平成18年 第4回定例会 一般質問 平成18年12月8日

*本文は口述筆記ではありませんので、表現その他に若干の変更があることがあります。

社会教育について
はじめに図書館について伺います。
ちょっと大げさに言えば、図書館は人類の英知が結集されているところであります。公共サービスの中でも派手に目立つようなものではありませんが、私たちの先人が残してくれた様々な知恵や知識が集積され、それらに対し自由にアクセスすることができる図書館は、社会の宝ともいえる大変重要な施設です。
1960年代以来、わが国の図書館サービスは貸し出しを中心に行われてきました。その結果図書館の数や規模、所蔵資料の蓄積、職員の増加、図書館利用者の増加がもたらされました。
現在でも都民の間には「図書館は本を借りるところ」であって図書館職員は「本の貸し出す人」と考えている人が少なくないのではないかと思います。
図書館の世界で最も有名なのが「ニューヨーク公共図書館」です。
ニューヨーク公共図書館は4つの専門図書館と85の分館からなる複合体でNPOが運営しています。年間予算は300億円を超え、3700人のスタッフを擁する世界最大の図書館です。
ここは「ニューヨーク経済のエンジン」と呼ばれ、多くの起業家が情報を収集し、ビジネスに活かしてきたといわれています。
ゼロックスの創始者チェスター・カールソンは、毎晩この図書館に通い、物理学者の論文の中から複写の原理を発見し、静止写真画像の特許を取得して、世界で始めて電子複写機を誕生させました。
また舞台芸術図書館で学んだ多くの人たちが、芸術家として活躍をしています。映画界の巨匠エリア・カザンやオリバー・ストーンも常連です。
若き日のアーサー・シュレジンガー、サマーセット・モーム、トニ・モリソンらもニューヨーク公共図書館の利用者でした。
市民生活の支えとしても重要な役割を果たしており、ニューヨークでは、「引っ越したらまず図書館に行け」と言われるほど、医療や法律、防災やテロに関する情報など、およそ市民に必要な情報はとにかく図書館に行けば入手することができると、ニューヨークの多くの市民が感じているようです。
ニューヨーク公共図書館は、日本の図書館とは規模も内容も異なり、単純な比較は出来ませんが、目指すべき最高峰として常に参考にしたい図書館であることは間違いがありません。
先日、ソウルの国立中央図書館に行ってまいりした。
通常資料以外にも国内外の修士、博士論文や学位論文の原文が収蔵されており、その充実振りには目を見張るものがありました。
韓国は電子媒体と紙媒体を有機的に結びつけた図書館のハイブリッド化に取り組んでおり、国立中央図書館を中心に国会、科学技術院など8つの機関が参加し、統合検索ができるよう「国家電子図書館」が構築されています。学術書などがデータベース化され、公共図書館の端末から閲覧、印刷が可能となっています。
中央図書館と出版団体との交渉により、出版後5年が経過したものについては、無料で電子化することが出来ますし、5年以内の出版物でも著作権管理団体を通じて有料で入手することが出来ます。
また教育学術情報院では学位論文のウェブ上での全文公開が行われています。
2008年には38,000㎡の国家デジタル情報総合センターとなる「国立デジタル図書館」が完成の予定です。
一方わが国においては、国立国会図書館が納本制度を持つ中央図書館ですが、世界の中央図書館に比較してデジタル化の遅れや学士論文・都市や地方自治に関する資料の収集不足、不徹底な納本制度など、多くの課題をかかえており、残念ながら世界の最先端とは言えないようです。
都立図書館は100年の歴史を持つわが国屈指の図書館です。
国立国会図書館は立法府図書館ですから、都立図書館は行政府図書館のトップリーダーであるともいえます。
都立図書館は230万の所蔵資料を有しているだけでなく、国会図書館に比較してもサービスや利用について便利であることなどから、高い評価を受けているものと認識しています。
