化、生産性の向上に向け、ニューヨークの取り組みを超える事業を育てていくためには、同事業を主管する建設局だけで事業展開を行うのではなく、ICT、AIの先端技術活用が期待される新設の戦略政策情報推進本部との連携を強化した事業展開をすべきと考えますが、都の見解を伺います。
 伊豆諸島の交通アクセスについて質問します。
 島しょ地域では、島民生活や産業、観光を支える重要な基盤として、港湾や空港などの整備が進められてきました。一方で、観光客数がほぼ横ばいで推移しており、一層の観光振興が必要です。
 私たちが八丈島や大島を視察した際に、地元からプレジャーボートの漁港利用を望む声があり、都に継続して要望を行ってきました。
 そこで、多様なアクセス手段の検討について、都の見解を伺います。
 次に、空の交通アクセスについて伺います。
 伊豆諸島と本土を短時間で移動できる航空路線は、島の住民の暮らしを支える生命線であり、航空路線を確実に維持していくことが重要です。
 都は、島の住民向けに航空運賃の割引制度を実施していますが、空港のない利島、御蔵島の住民については、現在の制度では最寄りの空港を利用するときにしか割引対象になっていません。
 そこで、空港が設置されていない島の住民がより航空機を利用しやすいよう、利便性を高める対策を図っていくべきだと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、東京の稼ぐ力の向上策、そして東京二〇二〇大会について伺います。
 イノベーション促進策についてまず伺います。
 都はこれまでも、さまざまなイノベーション促進策に取り組んでおり、本予算案においても、フィンテック企業、創薬系オープンイノベーション支援、自動運転、ロボット等の外国企業誘致に関する予算が盛り込まれています。
 これまでの支援策により大きく成長したベンチャー企業や、日本に進出した外国企業の数も着実にふえてきましたが、世界の先進都市と比較すれば、必ずしも十分ではありません。
 先般、都は、我が会派議員の提案を受け、イノベーションエコシステム形成促進のため、産官学の協議会を設置する考えを示しました。
 今後は、東京が世界中の起業家、大手企業、投資家、研究機関等から選ばれる魅力的な集積地となることが求められます。
 このように東京に成熟した新産業エコシステムが構築されていくことが、東京への新たな投資や進出を生み、さらなるイノベーションを創出することにつながると考えますが、都の見解を伺います。
 さらに、東京二〇二〇大会において、国内企業、海外企業を一体的にプロモーションするなどにより、東京がイノベーションを強く後押しする都市であることを世界に発信することが重要と考えますが、都の見解を伺います。
 東京都と他の地域との共存共栄策について伺います。
 私たちは、東京と日本の成長を考える検討会報告書の提言も踏まえつつ、東京と他の地域がともに栄える共存共栄策を一層推進すべきと求めてきましたが、本予算案に、日本各地と連携し、産業、観光振興、国産木材の活用、被災地支援等が盛り込まれたことは、共存共栄の重要な第一歩です。
 今後は、これらの取り組みの推進とあわせて、日本各地の具体的なニーズを探りながら、東京と地方がともに成長していくための取り組みを進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 スムーズビズについて伺います。
 今般、テレワーク、時差ビズ、交通需要マネジメントなどの取り組みを一体化し、新しいワークスタイルや企業活動の東京モデルをスムーズビズとすることが予算案に盛り込まれました。
 私たちは時差ビズの一層の進展を求めており、今回、東京二〇二〇大会のレガシーとして、一体的な取り組みが盛り込まれたことは重要です。
 今回、スムーズビズとして一体的に取り組むことにより、東京二〇二〇大会期間中の交通混雑緩和、大会を契機とする多様な働き方の定着に向けて、各取り組みを一層効果的に進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 テレワークについて伺います。
 東京都は、従業員三十人以上の都内企業の二〇二〇年度のテレワーク導入率三五%を目標に、さまざまな施策を実施してきました。
 その結果、テレワーク導入率は、二〇一七年の六・八%から、二〇一八年は一九・二%に大幅増加しました。
 二〇一二年のロンドン大会をきっかけにロンドンでもテレワークが大きく普及しており、通勤混雑の緩和や、例えば育児と介護のダブルケア等による離職を防ぐためにも、テレワークによる柔軟な働き方の実現を東京二〇二〇大会の一つのレガシーとしなければなりません。
