代表質問 増子 博樹
平成30年第三回定例会
平成三十年第三回東京都議会定例会に当たり、都民ファーストの会東京都議団を代表して、小池知事並びに教育長、関係局長に質問します。 質問に先立ち、平成三十年七月豪雨、平成三十年台風第二十一号、北海道胆振東部地震において亡くなられた方々に対し深く哀悼の意を表するとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。 平成の三十年間、日本はさまざまな災害に見舞われてきました。阪神・淡路大震災、新潟県中越地震、東日本大震災を初め、近年では熊本地震、そして、ことしに入っても日本列島を多くの災害が襲っています。 東京都においても、これまでの想定とは大きくかけ離れた事態が頻発しています。例えば、八月に世田谷区では一時間の雨量が百十ミリを超えるという記録的短時間大雨情報が発表されました。そして、連日四十度近い猛暑日も続き、青梅市では都内観測史上初の四十度超えが記録され、東京消防庁の救急出動も熱中症の影響で、七月二十三日には三千三百八十三件と過去最多を更新しました。この猛暑はもはや災害と位置づけられ、対策が進められるべきものであり、複数の災害が連続して、複合的に発生している近年の状況を念頭に置いて、改めて災害対策に取り組んでいかなければなりません。 そして、いよいよ東京二〇二〇大会まで残り二年を切りました。平成の次の時代で迎える東京二〇二〇大会は、東京、日本の新しい時代の幕あけの象徴として語り継がれることと思います。 それだけに、東京でオリンピック・パラリンピックを開催する意義を、都民ファーストの視点からしっかりと再定義し、東京二〇二〇大会がもたらす都民への利益、レガシー、大会後の東京のあるべき未来像を改めて磨き上げ、東京二〇二〇大会を都の課題解決の大きなきっかけとするための取り組みを加速していかなければなりません。 前回の定例会では、都民ファーストの会東京都議団が積極的に推進してきた東京都受動喫煙防止条例が成立しました。これは、世界基準のスモークフリー都市東京の実現に向けた大きな前進であり、東京二〇二〇大会の大きなレガシーの一つです。 今回の定例会では、私たちも力を入れてきた東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例案、新しい就労推進策、児童虐待対策などが取り上げられています。 私たちは、東京二〇二〇大会を、これまで光が当てられてこなかった都の課題を解決するきっかけとし、新しい東京の未来をつくるための取り組みを加速させてまいります。そして、都民一人一人の人が、その人らしく活躍できる都市東京の実現に向けて全力で取り組んでいくことを改めて申し上げ、以下、質問をいたします。 初めに、防災事業の緊急総点検について伺います。 これまでの想定を超える事態が頻発している中、過去の被害想定を見直すに当たり、想定外を極力なくす備えが求められています。 都は、西日本豪雨において総勢七百八名の派遣を実施し、北海道地震においても百四十二名の派遣を実施しています。警視庁、東京消防庁も、これらの災害に対して迅速な支援を行っています。警視庁からは広域緊急援助隊を派遣し救出救助や行方不明者の捜索活動を、東京消防庁からは緊急消防援助隊を派遣し救助活動を行いました。今回の都職員の派遣、現地支援などから得られる教訓は、今後の東京の防災力向上に資するものと考えます。 今般、たび重なる豪雨や地震災害等の教訓を踏まえた、防災事業の緊急総点検の結果が示されましたが、その意義と早期の補正予算の編成を含めた今後の取り組みについて、知事の見解を伺います。 次に、非常時における電源の確保について伺います。 台風二十一号の影響で、関西国際空港では電源設備が水没し、外国人旅行者を初め大きな影響が生じました。さらに、今般の北海道地震では、北海道全域が一時停電となる事態、ブラックアウトが生じ、改めて災害時の電力確保の重要性が認識されています。 災害が発生したとき、都内の区市町村は、被害状況の把握、避難誘導、避難所の開設等、被災者の生命、身体及び財産を守る上で重要な役割を担っています。そのため、災害対策本部が設置される区市町村庁舎の非常用電源を確保することは極めて重要です。 例えば、札幌市役所本庁舎では、今や住民の重要なライフラインの一つといえるスマートフォンの充電サービスを提供したとのことですが、それも庁舎に十分な電源が確保されていることが当然の前提です。 都民ファーストの会東京都議団は、知事に提出した要望において、災害対策の指揮に当たる官庁などにおける非常用電源の整備を求めてきました。先日公表された緊急総点検の結果において、都立一時滞在施設における携帯端末バッテリー切れ対策の検討など、新たな停電対策が示されたことは、非常に意義のあることと考えます。 私たちは、昨年十二月の第四回定例会の代表質問において、区市町村庁舎における非常用電源の整備状況の調査を東京都に求め、本年三月の予算特別委員会で、都の調査結果を答弁として得ました。東京都の調査の結果、都内六十二団体中二十五団体の区市町村の整備状況が、国の手引において、人命救助の観点から、外部からの供給なしで非常用電源を稼働可能とする措置が望ましいとされる七十二時間を下回っていることが判明しました。財政状況などさまざまな事情から、都内の約四割の自治体で七十二時間分の整備が行われていないのが現実です。 大規模災害は東京都においていつ起こるかわかりません。都として、一刻も早い基礎自治体における非常用電源、その燃料の確保、保管施設の整備の推進を後押しすべきと考えますが、知事の見解を伺います。 災害医療体制における電源確保についても伺います。 北海道地震においても、病院によって非常用自家発電の出力量や確保燃料の容量の違いから、患者の受け入れ能力にばらつきが出ており、被災者に不安が広がりました。とりわけ人工透析を受ける患者への影響も指摘されたように、医療機関の非常用電源は、患者の命に直結する、いわば命の電源であり、重点的に非常用電源の整備が求められます。 都民ファーストの会東京都議団は、知事に提出した要望において、人命に直結する災害拠点病院などにおける非常用電源の整備を求めてきました。