一般質問 増子博樹 平成20年第1回定例会 平成20(2008)年2月27日

*本文は口述筆記ではありませんので、表現その他に若干の変更があることがあります。正確には議事録をご参照ください。

行財政改革の今後の方向性について
知事が本会議で「かつて景気変動の影響を受けて数千億円単位の税収減に見舞われ、塗炭の苦しみを嘗めながら都議会の皆様と手を携え財政再建を果たしてまいりました。」とおっしゃったように、東京都は財政の緊急事態から脱出するために、「行財政改革実行プログラム」に基づいて、限られた財源で増え続ける都民需要に応えるべく行財政改革に取り組んできました。
 これらの改革は全国自治体の模範ともなるべきものであり大いに評価されてしかるべきものと思っています。

Q1 そこでまず、これまでの行政財改革の取り組みと成果について伺います。

 現在進行中の「行財政改革実行プログラム」は、平成十八年度から二十年度をその対象としており、来年度中にはその先の行財政改革プランの策定を目指して、現在調査・研究中だと思いますが、進行中のプログラムにおいても検討の必要があると思われるものが散見されます。

 昨年行った指定管理者制度導入後初の評価である平成十八年度東京都指定管理者管理運営状況評価結果では、調査した二〇一施設中二〇〇施設がおおむね適切な状況にある施設となっていますが、たとえば障害者施設である北療育医療センター城南分園は、平成二十年度には指定管理者制度を導入する予定でしたが、少なくも平成二十年度の指定は見送られる公算が高いとみています。

 この背景には、福祉分野の人材難があると思われます。特に診療報酬改定以後は看護師の大病院集中化が進み、障害者施設に限らず看護師を探すことは容易ではありません。

 またPFI事業については東京都でも今後の導入予定が目白押しですが、全国的には事業者が破綻した際のリスク管理や高知医療センターのような贈収賄事件を未然に防ぐ方策など多くの問題点が発生しています。

 東京都は「都民の安全・安心を確保しつつ、民間でできることは民間に委ねる」との原則の下、行政サービス提供主体の再検討を実施してきました。指定管理者制度や地方独立行政法人制度、市場化テスト、PFIなど、できるものから実施し成果を挙げてきたと思いますが、これらに対しては、適切に検証を行うことが重要です。
Q2 このような行政分野の民間開放に対する評価について、都はどのように取り組んでいくのかを伺います。

 また例えば健康安全センターは毒餃子事件で脚光を浴びましたが、この施設が高度な分析能力のある首都圏で数少ない施設でることが判明しました。ユニークな研究も行っており、老朽化による建て替えに際して研究体制の強化がむしろ望まれていると思いますが、人員削減をしてきており、食の安全を確保する観点から不安が残ります。

 都立病院についても公社化などの改革を進めてきましたが、その後の臨床研修医制度の変更などもあり、医療人材の確保が一層困難な状況になっていると思われます。

 また私立幼稚園教育振興事業費補助など「第二次財政再建推進プラン」によって削減が続いてきたものがありますが、財政を健全化する中で行われてきた改革の中にはおおむね財政の健全化が達成されつつある現在の状況をみると、削減について一定の歯止めが必要なものもあるのではないかと思います。

 このように社会情勢の変化により当初の想定と異なる事態になっている分野や事務事業については、これからの行財政改革を進めるに当たっては十分な検討を行うべきなのではないかと思います。

 併せて行革の結果、都民にどのような利益がもたらされたのか、質の向上や住民満足度、より良いサービスのかたちなども研究する必要があると思っています。

 ところで、行革先進国である英国においてもサッチャー政権の急進的な緊急避難的改革から、メージャー、ブレア政権と少しずつ「ベストバリュー」を重要視するいわば「質の改革」へと変化してきています。

 日本においても、リストラなどを中心とした経営再建型の改革から、トヨタ自動車の「カイゼン」に象徴されるように、生産性を向上させ経営の「質」を高める改革へと大きくシフトしています。

 行政においてもこのような転換が求められていると思います。

Q3 東京都は業務運営の効率化やマネジメント機能の強化などを重視し、「量の行革」から「質の行革」への移行をとなえていますが、今後、最少の経費で最大の効果を目指し、量と質のバランスを勘案しながら、住民満足度や社会情勢の変化をどのように受け止めて行財政改革を質的に展開していくのかを伺います。

転院問題について
次に転院問題について伺います。

 議員活動をしていると、時々「病院から退院するように言われたが、この病院に引き続きいられないでしょうか。」とか「転院先の病院を探してほしい。」といった相談を受け、対応に困ることがあります。

 入院患者さんの場合、症状に応じて急性期から回復期へ、そして維持期の病院や介護施設に移ったり、その後の病状の変化によっては、再度急性期の病院に入院することもあります。このように転院等する場合、適切な病院に移ることができない、元の慣れた病院に戻れないなど、患者さんの希望に沿わないことが多々あります。また、転院先を探せないといったことも出ています。

 この転院問題の背景には、診療報酬上入院期間が三ヶ月を超えると入院基本料が下がるということがあり、これは医療の機能分化と連携を図るために講じられたものですが、退院を迫るという事態はこのために起きていると言われています。
 患者さんと家族からすると、退院しなければならないということは、自宅で療養できるだろうか、転院先が見つかるだろうか、などの不安が募ります。
 最近こういった問題に対する試みとして、異なる機能を持った病院を持ついくつかの医療法人がネットワークを組んで、それぞれの病院が機能に合わせて治療できる仕組みを作っていると聞きました。