 本予算案に、企業によるテレワークのトライアル導入に必要な経費助成や、業界団体と連携したテレワーク導入促進事業など取り組みの大幅な拡充が盛り込まれたことは、意欲的な取り組みです。
 今後は、いかに都の施策を企業に浸透させ、具体的な導入につなげていくかが重要と考えますが、都の見解を伺います。
 交通需要マネジメントについて伺います。
 混雑度マップの整備、公表は、ロンドン・オリンピックでも効果が上がった前向きな取り組みです。
 今後、東京二〇二〇大会に向けた企業の取り組みをさらに加速させていくためには、現在の大会輸送影響度マップの使い勝手の向上が必要です。
 ロンドン大会では、公共交通機関の乗りかえ検索や現在の運行情報、そして、そのバリアフリー状況に関する情報が入手できる環境が整備されていたと認識しており、今後、影響度マップを実際の都民の行動につなげるため、民間の各種取り組みとの連携も視野に入れることが重要です。
 円滑な大会輸送と経済活動の維持との両立を図るため、混雑、混乱を避けてスムーズに移動するための情報提供など、マップ機能の充実や、さらなる活用を図ることが重要と考えますが、都の見解を伺います。
 また、東京二〇二〇大会の期間中、臨海部では大会関係車両が多数走行する予定です。円滑な港湾物流を維持するとともに、深刻な交通混雑の発生を防ぐためには、港湾関係車両の交通量を時間的に平準化させることが重要な鍵となり、荷主やトラック事業者の協力が不可欠です。
 そのためには、都の交通混雑対策を加速するとともに、荷主等が必要となる情報を積極的に提供していくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 多摩振興について伺います。
 私たちは、区部に多くの働き手を供給するなど、東京全体の発展に寄与している多摩地域の振興は大きな政策課題と考えており、市町村総合交付金の拡充を継続的に要望してきました。本予算案においても増額され、過去最高の五百六十億円とされたことを評価します。金額に加えて、市町村が戦略的な活用ができるような柔軟な制度改善も引き続き検討していただきたいと思います。
 多摩振興の観点からは、東京二〇二〇大会の多摩地域における機運醸成が大きな課題です。私たちの要望を受け、今回の予算案にコミュニティライブサイトやシティードレッシング等の区市町村が実施する事業への補助制度が新たに創設、拡充され、さらに、ライブサイトの多摩地域での拡充も新たに検討されており、評価します。
 今後は、東京二〇二〇大会の開催に向けて、多摩地域の市町村に対し、都の支援の積極的周知を行い、広く都民が東京二〇二〇大会を体感できる機会を創出すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 東京二〇二〇大会直前期等の公共工事の受注機会確保について伺います。
 一九六四年の東京大会では、首都高速道路など各種インフラの整備が進みましたが、大会開催のころから景気後退の兆しが見えており、翌六五年には株価急落や戦後初の赤字国債の発行にも至りました。東京二〇二〇大会の開催が同様の事態を招くことがないよう、都としても開催前から可能な対策を検討、準備する必要があります。
 景気後退の一つのあり得る要因として、東京二〇二〇大会関連施設の整備が大会開催前に終了する点です。消費の冷え込みや景気の悪化が、日本経済をリードする東京における都民の生活や中小企業の経営等に深刻な打撃を与え、大会の盛り上げに水を差すような事態があってはなりません。
 例えば、実施競技会場が区部と比較して少ない多摩地域において、必要なインフラ更新の工事を実施するなど、東京二〇二〇大会直前期や大会期間中、大会後における公共工事の受注機会を確保すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 なお、このような対策を行うに当たっては、警備関係など、大会開催時に多くの需要が見込まれる産業への配慮も必要であり、その点に対する対応も要望しておきます。
 さて、先日、東京二〇二〇大会の組織委員会予算V3が公表されました。その中で支出は、関係者からの要望の具体化による支出すべき内容の明確化や新たな需要への対応を理由に、百五十億円の増額とされています。
 大会経費については、これまでも、その膨張傾向の妥当性や情報公開の質が問われてきました。開催が近づくにつれ、不合理な経費の膨張が生じないよう、組織委員会に対してしっかりと働きかけを行っていくべきです。
 次に、東京二〇二〇大会の招致の経緯について伺います。