本年八月には、国が都道府県に対して、病院における非常用電源の確保及び点検状況の調査を依頼したと伺っていますが、都は、調査結果を待つことなく、先日公表された緊急総点検の結果において、災害拠点病院の非常用電源の浸水対策を強化していく方針を示したことを評価します。 都内に八十二カ所存在する災害拠点病院については、その指定基準である自家発電機の保有及び三日分程度の燃料の確保に関して、都として状況を定期的に確認していると承知しています。また、都として全ての災害拠点連携病院が非常用電源を有している点を確認しているものと承知しています。その他の病院についても、非常用電源を確保しているかが国の調査により明らかになりますが、災害時に備えて非常用電源を確保していくことが重要と考えます。 都は病院に対してどのような働きかけを行っていくのか伺います。 仮に災害時に病院における電源の確保が十分にできない場合、他の病院への速やかな搬送など、病院間の連携を円滑に確保することが都民の命を守ることにつながります。東京都独自の取り組みとして、都の災害医療コーディネーターに加え、二次保健医療圏及び区市町村単位で災害医療コーディネーターが配置されており、災害時における医療救護活動の統括、調整の助言等を行うこととされています。 今般の北海道地震の教訓を踏まえれば、一層、災害医療コーディネーターの役割が重要になると考えますが、都はどのように取り組んでいくのか伺います。 次に、避難所運営について伺います。 ことし三月、区市町村だけではなく、避難所運営に関する全ての方に参考になるよう、避難所管理運営の指針が改定され、女性やLGBTなどの方、災害時要配慮者への対応が記載されたほか、動物保護の視点からも管理運営者に求められる具体的な指針が明記されたことを評価します。 避難所には、ろうあ者、中途失聴者、視覚障害者など情報の入手やコミュニケーションに関して配慮が必要な方々も避難してくることから、手話及び筆談や字幕、点字、音声ガイドなど多様な対応が求められるとともに、こうした方々が周囲の方に配慮の必要性を理解してもらい、適切な支援を受けられるよう、ヘルプマークや耳マーク等のマークを平時から普及啓発し、活用することなども重要と考えます。 都は、避難所における聴覚や視覚に障害を持つ方々への対応についてどのように取り組んでいくのか伺います。 次に、避難所までの水供給ルートの耐震化について伺います。 災害時に多くの都民が集まることになる避難所での水の確保は、都民の生命、身体を守るための最重要課題であり、都民ファーストの会は、避難所の配水管、給水管の耐震化を都議選の公約に掲げています。 現在は、平成三十七年度完了に向けて、避難所への供給ルートの配水管の耐震継ぎ手化が進められていますが、避難所における水の確保の重要性に照らすと、迅速に進めなければなりません。そして、避難所の水道メーターまでの給水管についても耐震継ぎ手化を迅速に進めなければなりません。 避難所への水の供給ルートの耐震継ぎ手化の取り組みについて、都の見解を伺います。 次に、下水道管の耐震対策について伺います。 避難所等のトイレ機能の確保のため、下水道管の耐震化も重要課題であり、これも私たちの公約です。 都では、避難所等の下水道管の耐震化対策が進められる一方で、大都市特有の課題である帰宅困難者への対応として、帰宅困難者が一時的に待機できる施設等の指定を進めるなど、地域防災計画が見直されてきました。 また、都では、本年八月に、従業員の一斉帰宅抑制に積極的に取り組んでいる企業等を対象とした東京都一斉帰宅抑制推進企業認定制度を創設するなど、発災時の一斉帰宅抑制を推進しています。 このように、帰宅困難者に対する新たな取り組みが行われる中、一時滞在施設等に関連する下水道管の耐震対策も拡充させる必要があると考えますが、都の見解を伺います。 次に、情報などのソフト対策の強化、普及啓発について伺います。 電源の確保、避難所の整備に加えて、災害時に極めて重要なものは正確な情報とその発信です。 都民ファーストの会東京都議団は、知事に提出した要望において、災害に関する情報伝達や外国人などに対する情報発信について配慮することを求めました。 私たちの要望を受け、今回の緊急総点検においても、情報、ソフト面に関する新たな取り組みが多く示されました。都民が具体的に避難行動に移れるようにするためのタイムラインの普及拡大、東京アメッシュやハザードマップ等の防災情報のワンストップ化、外国人への情報発信の強化など、いずれも評価できる内容です。 一方で、西日本豪雨で百八人の方が亡くなられた広島県では、約二百十七万人を対象に避難指示が出されていましたが、実際に避難したのはその一%に満たない約六千人だったとされています。正確な情報を発信しても、それを都民に活用してもらわなくては意味がないということは、こうした事例からも明らかです。 情報の受け手である都民に対して実際に行動に移してもらうために、都民が、災害が自分ごとであるという意識を持ってもらえるような新たな普及啓発の工夫が求められていますが、都の見解を伺います。 次に、情報提供、普及啓発の観点から、ハンドブック「東京くらし防災」について伺います。 「東京くらし防災」は、読みやすさに加えて、女性やさまざまなニーズの視点が盛り込まれており、多くの都民に喜ばれています。 一方で、集合住宅のケースの記載が十分でないという声も届いていることは、第二回定例会の総務委員会で指摘しており、先日の防災に関する都民シンポジウムでも多かった質問の一つが、マンションに住んでいる場合はどうすればいいかでした。 このように、集合住宅特有の課題や防災、減災策があることから、マンション管理組合なども対象とし、これらの情報を正しく伝えるべきと考えますが、都の見解を伺います。 次に、中小河川の洪水対策について伺います。 西日本豪雨では、自治体が作成したハザードマップが公表されており、避難指示が出されたにもかかわらず、被害が拡大したと指摘されています。 先日公表された緊急総点検において示されたとおり、新たな調節池の加速的な整備などのハード対策を一層推進するとともに、都民の迅速な避難行動につながるよう、河川の氾濫にかかわる水位の情報の提供など、ソフト対策の強化を図るべきと考えますが、見解を伺います。 