情報化への対応や都民活動の支援、産業情報、都市に関する情報や法律、医療情報の提供など「知のインフラ」として、図書館は多くの役割を期待されていると思いますが、都は望まれる図書館像と都立図書館に期待される役割についてどのように考えているのか伺います。●1
資料・蔵書の収集は図書館の最大の使命だと思います。
平成16年度に行われた調査で、中央図書館利用者が今後期待するサービスの圧倒的第一位が「蔵書の充実」です。
都立図書館の資料費は、平成9年度の約4億6千万円をピークに、平成16年度には1億7千万円まで、60%以上もの激減をしています。この間、区市町村もまた厳しい財政状況でしたが、平成9年度の5億3千万円に対して、平成16年度の4億1千万円と約20%程度の減にとどまっています。
図書の発行部数は年々増加しているのにもかかわらず、厳しい財政状況によって資料費が削減され続け、収集方針・選定基準に見合うにもかかわらず、新刊書の6割程度しか収集できていないのが、都立図書館の現実なのではないかと、図書館を愛する多くの人が心配をしています。
都立図書館を日本の中核図書館として、世界に名だたるサービスが供与できるように、税収が回復しつつある今こそ、積極的に資料・蔵書の充実に努めるべきだと思いますが、ご所見を伺います。●2
学校図書館は、昭和28年に制定された「学校図書館法」により全国の小・中・高校に設置が推進されてきましたが、内容的には予算面・人材面を含めて極めて貧弱としかいえない内容だと思います。
学校図書館法の第五条には司書教諭をおくべき規定がありますが、現実に難しい面もあって、附則として「置かなくても良い」一項がついており、配置が遅れました。
学校図書館担当者は校務分掌の係りのひとつとして位置づけられていますが、図書館についての専門知識を持つ人が担当になるとは限らず、しかも学級担任や教科担任をしながらの担当となりますので、学校図書館経営は片手間にならざるを得ないのが現状ではないでしょうか。更には校務分掌自体が毎年編成されることから、担当がしょっちゅうかわることになります。
このような状況ですから、学校図書館を整備するとともに、学校図書館への支援が重要になってくると思われます。
国の平成19年度概算要求の中に、学校図書館支援センター推進事業があります。これは学校図書館機能の強化・充実を図るために、教育センターなどに支援センターを置き、学校図書館に対する支援のあり方について調査研究を行う目的で行われる事業で、将来的には公共図書館と学校図書館の緊密な連携も課題になってくるのではないかと思っています。
都立図書館と都立学校、あるいは区市町村立図書館と学校図書館の連携の支援など、都教育委員会として学校図書館に対しどのような支援を行っていくことが出来るのか、ご所見を伺います。●3
テレビやビデオ、インターネットなどの普及によって、子どもの読書離れが心配されています。
読書は心豊かな人生を送る上で、大切な生涯学習です。そのためにも子どもの頃から言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、創造力を豊かにし、人生を深く生きる力をつけることが出来る、読書の習慣をつけることが重要です。
都は「子ども読書活動推進計画」を策定し、平成15年度以来、子どもの読書習慣付けに取り組んできました。この間確かな成果を挙げつつあると評価をしていますが、平成19年度でこの計画が完了します。
今後この事業の評価を行うと共に、新たな読書推進計画を策定する必要があると思っています。
読書とともに、総合的な学習などで取り上げられた「調べる学習」についても、更なる推進が必要だと思います。
図書館には生きる上で必要な情報がたくさんあります。先ほど紹介したニューヨーク公共図書館では良くあることですが、日本でも弁護士を雇う資金のない人が、図書館を利用して法律を調べ、消費者金融や信販会社を相手取って「過払い金」返還請求を求めた本人訴訟で勝訴した例や、暴力団抗争に巻き込まれて死亡した娘さんの敵を討つために図書館を利用して法律を調べ上げ、図書館の仲間たちと共に11年間もの間、法廷で戦い続けた事例などが報道されています。