 昨年十二月、フランス司法当局が日本オリンピック委員会の竹田会長に対して、東京五輪パラリンピック招致委員会とシンガポールのコンサルティング会社、ブラック・タイディングス社との間の契約に関して事情聴取を行いました。
 本件については、二〇一六年にJOCが調査を行い、違法性がないと結論づける調査報告書を公表しており、東京都も当時のJOCの調査状況を把握していたと伺っています。
 しかし、ホストシティーである東京都としても、調査チームを設けるなど、事態の展開に応じて必要な対応を適時に行う体制を整備する必要があると考えますが、知事の見解を伺います。
 なお、本件の大きな問題点の一つとして、招致委員会が既に解散しており、当時の関係資料がなく、事後的な検証ができない点があります。このような招致委員会のあり方についても、強く今後の改善を求めていかなければならないということも指摘しておきます。
 次に、行財政改革について伺います。
 水道事業の監理団体の統合について伺います。
 全国の水道事業は、人口減少に伴う料金収入の低迷、職員の減少や高齢化などにより、技術の維持、継承が困難な状況に直面しています。国の水道法改正も踏まえ、今後は全国の水道事業体で広域連携や官民連携の拡大が見込まれます。
 先日の都政改革本部会議では、東京水道サービスとPUCを統合させる方針が示されました。水源や浄水施設の保全から料金徴収やお客様センターなどの業務を一体化することで、コスト削減やサービス向上を目指すとともに、監理団体が持つ技術系と営業系の強みを生かして、官民連携の受け皿としての事業展開を検討し、国内水道事業体の事業運営に貢献することが期待され、この二団体の統合は評価します。
 特に東京都は、多摩地区水道事業の都営一元化のノウハウを活用した事業統合、広域連携の支援に強みがあると考えられ、全国の自治体のニーズについても調査研究を重ねながら、都の強みを生かし、他の自治体の課題解決に資する事業展開を行うべきと考えますが、都の見解を伺います。
 水道局のコンプライアンス体制について伺います。
 東京都水道局発注の業務について、水道局が公正取引委員会の立入検査を受けた件に関し、都の調査特別チームの中間報告によれば、都職員が入札に関する情報を漏えいしていたことを認めています。
 さらに、都の特別監察により、水道局と一体的に水道事業を行ってきた東京水道サービス株式会社において、巡回点検業務の不履行、虚偽報告、工事受注者への竣工写真改ざん指示などが行われていたことが新たに判明しました。これらの行為は、東京都への信頼を大きく損なう行為であり、断じて許されるものではありません。たび重なる不祥事について、水道局は非常に重く受けとめるべきです。
 そこで、私たちは会派内に検証チームを設置し、まずは、今回明らかになった水道局を含む東京水道グループ全体の事務事業や組織等について検証を行い、二度と不祥事が生じないよう提言を行うことといたしました。
 今回の事案でも明らかなとおり、東京都の水道事業は、監理団体へ委託されている部分も多く、コンプライアンス体制の抜本的改善のためには、監理団体も含めた検討が必要不可欠です。
 入札情報漏えいに関して、今後設置される有識者による第三者コンプライアンス委員会における検討に当たっては、東京水道サービス株式会社の新たな不祥事も踏まえ、監理団体その他、東京の水道事業に関連する団体等も広くその対象にし、東京の水道事業の全体像を踏まえた上で、コンプライアンス体制の検証、改革が必要と考えますが、知事の見解を伺います。
 なお、国においては厚生労働省の毎月勤労統計調査の不正問題が注目を集めています。国だけでなく、実際に調査を行う地方自治体においても、基幹統計に関する調査員による不正が明らかになっています。
 厚労省の毎月勤労統計調査の不正に関しては、都は独自調査を行い、二月六日に中間まとめを発表していますが、今後、国や他自治体の動向を注視し、都においても随時必要な対応をとることを求めます。
 東京二〇二〇大会後の都庁組織のあり方について伺います。
 現在、組織委員会には東京都の職員が多く派遣されていますが、東京二〇二〇大会後には都庁に帰ってきます。また、二〇一〇年にスポーツ振興局として設立されたオリンピック・パラリンピック準備局の大会後のあり方、市場法改正を踏まえた中央卸売市場のあり方についても本格的な検討が必要です。
 国の都税収奪により東京都の税収が減少し、加えて人口減少、少子高齢化により、都民が必要とする政策ニーズにも変化が見込まれます。これまでの組織では、局と局の縦割りにより拾われてこなかった政策課題への対応、国のデジタルファースト法案も踏まえたICTの戦略的活用などにより、税収減、超高齢社会に耐え得る東京二〇二〇大会後の都庁の生産性向上を徹底的に推進しなければなりません。