続いて、下水道水位の情報発信について伺います。 西日本豪雨では、西日本を中心に各地で床上浸水等の家屋被害が発生しました。都においては、平成二十五年に千三百棟以上の甚大な水害被害が発生したことから、豪雨対策下水道緊急プランや、改定した東京都豪雨対策基本方針に基づいて対策を実施してきました。本年もゲリラ豪雨と呼ばれる局地的な集中豪雨が頻発しており、八月二十七日の豪雨でも多数の浸水被害がありました。 このような、これまでの想定を超えた豪雨に対応するためには、下水道施設整備といったハード対策を着実に進めるとともに、既に一部行っている下水道の水位情報をリアルタイムで関係自治体に提供する事業の拡大など、情報発信の強化等のソフト対策も組み合わせて実施することが重要と考えますが、都の見解を伺います。 次に、ダムの水害対策について伺います。 災害時のダムの放流に関しては、事前に予測される被害想定情報がダムの管理者から国や地方自治体に流れ、それぞれが対応することが想定されていますが、西日本豪雨では、ダム放流に関する情報が適切に届かなかったことが指摘されています。 都としては、こうした教訓をもとに、都の所有する小河内ダムの情報共有の体制を改めて確認する必要があります。小河内ダムは、水道専用ダムであり、治水機能を有していないとのことですが、大雨が降った場合には、下流への放流量を徐々にふやして対応するものと理解しており、ここでも情報共有のあり方が問題となります。 小河内ダム放流時における国や下流の自治体への情報共有、連携を円滑に行うための取り組みについて、都の見解を伺います。 次に、石油タンクの安全性の確保について伺います。 現在、都内で消費されている電力の源は火力であり、その燃料はタンカーで東京湾から搬入されています。同じく首都圏の生活物資も東京湾を通じて流通しており、東京湾は、首都圏住民の生活に欠かせない重要な流通ルートになっています。 このため、東京湾に大量の油が流出し、東京湾が封鎖される事態が発生した場合には、都民に重大な影響を与えることになります。石油タンクが海上に転がり出し、火の海になった気仙沼での教訓をもとに、石油コンビナート等の対策は万全のものでなければなりません。 本定例会には、羽田空港に設置されている石油コンビナートが十万キロリットルを超えることから、新設の条例が提出されていますが、どのように安全性を確保していくのか、都の見解を伺います。 次に、災害廃棄物について伺います。 熊本地震に関する復旧、復興の取り組みに関する検証報告書によると、災害廃棄物の処理に当たり課題になったのが、県、市町村に災害廃棄物の処理に関して専門的な知識、経験を有する人材が不足した点です。そのため、仮置き場においてアスベストを含む建材が破損した袋に入れられるなど、飛散防止対策が徹底されずに放置された事例も報告されています。 都は、平成二十九年六月に東京都災害廃棄物処理計画を策定し、都や区市町村の役割分担など、取り組むべき内容を明確にしましたが、熊本の教訓に学び、区市町村や民間事業者との認識の共有が重要です。 発災直後の初動を中心に、区市町村や民間事業者とどのように連携して計画の具体化を図るのか、見解を伺います。 次に、暑さ対策について伺います。 この夏は気象庁の報道発表によると、夏の東日本の月平均気温は一九四六年の統計開始以来、過去最高でした。 また、東京消防庁管内の七月と八月の緊急搬送件数の合計は、速報値で十五万三千九百七十件、うち熱中症の救急搬送件数は七千百十九件となり、緊急業務を開始した昭和十一年以来、過去最高の件数となりました。 八月九日に東京消防庁が発表した七月十六日から八月五日までの猛暑における緊急搬送に関する分析によると、年代別では、七十五歳以上の高齢者の搬送件数が千四百八十八件、三三・六%と最も多く、入院が必要な中等症以上の割合は五八・七%と高い状況です。 また、発生場所別で見ると、居住施設は高齢者が、会社、工場や交通施設では二十代から五十代の働き盛り世代が、学校、児童施設や運動施設では若年層の発生割合が高いと聞いております。 今後は、多数の熱中症患者が発生した場合にも的確に対応できる搬送体制の確保が重要と考えますが、今夏の猛暑による救急搬送の状況と、東京消防庁では、今後、救急搬送体制をどのように充実強化していくのか伺います。 続いて、学校施設における暑さ対策について伺います。 学校施設の防災機能に関する実態調査によると、避難所に指定されている学校のうち、約九一%が地域の小学校とされており、東日本大震災後の学校に対する調査によれば、避難所として利用された施設は体育館が七〇・一%と最も多いとのことです。その設備に関する課題として、トイレに次いで冷暖房設備に不足があるということが明らかになっています。 都民ファーストの会東京都議団は、知事及び教育長に提出した熱中症対策に関する緊急対策要望において、区市町村立の学校が設置するエアコンディショナーについて、特別教室への設置の補助を継続し、さらに体育館等必要な施設に補助を行うこと及び都立高体育館への冷房設置を求めました。 先日公表された防災事業の緊急総点検において、夏季の避難所における熱中症予防等の観点から、冷房設備等への整備について区市町村を支援する方針が示されたことを評価します。 今後は、体育館を含む学校施設における冷房設置を迅速に進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。 次に、監察医制度について伺います。 最終的に熱中症を原因とする死亡者数は、消防庁の統計で示されている救急搬送による初診時における死亡者数の約十倍に及ぶといわれています。これまで、七月と八月の熱中症による死亡者数が最も多かった二〇一〇年の統計によれば、初診時の数字である消防庁の統計では百五十七人、最終的な数字である厚生労働省の統計では千四百二十二人となっています。 東京都では、二十三区内は監察医務院による死体の検案及び解剖が行われて、熱中症による死亡の状況が速やかに判明し、熱中症予防対策に反映することができます。