 こうした仕組みが東京都の全域にあれば良いのではないかと思いますが、実際には都内には六〇〇を超える病院があり、またそれぞれが独立して経営していることから、独自性や経営上での情報公開の問題などがあり、現時点では難しいこととは思いますが、こうしたネットワークづくりの支援について、ぜひとも研究課題としていただきたいと思います。

 現行の病院での入院患者さんへの対応は、患者さんの病状や置かれている状況などに応じて、他の病院や施設を紹介してはいますが、専門的な知識や経験を有するメディカルソーシャルワーカーを専任で配置している病院から、事務職員が他の業務の合間に転院先を探す病院まで、その対応には大きな違いがあるようです。中には「いついつまでに退院していただかないといけませんので、こちらも探しますが、そちらでも探してください。」などと言うところもあるようです。

 私は率直に言って、転院業務の制度化を図ることによって病院間の違いを無くす必要があるのでは、と思うくらいです。ただ、機械的に転院調整が出来ないのも十分わかります。

Q1 そこで、患者の退院調整を担当するメディカルソーシャルワーカー等がレベルを上げるために、転院先の選定や調整のためのノウハウを得たり、業務を行うに際しての必要な医療機関情報を容易に取得できるように、都として後押ししていく必要があると考えますが、ご所見を伺います。

 またいきなり転院するように言われたら、患者さんやご家族は誰しも今後どうして良いかもわからず、途方にくれてしまいます。各医療機関にはそれぞれの機能や役割、転院・退院後の治療などについて、患者さんやご家族に丁寧に説明することが必要です。

 最近、地域連携クリティカルパスという言葉をよく耳にするようになりました。地域連携クリティカルパスとは、医療の羅針盤ともいえるもので、急性期や回復期といった地域の医療機関の間で共通に使われる疾病ごとの診療計画のことをいいます。つまり、診療に当たる複数の医療機関が、役割分担や診療内容、スケジュールをあらかじめ患者さんに提示し、説明することにより、患者さんがより安心して医療を受けることが出来るようにするもので、「転院に対する不安や不満が和らいだ。」「万一、転院先で具合が悪くなっても戻ってこられるという安心感がもてるようになった。」などの声が聞かれます。

 国の社会保障審議会においても
○ 転院に対する患者・家族の不安・不満の解消が図られた。
○ 診療内容に関する医療機関間での説明の不一致の解消が図られた。
○ 診療の目標やプロセスを共有することにより、より効果的で効率的な医療が行われ、平均在院日数の短縮が図られた。
○ 電子化により、状況分析を行うことが容易となり、連携医療の質と効率の向上が図られた。
などが導入効果として報告され、転院の不安解消に関する効果も確認されています。

Q2 都は転院問題の解決策のひとつとして、この地域連携クリティカルパスの普及を図るべきと考えますが、見解を伺います。

 最後に動物愛護についてですが、動物の殺処分を炭酸ガスから麻酔薬を用いる方法に変更を求めるという点で、ただいまの自民党、山加議員の質問と趣旨がおおむね重複しますので、私からは意見・要望とさせていただきます。

 ただいまの議論でもありましたように、動物の殺処分方法をめぐっては、ヨーロッパなどではすでに動物に対しても人道上の配慮がもとめられていますし、国内でも様々な動きが出てきています。

 ちょうど先日、奈良県動物愛護管理推進計画が発表されました。この計画によると、「現行の殺処分の方法は、動物をガス室に追い込み、炭酸ガスを用いて同時に安楽死させるものでありますが、動物に恐怖心を与えるなどの理由から、殺処分に対する誤解を生み出す原因ともなっています。現状ではこれに代わる方法を見出すのは困難でありますが、返還・譲渡頭数を増やし、殺処分頭数を減少させることにより、例えば、個体ごとの麻酔薬による安楽死措置を施すことなどを実践していきます。」とされていて、いよいよ殺処分方法の変更に踏み出すことをうたっています。

 担当の方にお話を伺ってみましたが、処分方法の変更については県民からだけでなく、獣医師職員の方々からの要望もあったそうです。
 コストについては頭数しだいですが、むしろ麻酔薬の方が下がると試算しているようです。課題は職員間の意識の共有化とのことです。

 また国においては昨年来中央環境審議会動物愛護部会において動物の処分方法に関する指針の改定に当たって議論がなされています。
 昨年十月十六日に行われた会議の議事録の未定稿版によると、
○基本的には、ガスだけでなく、麻酔薬を使ってやる方法が一番苦痛を与えないので、麻酔薬と併用して殺処分を行うよう指導されたい。○麻酔薬の安定供給について、関係官庁の協力を求めたい。といった発言がなされています。
 課題とされるであろう獣医師職員のケアについては、PTSD対策を取り入れた研修の充実や一日当たりの処分頭数の規定づくり、ローテーションのあり方などが考えられます。

 東京は二〇一六年のオリンピック誘致をめざしています。
 殺処分に対する東京都の対応について、世界にはどのように映るか心配です。国の指針改定を待たずしても処分方法の変更は可能です。
 一刻も早い対応を期待して要望とさせていただきます。