図書館が「知のセイフティーネット」でもあることの証明であります。
アメリカでは小・中学校段階で、図書館を利用しないと宿題が出来ないような仕組みもあると聞きます。
日本においても図書館を使った「調べる学習」を子どもたちに身につけさせる必要があると考えます。
子どもの読書活動推進計画への対策と、図書館を使った、調べる学習を身に着けるための都の具体的な取り組みを伺います。●4
図書館が「無料貸本屋」から、より住民の役に立つレベルの高い図書館に生まれ変わるため、重要な柱の一つが「レファレンス」です。
レファレンスは、利用者が求めている資料を的確に探し出し、あるいは短時間で調査の回答を得るためのサービスです。
これからの図書館は住民の読書を支援するのみならず、地域の課題解決に向けた取り組みに必要な資料や情報を提供する課題解決支援機能の充実が求められます。そのためにも住民の要望に的確に答えられる有能な司書職員の育成は、大きな課題です。
教育委員会が先ほど報告した「都立図書館改革の具体的方策」にもこれまでの不十分な司書職員研修を反省し、司書の能力向上に取り組んでいくことの必要性がうたわれていますが、これからの図書館で求められる司書の資質は大変高いものがあると思います。
アメリカでは、例えば法律分野においては、修士以上の資格を持つ図書館職員の養成を行うなど、司書により高い専門性を求めています。
わが国において現在ある司書の資格に「上級司書」のようなレベルの高い司書制度を設ける必要があると思いますが、そのような制度になっていない現在は、専門的な知識を持つ人などの協力などにより、スキルアップを図ることが求められます。
レファレンスサービスが重要性を増していく中で、司書の確保とスキルアップが大変重要な課題であると思います。
都教育委員会は、司書の育成と一層のレベルアップにどのように取り組むのかを伺います。●5
動物行政について
次に動物行政について伺います。
2003年、ついに飼い猫・飼い犬の数が1922万頭となり、15歳以下の子どもの数を上回ったというニュースは大きな驚きでした。
ペット動物は、私たちの生活の中に大きな位置を占めつつあります。
しかし、捨てられたり、処分されたりする動物が後を絶たないのもまた現実です。
このような動物を減らすため、平成15年度に策定された東京都動物愛護推進総合計画では、10年後の数値目標を致死処分数を50%減、致死処分の裏返しである返還・譲渡の割合を犬については14年度の73.2%を80%に、猫については1.6%を3%に増加させるとしています。
これに対して17年度の実績値は、致死処分数は41.7%の減、犬の返還・譲渡率が78%、同じく猫が4.2%です。欧米の動物愛護先進国と比較すると、まだまだといわざるを得ません。
行政に引き取られ、処分される動物が多いということは、これは第一義的には飼い主の責任の問題であります。
しかしながら実際には飼い主が病気になったり、転居などにより手放さざるを得ないというような理由で、都に引き取りを依頼する飼い主がいるという話も聞きます。
こうした状況を踏まえ、一層の飼い主責任などを促すため、都は今後どのような取り組みを行っていくのか伺います。●1
最近広島市のドッグパークが倒産し、放置された約500頭もの犬に対し、多数のボランティアが救いの手を差し伸べたというマスコミ報道がありました。
手厚い保護を受け、新たな飼い主に引き取られたということで、この報道に接した多くの人が、ボランティアの活発な活動に、ほっとすると同時に心強いものを感じたのではないでしょうか。
命ある動物を少しでも多く救うため、返還・譲渡率のさらなるアップと、目標達成に向けたもう一段の努力が必要なのではないでしょうか。
そしてそのためには、行政では手が回りきらない部分にも十分に対応できるように、民間のボランティアの力を借りるなどして譲渡事業を充実させ、譲渡率の増加を図っていくことが重要だと思いますが、都の見解を伺います。●2