他方、多摩・島しょ地域は監察医務院の管轄外であるため、情報の集約に差が生じています。昨年の知事答弁でもありましたとおり、国に対しては、都の提案要求において、平成二十三年度から、監察医制度の拡充、十分な財源の確保について繰り返し要望していることは十分承知しています。 引き続き国へ要望を行うとともに、今後、監察医制度の適用範囲を多摩地域にも拡大する必要があることについて、都の見解を伺います。 次に、東京二〇二〇大会における暑さ対策について伺います。 東京二〇二〇大会は、IOCの取り決めが七月十五日から八月三十一日までを開催すべき期間としていることを受け、オリンピックは七月二十四日から八月九日まで、パラリンピックは八月二十五日から九月六日までを開催期間としています。 ところが、ことしの七月下旬から九月上旬までの東京は酷暑が続き、気象庁は、命にかかわる危険な暑さ、不要不急の外出や屋外活動は控えるようにと警告を発していました。二〇二〇年の夏がどうなるか予測できませんが、アスリートにとっても観客にとっても厳しい気候となることは想定外ではありません。 この開催期間は、IOCの取り決めに基づいてのものと理解していますが、確認のため、改めて東京二〇二〇大会の開催時期決定の経緯について伺います。 気象リスクを抑えるためには万全の対策を用意しなければなりませんが、気象リスクはゼロにはなりません。アスリートや観客はもとより、特に子供や高齢者、東京の暑さになれていない外国人を含めた対策が必要と考えますが、都の考えを伺います。 次に、東京二〇二〇大会とその後の東京のあるべき姿について伺います。 いよいよ残り二年を切った東京二〇二〇大会の成功に向け、準備をしっかりと進めていくことは当然ですが、単に大会運営の成功だけを考えるのではなく、東京でオリンピック・パラリンピックを開催することにより、大会後の東京に何を残すことができるのかを考える必要があります。大会後の東京のあるべき未来像を改めて磨き上げ、東京二〇二〇大会を都の課題解決の大きなきっかけとするための取り組みを加速していかなければなりません。 まず、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例案についてお伺いをいたします。 ソチ・オリンピックでは、ロシアのLGBTへの対応により、アメリカやEUの首脳がオリンピックの開会式を欠席するという事件も起きており、性的マイノリティーへの差別は国際的にも大きな課題となっています。また、さまざまなスポーツの国際的な大会などでは、人種や国籍による差別的発言や行為が問題になっており、国際的に厳しい対応が求められています。 こうしたことから、東京二〇二〇大会開催都市として、これまでの行政が定めた東京都人権施策推進指針も踏まえ、本条例を制定することで、性自認及び性的指向や、いわゆるヘイトスピーチといった新たな人権課題に光を与えることに加えて、あらゆる差別を許さない姿勢を改めて明確にすることになります。 これまで以上に具体的で実効性のある取り組みが進むことが期待される一方、あらゆる差別とは具体的に何を指すのか、みずからが直面する人権課題についても対象になるのかと、不安に感じる方々がいるのも事実です。 そこで、過去の指針に掲げられてきた人権課題、そして今回の条例で新たに光が当てられる人権課題を含め、あらゆる差別の解消を図ることで、オリンピック憲章の人権尊重理念の浸透を目指すという本条例の制定とその後の取り組みに向けた知事の見解を伺います。 次に、ソーシャルファームについて伺います。 東京二〇二〇大会、とりわけ世界で初めて二回目を開催することになるパラリンピックを通じて、都民一人一人の人がその人らしく活躍できる都市東京を実現する必要があります。 第二回定例会において、就労の際に不利な立場にある人が働くことを目的とした社会的企業、いわゆるソーシャルファームについてお伺いをしました。今後さらなる少子高齢化と生産年齢人口の減少が予想される日本にあっては、これまで支えられる側と考えられてきた方々も社会の担い手となり、支え合う社会へと転換することが求められています。 ソーシャルファームの考え方は、これまで障害者を中心に捉えられてきた就労困難者を、障害者に限らず、ひきこもりや刑余者など、就労に悩みを抱えるさまざまな方を対象とし、その後押しを行い、社会の担い手になっていただくというものです。先進的取り組みをしている欧州の国では、いわゆるソーシャルファーム法の整備を行い、就労困難者を積極的に採用しながら利益を追求する企業の後押しを行ってきた事例があります。 一方で、国においてソーシャルファーム法がない日本においては、広く就労困難者をどのように規定するかなど、都としても検討すべき課題が多岐にわたると捉えています。 そこで、さまざまな既存の法令、政策がある中、より広い視点で総合的に就労を進めることが重要であると考えますが、知事の見解を伺います。 次に、ひきこもり支援について伺います。 平成十六年の厚生労働科学研究において、長期間にわたって自宅にひきこもり、社会参加しない状態が持続しているひきこもりが、約三十二万世帯存在するとの調査結果が明らかにされました。 当初は、子供や若年の問題として対策が講じられてきましたが、その後そのまま年齢が持ち上がり、現在では四十代、五十代の人がふえてきており、長期化、高齢化が問題になっています。 こうした層に対する支援を、福祉保健局を中心とし、今後どのように進めていくのか、知事の見解を伺います。 次に、外国人労働者の新在留資格創設について伺います。 東京二〇二〇大会を契機に、世界中からすぐれた人材を東京都に引き寄せる取り組みを加速させていく必要があります。 日本で働く外国人は、専門的、技術的分野の約二十四万人や留学生のアルバイト約三十万人、技能実習生約二十六万人など、過去最高の百二十七万九千人となり、都内では三十九万四千人となっています。 人手不足で苦しむ企業にとっては待ったなしの状況になっていますが、国民的議論と合意形成が必要であり、新たな外国人労働者が増加することを見込んだ対策や法整備に取り組むことが求められています。 