 平成の次の時代のあるべき都庁組織の検討に当たっては、長期的視点に立った本質的な議論が必要です。東京二〇二〇大会後の都庁組織のあり方に関し、今からしっかりと議論の積み重ねを行うべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 旧こどもの城について伺います。
 私たちの第三回定例会における代表質問において、国有財産である旧こどもの城を取得し、ダイバーシティーの実現に向けた複合拠点としていく方針が示されました。今後、周辺都有地とあわせた長期的活用のあり方も検討される予定です。
 そして、先般、旧こどもの城活用の基本的考え方が示されました。この中では、こどもの城がかつて担ってきた子供のための機能や劇場機能にも言及していることから、都民の期待と関心は大いに高まっているところです。こどもの城のレガシーを尊重しつつ、そこにダイバーシティーの観点を盛り込んで、あらゆる人が利用できる施設にしていく方向性は、広く都民のニーズにかなうものと考えます。
 一方で、閉館から四年近くが経過し、その間全く使われていなかった施設を活用するとなると、想定以上に費用がかかることも考えられるため、改修に当たってはコストの面にも留意することが重要です。
 また、都民の城としての活用以外にも、旧こどもの城の取得は東京都にとって大きな意義を有しています。新国立競技場等に近く、東京二〇二〇大会の運営に当たり、さまざまな用途に利用可能です。
 さらに、将来的には、周辺都有地と合わせて合計四敷地を一体で、まとまった広さを有する土地としての活用も見込めるところです。
 そこで、旧こどもの城を取得し、都民の城へとリノベーションしていくことに対する知事の基本認識とあわせ、今回の土地取得の合理性を確保する視点から、長期的な視点に立って四敷地一体活用を図っていくことに対する知事の見解について伺います。
 市場について伺います。
 昨年十月十一日、ついに市場移転問題に終止符が打たれ、豊洲新市場が開設されました。築地市場が八十三年の歴史に幕をおろし、元号が新たになることしから、築地市場跡地の将来像が具体的に描き始められることになりました。新たな時代の幕あけの象徴ともいえます。
 今般、都から、築地市場跡地の有償所管がえに伴い、一般会計から市場会計に五千四百二十三億円が投入される方針が示され、また、築地まちづくり方針の素案も示されました。
 二十三ヘクタールという広大な築地市場跡地の再開発は、周辺地域のみならず、東京全体の未来を左右するものです。それだけに、その再開発は近視眼的なものではなく、豊洲新市場も含め、東京全体を俯瞰して、未来の要請にこたえるものでなければなりません。
 また、一般会計から市場会計に投入される五千四百二十三億円の原資は都民の税金であり、有償所管がえの意義、合理性が正確に都民に理解される必要があります。
 これまで小池知事は、築地は守る、豊洲は生かすを基本的な方針に掲げ、築地、豊洲の問題に対処してきました。これまで一貫して、築地の土地としての希少性、食の伝統文化に代表される築地ブランド等を守りつつ、豊洲新市場が持つ最先端の市場機能を生かしながら、築地と豊洲の双方の価値の最大化を目指して検討を重ねてこられたものと理解しています。
 改めて、築地市場跡地と豊洲新市場が有するそれぞれの特徴を踏まえ、双方の価値の最大化を図る観点からの今回の有償所管がえと、その後の築地再開発の基本的方針の意義について、知事に伺います。
 有償所管がえについて伺います。
 築地市場跡地の再開発に当たっては、現在の市場会計のもとで行うか、それとも市場会計から一般会計へと移しかえて開発を行うかが選択肢としてあります。
 独立採算を原則とする市場会計のもとでは、経済合理性が優先され、東京全体を俯瞰した開発が困難となるおそれがあり、一般会計のもとで、民間の知恵を生かしながら再開発を行う方が、都民の利益にかなうものと考えられます。
 また、市場会計の現状を鑑みると、有償所管がえが行われない場合、豊洲新市場関連の膨大な債務等により、平成三十二年に資金ショートを起こすことが想定されています。仮に市場会計が資金ショートした場合、豊洲新市場を初め都内各地で、生鮮食料品、青果など、都民の食の安全を担っている市場の機能が停止し、都民生活に重大な影響を及ぼすことが想定されます。
 もっとも、築地市場跡地は、市場会計が地方公営企業法に基づいて公営企業会計に移行した一九六四年、今から五十五年前に、一般会計から現物出資された土地という経緯があります。