一方で、東京での生活を始めた外国人が、生活習慣を知らずに近隣住民とのトラブルになることや、さまざまな認識不足のため生活面で支障を来す例があります。東京で暮らす外国人労働者や留学生に対して、都として支援をしていくことは、誰もが活躍できる都市ダイバーシティーの観点からも大変重要です。 生活者である在住外国人に対する支援策に都が積極的に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。 また、十分な日本語能力を備えないまま雇用される外国人労働者も多くいるため、企業にとっても、外国人労働者とのコミュニケーションをとりやすくするための日本語能力の向上支援や働く上でのさまざまなサポート支援が必要となっています。 国内の各種産業に必要不可欠となってきている外国人労働者の雇用、定着、労働環境の整備などに都としても取り組むべきと考えますが、見解を伺います。 次に、首都高速道路の日本橋区間の地下化について伺います。 本年七月、首都高日本橋地下化検討会において、概算事業費及び事業スキームが議論、公表されました。東京二〇二〇大会後の着工で、事業費の総額は約三千二百億円ですが、都の負担額は中央区と合わせて約四百億円に抑えられており、評価したいと思います。 一九六四年の東京オリンピックを契機に建設された首都高速道路は、現在では橋梁部の腐食やひび割れが発生するなど老朽化が進み、平成二十六年に大規模更新計画が策定されるなど、予測される大地震に備えた安全面での対策が急務となっています。 また、一六〇三年に建造され、五街道の拠点となった日本橋の景観と水辺の美しさを取り戻すことは、江戸からの連続性という、未来の東京都の魅力の一つにもなります。東京二〇二〇大会を契機に首都高日本橋の地下化に取り組むことは、単に老朽化対策にとどまらず、東京二〇二〇大会後の東京の姿の一つとして、歴史あふれる美しい水の都東京を世界に示すことにつながるものです。 技術的な難しさやそれに伴う費用の膨張を懸念する声もあり、そのような懸念にはしっかりと対応しつつも、首都高日本橋の地下化は、このような東京の未来像を踏まえた今後のまちづくりと連携して進められるべきと考えますが、見解を伺います。 さて、小池知事の就任から二年余りが経過し、任期折り返し地点を迎えました。知事は、女性初の都知事として就任以来、セーフシティー、ダイバーシティー、スマートシティーを掲げ、多くの改革に取り組んできました。 改革の取り組みの一つとして、二〇二〇年に向けた実行プランでは、事業実施状況レビュー結果として、各種の政策目標について達成に向けた進捗状況が毎年公表されています。 そして、私たち都民ファーストの会も、都議選で掲げた公約の進捗状況を整理し、ウエブサイトで公表しています。選挙時に掲げた公約に対し、しっかりと説明責任を果たす姿勢こそ、都民、そして国民の根深い政治不信を解消する道であると我々は考えています。 そこで、まずダイバーシティー政策について幾つか伺います。 東京二〇二〇大会をきっかけに、都民一人一人の人がその人らしく活躍できる都市東京を実現するためにも、ダイバーシティー政策の一層の推進が必要です。 知事は、就任以来、待機児童対策を最重要課題と位置づけ取り組んできました。舛添都政における保育関連予算を見ると、平成二十八年度総額で約九百八十億円でしたが、小池都政では平成二十九年度で約千三百八十億円、平成三十年度で約千五百八十億円と、毎年度増額されており、舛添都政と比較すると約六百億円も増額し取り組んでいます。 これまでの主な取り組みとして、保育所の整備促進、人材の確保、定着支援、利用者支援の充実を図ってきました。特に整備促進では、都有地活用促進や賃貸料補助の創設、固定資産税の五年間全額減免は大きな措置として評価されています。 これらの大幅な予算拡大措置などによって、待機児童数が平成三十年四月時点で三千百七十二人減少したと発表されています。これだけの数の待機児童数が減少したことは大きな成果と受けとめますが、待機児童はいまだ五千人以上存在しており、今後も待機児童解消に向け、施策をさらに加速していく必要があります。 知事任期の折り返しとして、これまでの待機児童対策の取り組み結果を踏まえた今後の取り組みについて知事に伺います。 なお、来年十月より、国は幼児教育無償化を開始することを掲げていることから、来年度予算編成に向けて、今後影響のあるものを整理する必要もあります。 さらに、これまでの取り組みとして、保育従事職員の宿舎借り上げ支援事業やキャリアアップ補助については、特に事業者や区市町村からも継続支援の声が上がっていますので、引き続き継続支援に対しても強く要望をいたしておきます。 次に、東京の未来を担う子供たちを守るという観点から、児童虐待について伺います。 日本では、年間八十人の子供が虐待によって亡くなっています。目黒少女虐待死事件などを受けて、第二回定例会における我々の代表質問において、児童虐待対策に関して東京都独自の条例づくりを進めるべきと提案させていただきました。 それを受けて、知事から条例づくりを進めるとの表明があり、児童福祉審議会専門部会が立ち上がりました。その後、九月十四日に児童相談体制の強化に向けた緊急対策と東京都子供への虐待の防止等に関する条例の基本的な考え方が発表されました。 都には独自の子供家庭支援センターなどが既にあることから、他の自治体の先進事例を参考に、都独自の条例の制定が期待されています。虐待をする親は、困っているにもかかわらず人を頼るのが苦手で、地域から孤立していることが多いといわれており、その結果、虐待を受けている子の存在が見えづらいとの指摘があります。よって、条例の考え方の中に、未然防止と早期発見、早期対応の視点が入っていることを評価いたします。 今回示された東京都子供への虐待の防止等に関する条例の基本的な考え方のどこに重要な視点を置き、児童虐待防止対策を進めるのか、知事に伺います。 次に、緊急対策について伺います。 緊急対策では、児童相談所の体制強化として、年内に児童福祉司と児童心理司を任期つき職員として新たに十九人確保することが明らかにされました。都は今年度既に三十六人増員しており、研修等を勘案するとこれ以上の新人の受け入れは厳しい状況だと伺っています。 新規の十九人は、経験者などスキルのある人材を活用すべきだと考えますが、どのような人材を募集するのか伺います。 そして、国の総合対策では、児童相談所の専門性強化、業務、役割分担、業務のあり方の見直しをすることや常勤弁護士の必要性もうたわれていますので、これらの視点も含めた体制強化を進めていただくことを要望いたします。 緊急対策で、都は独自の安全確認行動指針の策定を行うことも明らかにしました。経験三年未満の児童福祉司が半数を超え、急激な職員増員を続けている現状では、判断ミス等が起きることも想定され、通告後四十八時間以内に安全確認ができない場合、緊急安全会議を開催し、原則立入調査等を実施すると明確にしたことは高く評価します。この指針により、これまで以上に確実に子供の安全を確認して、支援に結びつけていただくよう要望をいたします。 都独自の安全確認行動指針に基づく立入調査は、具体的にはどのような体制で行うのか伺います。 このほか、警視庁との情報共有範囲を拡大し、リスクが高いと考えられるケースを全て共有することになりました。これにより、虐待通報約一万三千件のうち、昨年ベースで約五百件だった児童相談所から警視庁への情報提供件数が約三千件になることを評価いたします。 今後も、全庁一丸で関係各所との連携をしっかり進めていただくよう要望します。 また、早期発見の取り組みとしては、子供や保護者がみずから相談しやすい環境を整備することも大切です。私たちが第二回定例会の代表質問で提案したLINE相談窓口が、十一月にトライアル実施されます。 質を担保できる体制の確保など、トライアル実施の検証を速やかに行い、本格運用につなげていただくよう要望します。 次に、性教育について伺います。 誰もがみずから望む将来を選択していくことができるダイバーシティー都市東京を実現するためには、昨今の情報化社会にさらされる児童生徒たちに正しく適切な命の教育を行っていくことが必要です。 都民ファーストの会東京都議団では、先日、秋田県教育委員会に性教育についてヒアリングを行い、実際に児童生徒への指導内容を作成した秋田県医師会では、講座のベースとなる資料を拝見しました。指導内容は、妊娠中絶のみならず、性感染症や性的マイノリティーなど非常に多岐にわたっており、指導を受けた学校や生徒からは、おおむね講座を実施してよかったという声が上がっているとのことでした。 現在、東京都では、性教育のガイドラインの手引の改定を行っています。第二回定例会の我々の代表質問を受けて都が実施し、先般公表された都内公立中学校を対象にした性教育実施状況の調査結果では、約九割が、性に関する授業は医師等の外部講師を活用することが効果的であると回答しており、これはまさに第二回定例会の我々の代表質問で、医師、産婦人科医等の専門家の活用が必要と指摘した点と合致するものです。今後、学習指導要領を超える場合の保護者理解を得る方法などの諸課題に関する知見を深める必要があります。 こうした調査の結果を踏まえ、実際にどのように性教育を推進していくのか都の見解を伺います。 次に、悪質クレームについて伺います。 ダイバーシティーの実現のためには、いかなる種類のハラスメントも許されるものではありません。都民ファーストの会東京都議団では、本年八月に、医科大学の女子減点問題を受けて、女性医師が働きやすい社会環境の推進などについて知事に要望書を提出しました。 前回の代表質問でも言及したとおり、東京都男女平等参画基本条例第十四条では、職場だけに限られない広範なセクハラ禁止条項が設けられています。この禁止条項の趣旨に沿った、あらゆる場におけるセクハラを決して許さないための広範かつ実効的な取り組みを改めて要望しておきます。 ハラスメントの新しい領域といえる顧客や取引先からの著しい迷惑行為、クレーマーハラスメント、セクシュアルハラスメントなどは、流通業界、介護業界、旅行業界などでサービス業に従事する従業員のメンタルヘルスへの影響、離職にもつながっており、とりわけ中小の事業者には影響が大きいにもかかわらず、いまだ手つかずの状態です。 この解決のためには、社会全体の機運醸成を図ることが必要であり、関係者の協力のもとで、さらなる実態把握を行うことの重要性が指摘されています。また、業種や職種ごとに個別性が高いことも指摘されており、対応事例の積み重ねが必要です。 社会通念上許される範囲を超えた消費者から中小事業者への悪質クレームについて、知事の認識をお伺いします。 さらに、都は、今後適切な対応を行うため、実態調査を行うとともに対応策を講ずべきと考えますが、今後の対応について都の見解を伺います。 次に、国有財産である旧こどもの城について伺います。 先日、小池知事が都立広尾病院の移転計画を白紙撤回されて以降、この青山通りに面した都心の一等地という立地を生かした今後の活用方針が注目されてきました。東京二〇二〇大会を契機に、男女を問わず、子供から大人、高齢者に至るまで、誰もが活躍できるダイバーシティー東京を実現することは、私たちの大きな政策目標の一つです。 その観点から、当該用地を積極的に活用すべきと考えますが、知事の見解を伺います。 次に、スマートシティー東京の実現に向けた取り組みについて伺います。 まずは、知事のロンドン、パリ出張について伺います。 八月下旬から九月上旬まで、都の事業の一環として、自動運転タクシーの公道での営業走行が世界で初めて行われ、知事も試乗されました。九十六名の枠に対し、応募したのは約千五百名と大変注目度は高く、運転手の人手不足とともに、深刻化する高齢者の移動手段の確保難といった課題を、東京が先端的テクノロジーで解決していく姿を世界に発信できたといえます。 そして、十月から十一月にかけては、知事のロンドン、パリ出張が予定されています。ロンドンは二〇一二年大会、パリは二〇二四年大会の開催都市であり、大会の成功、そして大会を契機とした開催都市の魅力向上に関して、互いにその知見を共有することは大変意義があることと考えます。 ロンドンは国際金融都市としても名高く、国際金融都市東京構想を推進する上で連携を強化すべきです。