 都が、今、市場会計から一般会計に所管がえを行う際に、それを有償で行わなければならない理由を都民に明確に説明する必要があります。
 なぜ築地市場跡地の所管がえを有償で行わなければならないのか、都の見解を伺います。
 築地市場跡地の鑑定評価額について伺います。
 平成二十九年五月に行われた都の内部職員による価格調査では、築地市場跡地の鑑定評価額は四千七百九十六億円でした。その後、平成三十年十月に行われた外部鑑定による鑑定評価額は五千六百二十三億円であり、前回から約八百億円近く大きい金額です。外部鑑定先を選定するに当たっては、鑑定者の専門性や過去の実績などを考慮して、都として、客観的な鑑定内容となるように慎重な検討が必要です。
 外部鑑定者の専門性や過去の実績等を踏まえた選定の妥当性と、平成二十九年の価格調査から金額が約八百億円大きくなった点の妥当性について、都の見解を伺います。
 有償所管がえの実施時期について伺います。
 築地市場跡地の再開発については、そのポテンシャルの高さから、早期の着工が求められていることはいうまでもありません。一般会計の財政状況は当然ですが、平成三十二年には市場会計の資金ショートも想定されており、市場機能の維持の観点からも、有償所管がえの実施時期は検討される必要があります。
 平成三十年度最終補正予算として、有償所管がえの予算措置がとられた理由を伺います。
 築地市場跡地の再開発について伺います。
 外部の不動産鑑定結果によれば、築地市場跡地を貸し付けることにより、年間約百五十四億円の賃料収入が見込まれるとされています。この算定を前提とすると、単純計算では、市場会計に投入される五千四百二十三億円は三十五年程度で回収できることになります。
 民間企業ではなく東京都が行う再開発である以上、経済合理性だけにとらわれるのではなく、公益性を考慮した、東京全体の価値の最大化の要請に応えるものでなければなりません。多額の都税が関係する以上、築地市場跡地の再開発に当たっては、現在の算定結果である百五十四億円が絶対の基準ではありませんが、一定の賃料収入の確保等の収益性も十分考慮される必要があります。
 築地まちづくり方針を踏まえた再開発については、公益性のみならず、収益性にも十分配慮した形で進めることができる体制を構築すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 市場の今後のあり方について伺います。
 一月二十三日の関係局長会議の発表によれば、有償所管がえの実施により、仮に五千四百二十三億円が市場会計に投入されたとしても、五十年後には市場会計の資金は底をつく予測が示されていました。いかに公益性のある市場の事業とはいえ、民間感覚からすれば、到底容認できるものではありません。
 そもそも、豊洲新市場の建設、経営計画は、その合理性に多くの疑問があるものです。豊洲市場移転前の十一市場の市場会計の決算額の収益と費用を見ると、平成二十七年度では減価償却を含めて、収益が百五十九億円、費用が百五十七億円であり、収益が二億円上回るという健全性を有していました。
 しかし、豊洲新市場の開場後は、豊洲新市場関連の多額の企業債と赤字を生じさせ続けるランニングコストにより、先ほど述べたとおり、五千億円以上が投入されても五十年後には消費してしまう計画になっています。
 そもそも、豊洲新市場の建設計画が始まった平成二十三年時点での総事業費は約三千九百億円と見込まれていましたが、最終的には約五千七百億円と、当初の費用を大きく上回ることになったという事実を歴代の都知事、都庁、そして当然都議会も重く受けとめる必要があります。
 私たちは、このような、有償所管がえなしでは近いうちに資金ショートを起こしてしまうという中央卸売市場の経営、財務のあり方が大きな問題であると考えています。
 都の現状案でも、当面の経営改善策の着実な実行と卸売市場法の改正を踏まえた経営計画の策定がうたわれていますが、当面の経営改善策の効果は年間十から二十四億円と、投入される五千四百二十三億円に比較すると余りに少額です。
 有償所管がえにより、一般会計から市場会計に約五千四百億円の巨費が繰り入れられる以上、市場は、将来的には民営化をも視野に入れ、また定期的な外部監査等を実施するなどの手法もあわせ、抜本的な経営改革にスピード感を持って取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 以上をもちまして、都民ファーストの会東京都議団の代表質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。