また、姉妹友好都市であるパリとの間では、パリ東京文化タンデムとして、パリと東京それぞれで展覧会や演劇など多彩な文化イベントを実施し、相互に文化交流を行い、その魅力を世界に発信する重要な事業も行われます。 今後、東京二〇二〇大会を契機に、都市として大きく飛躍してプレゼンスを高めるために、今回のロンドン、パリ出張をどのように生かしていくのか伺います。 パリ、ロンドンで注目されているのが持続可能な社会づくりです。持続可能な東京都を次の世代に引き継ぐことは今を生きる都民の責任であり、長期的視点で見れば、猛暑という新しい災害への対応としても、地球温暖化対策など、環境施策の一層の推進は欠かすことができません。 本定例会における知事の所信表明においては、必要性の低い使い捨てプラスチックの大幅削減に向けて、条例による対策の推進も視野に検討を進めることが表明されました。都民ファーストの会東京都議団は、ことし七月、知事に対して、プラスチックの代替促進対策等に関して要望書を提出しており、我々の要望が受け入れられたものと評価をいたしております。 今般、東京都が開始したチームもったいないは、都庁食堂における規格外野菜の活用など、意欲的な取り組みです。これは、私たちが本年六月に第二回定例会の代表質問等で求めてきたエシカル都市東京の実現に資するものと考えます。東京二〇二〇大会を契機に、東京都が環境政策で世界をリードする都市に飛躍していく必要があります。 都の取り組みを環境意識が高い一部の人だけではなく、幅広く都民に定着させるためには、このようなチームもったいないなどの東京都の取り組みについて、より一層多くの人を巻き込む仕掛けが効果的と考えますが、都の見解を伺います。 次に、電気自動車の普及促進について伺います。 現在東京都では、CO2を排出しない電気自動車等の普及促進のため、中小企業を対象に購入費の一部の補助を実施していますが、ゼロエミッション東京を実現するためには、その一層の拡大強化が必要です。 先日、知事が補助金の拡大、増額を検討する方針を表明したとの一部報道がありましたが、改めて今後の取り組みについて知事にお伺いをいたします。 さて、ことしの後半は、今後の東京都にとって大きな意味を持つ行事が続きます。まずは、今後の上下水道事業へのIWA世界会議の成果の活用について質問します。 九月十六日から二十一日の間、日本で初開催となる国際水協会、IWA世界会議・展示会が東京で開催されました。水分野では世界最大規模である今回の会議では、レジリエンスとサスティーナビリティーが主要テーマの一つです。SDGsの視点からも、世界に誇る東京の上下水道事業の技術力で、世界の水環境の向上に対して積極的に貢献すべきです。 会議開催により、新たな知見や技術の共有、産業力の強化など、さまざまな成果を創出したと推察します。会議開催による成果を一時的なものとせず、将来へ継承していくことが重要です。IWA世界会議・展示会の開催により得られた成果を今後の上下水道事業にどのようにつなげていくのか、知事の見解を伺います。 次に、いよいよ本年十月十一日に開場する豊洲市場について伺います。 小池知事の開場延期表明から約二年が経過しました。この間に盛り土がなかったことが判明したほか、未完結だったモニタリング調査では、環境基準を上回る結果が出るなど、安心を揺るがす事態が発生しましたが、約三十五億円の費用を投じて追加対策工事を実施できたことは、開場延期のたまものであり、都民と事業者の安心に大いに寄与できたものと考えます。 一方で、開場を目前に控えた開場記念式典の直前に、豊洲市場内で地盤沈下に伴うひび割れが明らかになりました。建築技術的には想定内であっても、ひび割れの発見とともに早期の対応をとり、市場関係者に不安を与えない努力が不可欠であったと認識しています。今後、このようなことがないよう強く求めておきます。 加えて、再三、都民ファーストの会東京都議団として求めてきたのは、市場関係者に寄り添った対応による市場行政への信頼回復と円滑な移転です。 私たちは、築地市場跡地の場外市場業者向けの駐車場拡充、豊洲への交通アクセス整備、築地から豊洲への事前引っ越しなど、多くの要望を行い、多くは前進しましたが、市場内の運用ルールの改善、また高額と指摘されている買い出し人の駐車場料金など、新たな課題も浮上してきています。 衛生的で機能的な新市場となるように、一層の取り組みを都に求めます。都の見解を伺います。 築地市場は開場から約八十年、昭和六十一年に現在地での再整備の判断がなされてから約三十年がたち、ここにようやく新市場が誕生することになりました。長い都政の歴史の中でもこれほどの時間を要した政策はなく、その調整の困難さを物語っています。 その長い道のりは、東京の食の台所を預かる市場への日本人の関心の高さのあらわれでもあったと思います。小池知事が、安全の上に安心を追求して、妥協を許さずに徹底した調査と検証と対策を積み上げて、ついに開場への道筋をつけたことは、日本の食の安全・安心に大いに貢献するものと受けとめています。 その上で、豊洲市場は、都民に生鮮食料品を安定的に供給するという行政目的を果たすためにも、都が設置する中央卸売市場であり、引き続き、その役割を果たすとともに、改正された卸売市場法、食品流通構造改革促進法に適切に対応し、発展のための改革を進めていかなければなりません。 今後の豊洲市場をどのように発展させていくのか、知事の抱負を伺います。 次に、ラグビーテストマッチについて伺います。 来年九月二十日のラグビーワールドカップ日本大会の開幕まで、いよいよ一年を切りました。 本年十月下旬から、来年の開催に向けたテストマッチが開催されます。機材や運営面での確認が行われるとともに、ファンにとっては世界のスタープレーヤーのプレーを目にすることができる貴重な機会です。 昨日公表されたとおり、テストマッチのファンゾーンには、試合だけにとどまらず、ラグビーそれ自体の魅力を伝えていくためのさまざまな仕掛けが行われていると承知しています。 例えば、ルールを知らない人でも理解できるような解説の実施や、女性を含め幅広い方に興味を持ってもらえるような会場づくり、ラグビー体験の提供など、いずれも都民ファーストの会東京都議団としても提言してきた取り組みです。これらの十一月のファンゾーンの仕掛けを今後のラグビーの普及、そしてラグビーワールドカップの機運醸成につなげていくべきと考えます。 そこで、十一月のファンゾーンの具体的な内容と今後の取り組みについて、都の見解を伺います。 次に、十一月に東京都で開催される全国育樹祭について伺います。 東京の森林の多くは、木材として利用可能な時期を迎えていますが、木材価格の低迷や林業従事者の不足等により、伐採や更新が低迷しています。木材の需要を創出し、健全な森林循環を促しながら、長期的な視点で森づくりを進めることは、近年増加する風水害による土砂災害予防や水源林の保全の観点からも有効です。 知事は、第二回定例会における所信表明で、五十年、百年先を見据えた東京の森林の将来像について言及しました。 また、先日公表された防災事業の緊急総点検において、法令不適合のブロック塀の代替に多摩産材等の国産木材を活用する方針も示されました。保育園などで多摩産材を使ったおもちゃや備品については補助を出すなど、都の支援は手厚くなってきています。 一方で、保育園の新設の際に建材として使用される多摩産材への補助は見送られていることから、本格的な消費促進に課題を残しています。 ことしの十一月に予定されている全国育樹祭の開催や、来年から始まる森林環境譲与税の交付などを踏まえ、長期的な視点での東京の森林づくりについて、知事の所見を伺います。 次に、東京の貴重な資源である水の利用のあり方、都の工業用水道について伺います。 工業用水道事業のあり方は、平成十六年度包括外部監査において、廃止を含めた抜本的経営改革について具体的な検討を進める必要性が指摘されて以降、都政の長年の懸案事項でした。工業用水道事業のあり方に関する有識者委員会は、平成二十六年十二月に設置され、今般、報告書が提出されました。 報告書においては、施設設備の老朽化が進行し、大規模更新時期の到来が間近に迫る一方、ユーザー件数や使用水量は長期にわたり減少傾向にあり、今後も需要の増加が見通せないことから、廃止すべきとの見解が示されました。 その内容を受け、ことしの第二回定例会において、都は工業用水道事業の廃止に向けた方向性を示すとともに、料金差額補填などの支援策を検討すると表明しました。その後、多様な意見に耳を傾けるとともに、速やかに支援策をまとめられたことを評価します。 そこで、知事に、工業用水道事業の廃止に際しての利用者支援の基本的な考え方を伺います。 あわせて、料金差額補填などの支援策を検討するとの表明がありました。この事業が行政施策として開始されてきた経緯を踏まえると、工業用水道の現在のユーザーと、従来からの上水道のユーザーとの公平性を勘案しながら、工業用水道から上水道への切りかえ負担に対する十分な支援策を講じることは不可欠です。 都民ファーストの会東京都議団は、工業用水道事業廃止時に現ユーザーの負担を軽減するために配慮すべき事項について、切りかえ期間を含めて十年程度の長期間にわたる料金差額補填の支援を行い、企業経営の安定のために寄与することなど、本年八月二十日に四項目、同じく九月四日に追加二項目を、それぞれ要望事項として知事に提出しました。 対象となる事業者に対しては、個別訪問の上、ヒアリングを実施したと承知していますが、その結果がどのようなものであったか、また、その内容を踏まえた据置期間及び激変緩和期間の設定内容など、支援策の概要について伺います。 最後に、平成三十一年度税制改正について伺います。 世界の人、物、金が魅力的な都市を求めて瞬時に移動する時代の中で、首都東京は世界のどの都市よりも、創造力を有する人材を引き寄せ、新産業の創出拠点となる使命があります。すぐれた人材を引き寄せるためには、交通アクセスやまちの景観、治安やオフィス環境に加えて、感性を磨ける文化性の高い都市かどうかも、パリやロンドンの例で明らかなとおり、大事な要素です。 これまでも東京都は、日本の玄関口として海外から人を引き寄せ、産業、観光等のさまざまな分野で、多くの経済波及効果を東京都以外にも生み出してきました。東京都の戦略的な投資が減少し、都市としての活力が低下すれば、このような経済波及効果を伴う海外からの需要も見込むすべもありません。 さらに、少子高齢化社会の中で都市の活力を維持していくためには、戦略的な投資として、一層の女性活躍を促すための保育等への予算をふやす必要があり、さらに、東京の未来を担う人材の育成のために、教育への予算をふやしていく必要があります。働きたい高齢者の方々が、経済の担い手としてご活躍いただけるよう支援する予算も必要です。 このように、世界中の人々を引きつけて、世界の都市間競争に勝利し、国内では超高齢社会の影を吹き飛ばす都市東京を創造するためには、日本全体にとっての戦略的投資として、都には多額の財政需要が見込まれています。私たちは、国による都税の収奪を日本全体の発展のために許すわけにはいきません。 地方創生とは、それぞれの地域が独自に魅力を磨き上げながらも、連携を深め、互いに高め合うという未来志向の関係創出から生まれるものです。折しも国の方では、ふるさと納税のあり方を見直すことが表明されました。昨年の地方消費税の見直しの件と同じく、国は地方創生に関する本質的な議論を行うことなく、自治体の自助努力を無に帰すような動きを繰り返しているのではないでしょうか。東京都としては、地方自治体の自助努力が適切に反映されるよう、地方税体系の根本的な見直しを求めるべきと考えます。 本定例会において、都議会でも、地方法人課税の見直しに関する意見書を可決しました。東京と日本の成長を考える検討会での議論を踏まえ、小池知事みずからが先頭に立ち、都民、国、そして地方の理解を得る活動を行うべきと考えますが、知事の見解を伺います。 以上、東京都の防災施策全般、東京二〇二〇大会後の東京の未来像、そして、任期折り返しを迎えた小池知事のこれまでの取り組みについて伺ってきました。 冒頭に述べましたとおり、都民ファーストの会東京都議団は、東京二〇二〇大会を、これまで光が当てられてこなかった都の課題を解決するきっかけとし、都民一人一人の人がその人らしく活躍できる都市東京の実現に向けて全力で取り組んでいくことを改めて申し上げ、代表質問を終わります。 ご清聴ありがとうございました。